タイ国経済概況(2024年5月)

1.景気動向
(1)タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)の発表によると、2024年3月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比+2.1%で112.4となった。2024年第一四半期の上昇率は、前年同期比+1.2%だった。PPI指数は2015年を100として基準にしており、3ヵ月連続の上昇となった。2024年3月の品目別では、「農業・水産」が前年同月比+5.9%「工業製品」が同+2.4%と好調。マイナスとなった主な項目は「鉱業」で同▲13.7%だった。鉱業のうち、「原油・天然ガス」が同▲16.2%、「鉱石」が同▲9.9%。「コンピューター・電子機器」は同▲1.7%だった。

(2)工業連盟(FTI)が4月25日に発表した3月の自動車生産台数は、前年同月比▲23.1%の13.8万台だった。内訳は国内向けが同▲41.0%の4.7万台、輸出向けが同▲9.1%の9.2万台。新型コロナ前の2019年3月の生産台数19.9万台を下回った。また、3月の国内新車販売台数は同▲29.8%の5.6万台で、輸出台数は同▲3.3%の9.5万台。新型コロナ前の2019年3月の販売台数が10.3万台、輸出台数が11.8万台であり、販売台数、輸出台数ともに新型コロナ前の水準を下回った。

(3)FTIが4月25日に発表した3月の自動二輪車生産台数は、前年同月比▲4.0%の21.9万台で、9ヵ月連続のマイナスを記録した。2019年3月の生産台数は23.9万台であり、新型コロナ前の水準を下回った。内訳は完成車(CBU)が同▲9.4%の18.0万台で、完全組み立て部品(CKD)が同+31.3%の4.0万台。また、3月の国内販売台数は同▲18.7%の15.0万台、輸出台数は同+5.7%の4.6万台だった。2019年3月の販売台数が16.8万台、輸出台数が3.4万台であり、輸出台数は新型コロナ前の水準を上回った。

(4)2024年第1四半期の農業部門の国内総生産(GDP)は前年比▲4.1%だった。タイ農業・協同組合省農業経済事務局(OAE)によると、エルニーニョ現象によって雨不足、貯水量不足となったことと、酷暑の影響で主要作物の収穫量が▲6.4%となったことが要因。主要作物のコメ、キャッサバ、サトウキビ、天然ゴム、アブラヤシ、ロンガン(竜眼)、ドリアン、マンゴスチン、ランブータン等が収穫量減少となった。一方でOAEは、通年の農業のGDP成長率については生産工程の効率化や農産品加工の推進を進める予定で、+0.7~1.7%の予想を据え置いた。
また、畜産は+1.5%、漁業は+0.5%、林業は+1.8%だった。畜産は国内外の需要回復を受けて鶏肉と豚肉の生産量が増えた。漁業は養殖場の管理体制改善でエビの生産が増え、燃油価格の下落で遠洋漁業も拡大した結果、微増。


2. 投資動向
(1)タイ投資委員会(BOI)は4月10日、低所得者向け住宅事業への投資奨励を開始したことを明らかにした。この措置は、低所得者層が自分の住居を持つことを奨励する政府の方針に沿って、政府の不動産部門を通じた景気刺激策の一環である。恩典内容は法人税の3年間免除で、プロジェクトの共通インフラ(道路、公共施設等)を開発する費用分のみが控除の対象となる(建物工事費用は対象外)。恩典の申請にあたっては以下の条件が定められている。一戸あたり150万バーツを超えない価格で個人へ販売されること。使用可能な面積が70平方メートル以上でなければならず、コンドミニアム建設の場合は、一戸あたり24平方メートル以上であること。全体への監視カメラ設置、警備員2人以上の24時間常駐、共有スペース、適切な割合の駐車スペース等、標準的な設備が整っていること。これらの条件に当てはまるかどうか、恩典申請前にタイ政府住宅銀行(GHB)の承認を得なければならない。申請受付は2025年12月まで。

(2)5月2日のBOIの発表によると、2024年1~3月のBOIへの新規投資申請額は前年同期比+31%の2,282億バーツ、申請件数は同+94%の724件だった。うちFDIは、金額が同+16%の1,693億バーツ、件数が同+130%の460件だった。国別では、首位がシンガポールの425億バーツで、中国の347億バーツ、香港の266億バーツ、台湾の200億バーツ、オーストラリアの172億バーツが続いた。日本はトップ5に入っていない。産業別では、首位が電気・電子の申請額772億バーツ、2位が自動車・部品の213億バーツだった。


3. 金融動向
タイ中央銀行(BOT)の発表によると、2024年の3月末時点で金融機関預金残高は25兆2,180億バーツ(前年同月比+1.9%)、貸金残高は30兆4,904億バーツ(同+1.2%)といずれも増加。政策金利は2.5%に据え置かれた。


4. 政治動向、その他
(1)タイ政府は、上院議員250人の任期が5月10日に満了し、5月13日に選挙日程の公示、立候補者の受付が開始される上院議員選出法を4月23日に承認した。当上院議員選挙は、2017年憲法の規定により定員が現在の250人から200人に減り、20の専門分野からそれぞれ10人が選出される流れ。被選挙権の条件は40歳以上、10年以上専門分野の職業に従事していたことが求められる。地区レベル・県レベル・全国レベルと3回の選出が行われ、各段階で、候補者が互いに投票し合う方式をとる。最終当選者は7月2日に開示される予定。

(2)4月25日の観光・スポーツ省の発表によると、2024年3月の訪タイ外国人旅行者は前年同月比+31.4%の298.3万人だった。国別にみると、中国が57.3万人(同+112.5%)と最多で、マレーシアの34.6万人(同▲4.5%)、ロシアの19.9万人(同+11.9%)と続いた。日本は9位で、9.3万人(同+54.0%)だった。また、観光・スポーツ相のスダワン氏は、ソンクラーンを含む4月1~21日の観光収入が約1,403億バーツに上ったと発表した。同省の事前予想(1,320億バーツ)を上回る数字だった。同期間の外国人旅行者数は前年同期比+37.5%の193万人だった。


(注)本資料は情報の提供を目的としており、何らかの行動を勧誘するものではありません。
投資等に関する最終決定は、お客様ご自身で判断されますよう宜しくお願い申し上げます。

情報提供:三井住友銀行バンコック支店 SBCS CO., LTD.



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