赤門記者のメタボな日々

笑いの街・大阪で、笑えることも笑えないことも追いかける因果な商売。明日は笑っていたいなあ…。

King of Kings

2008-06-17 21:56:06 | Weblog
 今日のネタは、あまり一般的ではないかもしれません…。 

 実はこっそり「囲碁将棋担当」もしているのですが、
今日は将棋界にとって特別な日となりました。
歴代最強棋士とも称される羽生善治二冠が、
名人戦第6局で森内俊之名人を下し、4勝2敗で名人位を奪取。
実力制名人戦開始以来、6人目となる永世名人(十九世)の称号を得ました。

 羽生名人といえば、将棋に詳しくない人でも名前と顔は知っているという、
失礼を承知で言えば、それだけで将棋界では群を抜いた存在。
1996年には、26歳の若さで7大タイトルを全て保持する初の快挙を達成し、
世に将棋ブームを巻き起こしました。
私もそのころ、将棋に強い興味を持ち始め、
専門誌などを買うようになったものです。
もっとも、私は羽生名人のライバルであった、
谷川浩司九段のファンだったのですが…。
(谷川九段も、永世名人資格者(十七世)です)

 当然、十八世名人は羽生さんだ、と誰もが思っていたはず。
しかし、なぜか名人戦(挑戦を賭けた順位戦)には苦戦続き。
そんな中、同年齢で小学校時代からライバルだった森内九段が、
昨年、先に十八世名人の称号を獲得。
内心、今期の名人戦には相当燃えるものがあったと思います。

 しかし、それを表に出さないのが羽生流。
基本的にプロ棋士は対局中、あまり表情を変えないものですが、
とりわけ羽生名人は、常にクールで無表情。
昨年末、史上最速の公式戦通算1000勝を達成したときに取材したのですが、
未明に及ぶ熱戦の後にも、紅潮もせず笑顔も浮かべず、
淡々と取材に応じていたことを思い出します。

 その席上、私が
「次の目標は永世名人ということになるでしょうか」
と尋ねてみますと、
「目の前の一局一局をしっかり指すこと、それだけです」
と落ち着いて答えられました。
炎のように燃える指し手に、氷のような冷静さ。
これが「King of Kings」なのだと、
こちらも背筋が伸びる思いをしたものです。

 写真は、その時の羽生さんの写真。
終局後の脱力感もあいまって、なんとも神々しさすらある雰囲気です。