図書館からの3冊目。

「舟を編む」三浦しをん
本屋大賞受賞本。
映画化もされています。
この小説の存在はもちろん存じてましたし、いつか読もうとも思ってました。
ただ、本当に機会がなかったんです。
たまたま図書館で、湊かなえさんの本が目について、湊かなえの「み」見出しと近いところにあった「三浦しをん」覧に目が行きました。
いつも思うのが「しをん」という文字です。
同時にいつも思い出すのが「今市子」。
「しをん」という書き方も面白いけど、「今市子(いまいちこ)」というネーミングも面白い。
この二人は、私の中の「面白い項目」に属していて、お二人の名前がセットで私の中にインプットされています。
話しを戻して、今回は「三浦しをん」覧にこの「舟を編む」がありました。
せっかく見つけたんだし、「いつか読もう」を今回にしようと借りてみました。
結果、読みやすく、面白い!
ネットに上げられてる評が好評が多いのも頷けました。
タイトル「舟を編む」とは?
「船」じゃなくて「舟」。
この疑問は、わりあいと早い段階で解消されます。
読む前、「舟を編む」と、中島みゆきさんの「糸」が、私の中では何故か同類インプットされてました。
舟を編むは、1~5章+エピローグに分かれていて、それぞれ視点が変わります。
1.は、幼いころから言葉に興味を持ち、会社人生を辞書に捧げてきた、玄武書房辞書編集部の荒木公平の視点。
2.は、荒木定年後の辞書編集部を背負うことになった、馬締(まじめ)光也の視点。
3.は、荒木の時代から辞書編集部に在籍していた、西岡正志の視点。
4.は、西岡が宣伝広報部に異動してしまった後、長らく空席だったその場所に異動してきた、岸部みどりの視点。
5.は、馬締光也に視点が戻り。
エピローグで、15年(だったと思う)の歳月をかけた「大渡海(だいとかい)」辞書の完成祝賀パーティーへと移ります。
1つの辞書を作るために、どれだけの年月と人の手が入っているのか。
会社との折衝、攻防戦。
辞書用の紙を新しく作り出す大変さ。
執筆依頼の大変さ。
辞書編集部に在籍した面々の葛藤や成長。
どの章もとても読み応えがあって、なりより、辞書を作るという小説なのだからか、この物語自体が言葉をとても丁寧に扱っているのが凄く伝わってきました。
そして、それぞれの人物描写やネーミングも面白く(隠し意味ありげ文章もあり)、それぞれに他には無い味があります。
ところで、71ページの部分で、私が読み違えた箇所がありました。
香具矢(かぐや)のセリフです。
「どんなにおいしい料理を作っても、一周まわって出ていくだけ」
このセリフに対し、この章の視点者である馬締光也は↓
「観覧車を食物の摂取と排泄にたとえるとは、変わったひとだ。」
このように受け取ります。
ところが、私が受け取ったのは↓
「お通しという入口からはじまった料理も、前菜→メインと進み、最後はデザートを食べてしまうとお会計して帰っていく」
という、「客と板前の一期一会」のような関係を意味したのかと思ったのです。
一気に読んでしまいました。
本屋大賞、さすがです。
子どもの頃、辞書は飾り物じゃなくて「ちゃんと引くもの」と、分かっていればよかったのに、とも思いました。
そういや、新婚の頃、何かあると辞書を引く夫にちょっとびっくりしてたのを思い出しました。