タイ国経済概況(2023年1月)

1.景気動向
(1)国際協力銀行は、第34回目となる「2022年度わが国製造企業の海外事業展開に関する調査報告」を12月16日に発表した。本調査は同年7月から9月にかけて行われ、531社から回答を得た。中期的な有望事業展開先国・地域(今後3年程度)では、タイはインド、中国、米国、ベトナムに次ぐ5位で、昨年と同順位だった。「現地マーケットの今後の成長性」や「産業集積がある」点が引続き評価されたほか、「第三国輸出拠点」としても有望との評価だった。一方、回答企業の50%近くが、課題として「労働コストの上昇」を挙げたほか、多くの企業が「他社との厳しい競争」も課題として挙げた。

(2)世界銀行は12月14日、2023年のタイの経済成長率見通しを3.6%と発表した。また、タイ中央銀行(BOT)は同日、同じく3.7%との見通しを発表した。BOTは、この回復を支えるのは外国人観光客の増加に伴い観光セクターが牽引することだと述べ、航空座席数の増加や海外旅行規制の緩和を期待。また、外国人観光客は2023年は2,200万人、2024年には3,150万人に増加する見込みだと発表した。またサービス業を中心とした経済活動の改善により、労働市場が改善しつつあることを指摘した。新規失業給付申請者の割合が新型コロナ前の水準を下回る等、所得の増加も期待される。

(3)タイ工業連盟(FTI)が12月20日に発表した2022年11月の自動車生産台数は、前年同月比+15.0%の19.0万台だった。6ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は国内向けが前年同月比+10.1%の8.3万台、輸出向けが同+19.1%の10.7万台。新型コロナ前の2019年11月の生産台数15.4万台を上回った。また、2022年11月の国内新車販売台数は前年同月比▲4.8%の6.8万台で、輸出台数は同▲11.0%の8.8万台。2019年11月の販売台数は7.9万台、輸出台数は7.5万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)FTIが12月20日に発表した2022年11月の自動二輪車生産台数は、前年同月比+2.8%の23.8万台で、5ヵ月連続のプラスを記録した。内訳は完成車(CBU)が同+0.3%の18.9万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+13.6%の4.9万台。2019年11月の生産台数は20.3万台であり、新型コロナ前を上回った。また、2022年11月の国内販売台数は前年同月比+4.4%の15.1万台、輸出台数は同+5.0%の3.9万台だった。2019年11月の販売台数は13.5万台、輸出台数は3.0万台であり、ともに新型コロナ前の水準を上回った。


2.投資動向
12月26日付のタイ商務省の発表によると、2022年11月の新規企業登録件数は前年同月比+2.33%の5,773社だった。また、登録資本金総額は同+18.17%の200億6,948万バーツだった。業種別では不動産が492社(全体の8.52%)、建設が486社(同8.42%)、飲食が252社(同4.37%)の順で多かった。年初11ヵ月では、前年同期比+4.66%の72,480社だった。一方で2022年11月の企業登録抹消件数は、前年同月比▲7.19%の2,684社で、年初11ヵ月では前年同期比+18.21%の16,096社だった。


3.金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2022年の11月末時点で金融機関預金残高は24兆5,605億バーツ(前年同月比+5.4%)、貸金残高は28兆5,489億バーツ(同+4.7%)といずれも増加。また、11月30日にBOTは政策金利を1.00%から1.25%に引き上げた。

<12月の回顧>
(1)(為替動向)
12月のドルバーツは34台後半を中心に狭いレンジ内で推移。月初、ドルバーツは前月末夜間のパウエル議長講演を受け、過度な金融引き締めへの懸念が後退し35.10近辺でギャップダウンしてオープン。上旬、11月米非製造業景況指数が市場予想を大幅に上回りドル買いが進行する場面が見られるも、中旬以降は中国でコロナ規制緩和期待や11月米CPIの弱い結果を受けドルバーツは34台半ば近辺まで下落した。しかし、14日のFOMCでは全会一致で政策金利の50bp利上げを決定し、ドット中央値を上方修正する中、ドル買いが進行。ドルバーツは再び35台に乗せる場面があるも、その後の日銀の金融政策決定会合で従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.50%に拡大すると発表したことを受けドル売りが再開。下旬にかけては、米経済指標の強い結果によりドル買いに振れる場面があるも、中国で新型コロナ対策の規制緩和が進んでいることがバーツの支援材料となり、バーツ買いが進行。ドルバーツは上下を繰り返しながらも上値を切り下げる展開となり、結局ドルバーツは34.50台後半近辺で越月となった。

(2)(金利動向)
12月のバーツ金利は短中期ゾーンを中心に全年限で前月末対比低下する展開となった。上旬、11月米ISM製造業景況指数が市場予想を下振れる結果となったことに加えて、11月タイ消費者物価指数(CPI)は前年同月比+5.55%の上昇と、3ヵ月連続で前月を下回る結果となりバーツ金利は中長期ゾーンを中心に低下。更に中旬に発表された注目の11月米CPIは10月に引続きインフレの鈍化が示唆される内容となると、債券買いが進行し、バーツ金利は全年限で大幅に低下した。その後、FOMCのタカ派な結果や日銀のイールドカーブコントロールの運営を一部修正するサプライズを受けて、バーツ金利は長期ゾーンを中心に上昇に転じるも上昇幅は限定的にとどまり、下旬にかけてはクリスマス休暇に向けてマーケットは閑散。バーツ金利は動意に欠ける展開となり、結局タイ10年物国債利回りは2.64%台、同5年物利回りは1.96%台、同2年物利回りは1.63%台と、それぞれ前月末より▲0.08%、▲0.28%、▲0.13%の値動きとなった。

(3)〈今後のイベント・見通し〉
先月は、米CPIに加えてFOMCや日銀政策決定会合等注目のイベントをこなし、ドルバーツは上下に振れる場面があったものの、中国でのゼロコロナ政策緩和発表が相次いでいたこともあり徐々に上値を切り下げる展開となった。また、発表された日銀政策決定会合では、政策金利の変更はなかったものの10年国債の許容変動幅を従来の±0.25%から±0.50%程度にすること、日本国債の各年限で更なる買い入れ額の増額や指値オペをする等、イールドカーブコントロールの運営を一部修正することが公表され、日本金利に連れて米金利やバーツ金利も上昇。為替はドル売りの流れに沿ってドルバーツも下落した。今月は25日にMPC、31日にFOMCの発表が予定されており、FOMCでは次回の利上げペースを減速させる可能性はデータ次第とし、引続き各経済指標には要注目となる。また、ドルバーツは引続き落ち着きどころを探る展開が予想され、レンジブレイクした際の値動きには要警戒。


4.政治動向、その他
2022年11月30日から12月11日にかけて開催された第39回MotorExpoでの購入予約台数は自動車が36,679台、バイクが6,089台だった。車種別の割合ではSUVが53.9%、セダンが30.3%、ピックアップトラックが11.8%、その他が4.0%だった。イベントで予約された自動車の平均価格は135.0万バーツで、バイクは25.4万バーツだった。また、イベントでの売上高は約510億バーツで、来場者数は133.6万人だった。



(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

情報提供:三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.




 
 
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