砂蜥蜴と空鴉

ひきこもり はじめました

地震

2004年09月03日 | ログ
世界樹の葉が揺れる。それは大きな地震の兆し

葉の震えは波となり世界中に伝播した

この話は震えを聞いた砂漠に住む三匹の動物の話

臆病者と怠け者と自分勝手の話

ハゲタカの伊藤は臆病者だった。ゆえに地震を恐れ、狂わんばかり空を飛んだ

『地震が来る!!地震が来る!!地上は危ない空を飛べ!!』

そうして彼は一週間、何も食わず何も飲まずに空を飛び回った

地震が来る!!地震が来る!!地上は危ない空を飛べ!!

そうして更に一週間が経ちハゲワシの伊藤は力尽き地震が来る前に大地に還った

サボテンの岩蔵は怠け者だった

だから波の知らせを伝え聞いても本当に何もしなかった

『人生なんて泡のようなもの。じたばたしても仕方がない。だから今はダラリとしよう』

そうして時が経った

世界樹の葉の伝え通り大きな大きな地震が来た

サボテンの岩蔵はダラリしたまま地割れに呑まれ泡のように底へと消えた

最後の動物、砂蜥蜴は非常に自分勝手なヤツだった

『童話において最後のヤツは必ず幸せになる。だから俺は何の心配もいらない!!』

そんな自分勝手な台詞を言い漫画を読み始めた

だがまぁ時は経ち地震はやってくる

縦に揺れ横に揺れ

哀れ砂蜥蜴の家は主人もろとも崩れてしまった

『話が違うじゃないかッ!!』

最後まて自分勝手なことを言って家屋の下敷きとなった

こうして地震は収まった。多くの生き物が死に生き残ったものはひとしきりそれを悲しみ日常を再開した


『世界オチのない昔話より「誰も救われなかった三匹の話」』