銀座大幸歯科

銀座大幸歯科院長ブログ

エビデンス

2010-03-12 16:24:10 | Weblog
近代インプラントが誕生してから50年以上経った。
テクノロジー、バイオロジー、そして歯科医の知識とスキルが最高の状態で組み合わされて、難易度の高いインプラント治療が成功していく。
私たちが求めているもの、それは合併症などの感染に対するコントロールを徹底し、治療したインプラントを長持ちさせ、患者様の生活の質(QOL)を高めることです。
それが歯科医としての責任であります。

これは2004年3月に処置したオールオンフォーのレントゲンです。
今年で7年目に入ります。
特に大きな問題は発生していませんが、10年、15年目に向けてしっかりとメンテナンスする必要性があります。

アメリカでは小型飛行機墜落事故で年間16人のパイロットが亡くなったそうですが、その原因は、ガソリンのチェックを怠ったためだったそうです。
歯科治療において、このようなことが決して起こってはなりません。

下顎管

2010-02-13 15:52:00 | Weblog
インプラントを始めたばかりの先生は、まず下顎の奥歯(大臼歯部)の治療からインプラント治療をやってみる。
それは、一番簡単だと思われているし、骨質も良く成功率も比較的高いからだ。
しかし、写真のような症例ではどうだろうか?
下顎管(神経管)も近いし、舌側の歯槽骨内斜線も急激にカーブしている。
明らかに難症例である。
また、上顎の奥歯との噛み合せも考えてインプラントを埋入しなければならない。
力学的安定したニュートラルゾーンで、なおかつ神経から一定の距離を保ち、舌側に突き出るようなことのないように埋入しなければならない。
こんな症例を勘に頼って治療していたら、いつか医療事故が起きてしまう。
必ず、術前にCTを撮影し、治療計画を綿密に立案し、手術時も埋入方向や深さを確認するために、ドリリング途中で必ずゲージを入れてCTを撮影するべきである。
もちろん術後にCTでの確認も当然必要である。

最近、どこの歯医者でもインプラント治療を標榜している。

事故のないように、きちんとCTで確認してから治療してもらいたいものである。
全ての責任は執刀した先生の責任になるのである。
もし、インフラが整っていないのであれば治療するべきではない。
また、術前にCTを別の場所で撮影し、シンプラントなどのシュミレーションソフトで解析をするだけで手術を行うのも勧められない。
きちんと術中、術後もCTで確認が必要である。

安全で安心な治療は、患者さんだけでなく術者にとても大切なことである。










プラナフ・ミストリー

2010-02-07 17:47:40 | Weblog
皆さんはプラナフ・ミストリーをご存知だろうか。
彼はMIT在籍のインド人IT研究者で、次世代コンピュータ「Sixth Sense デバイス」の開発者である。
彼の考案した次世代コンピューターはi-padどころの驚きではない。
もはや、液晶画面のタッチパネルすら存在しない。
内蔵カメラが捉えた映像や体の動き(ジェスチャー)、手書きのメモパッド、音声認識などで、入力を行う。
まるで魔法のように感覚的に使うことができる。
僕の説明なんかどうでもいいが、興味がある人はこのサイトを見てほしい。
ちょっと未来を感じられて楽しくなると思いますよ。

http://www.ted.com/talks/lang/jpn/pranav_mistry_the_thrilling_potential_of_sixthsense_technology.html

現在の既成概念を覆す発想力。

もう脱帽です。




サイナスリフト

2010-02-02 14:06:04 | Weblog
インプラントで最も難しい症例は、審美領域の前歯である。
そして、その次に難しい場所は上顎の奥歯である。
上顎の奥歯は副鼻腔(サイナス)があり、インプラントを入れるだけの骨幅がない場合が多いし、骨質は海綿状で柔らかく、脆弱な場合が多いからである。
そこで、骨幅が薄く脆弱な骨を、十分な骨幅で良質な骨質に変えなければ、インプラント治療は成功しない。
サイナスリフトとは、側面から穴を開けて、副鼻腔内で骨に置き換わる補填剤を入れ、まず良質な骨を作り、その後にインプラント手術を行うテクニックであり、専門的には「オープン・ウィンドウ」と「アクティブ・ウィンドウ」テクニックがあります。
また、もう一つのテクニックとして「ソケット・リフティング」がある。
ソケット・リフティングはインプラント手術と同時に、インプラントを入れるために削った穴から副鼻腔を上方に押し上げて増骨をするテクニックで、一回法なので一見簡単そうに思えるが、副鼻腔内の粘膜(シュナイダーメンブレン)を破りやすいし、理想的に骨を作るのが意外と難しい側面がある。また、骨幅が最低でも5ミリ位ないとインプラントを安定して初期固定することが出来ない。
ソケット・リフティングは低刺激で受け入れやすい治療法であるが、粘膜を損傷させた場合や、インプラントの初期固定が難しい骨質の場合は、いつでも「オープンウィンドウ」テクニックのサイナスリフティングにチェンジできる技術がなくてはならない。

インプラントを専門にしている歯科医院のサイトを見ていると、安易にソケット・リフトをしている症例が多いと思う。
時間がかかっても、きちんと骨を造ってからインプラントをするべきである。
それが出来なければ、難症例には手を出すべきではない。
抜歯をして、骨幅が1~2ミリしかないのに即日インプラント手術をして、必要以上の本数を入れ、その日のうちに仮歯を入れている症例を紹介している医院がある。

夢のようだが、現実はそんなに甘くはない。






インプラント 使いまわし

2010-01-25 14:02:05 | Weblog
皆様もご存知のとおり、愛知県内の歯科医院でインプラントの使いまわしが日常的に行われ、社会問題になっている。
さまざまな医学的実証(エビデンス)を基に、ベストな治療をすること。
最善の技術や最善の機器に裏打ちされたベストな処置をすることは、歯科治療に身をおくものの使命でもあります。
そのうえで、さらにもっと重要なことは、患者様に対して正確でクリアーな情報を提供し、説明することだと思う。

写真のように、通常は3重に滅菌されたアンプル内にインプラントは入っています。
そして、手術時インプラントを埋入する直前にアンプルから本体を取り出すのが正しい使用法です。
そして、アンプルには製造番号やインプラントの種類や形状を現す番号が記載されています。
それらの番号が記載されたシールはカルテに必ず添付し、メーカーの保障が受けられるシステムになっています。

今回ような問題が起きることは、予想もしていませんでしたが、私たち歯科医全体で安全で安心してインプラント手術が行われるようにしなくてはなりません。

私たち歯科医が求めているもの、それは合併症などの感染症に対するコントロールを徹底し、治療したインプラントを長持ちさせ、患者様の生活の質(QOL)を高めることであります。

それが、患者様に対する歯科医としての責任なのです。

電気自動車

2010-01-13 13:12:21 | Weblog
僕はほとんど車を自分で運転しない。いわゆるサンデードライバーに属する。
たまに行くゴルフも友達が迎えに来てくれるし、通勤も地下鉄である。
運転するといったら、週末スーパーに買出しに行くか、荷物が沢山あるときに通勤に使うくらいである。
年間走行距離で2000km位である。
ガソリン代なんて気にならないくらい少ないが、CO2や排出ガスはやっぱり気になる。
ふだん気にも留めていない銀座日産ギャラリーに、電気自動車「LEAF」が展示してあった。
この車の特筆するべき点は、その独自のITシステムにあると思う。
車に乗っていないときでも、そのITシステムで電気自動車と手持ちのi-phoneとが、常につながっている。
夏の暑いときや冬の寒いときには、携帯電話からエアコンをあらかじめ作動しておき、乗り込む際には快適な温度にしておくことも出来る。また、買い物中に充電しているときには、充電完了をメールで知らせてくれる。などなど、便利な機能が満載である。
車にあまり心を揺さぶられることがないけれども、不覚にも欲しくなってしまった。
早速、WEBで先行予約をしてしまった。

電気自動車の時代は僕たちが思っているよりも早く来ると思う。
電気自動車にはリチウムイオンバッテリーが必要不可欠であり、その電池の生産、クオリティーでは日本は世界をリードしている。
日本再生のカギは、間違いなく環境技術である。

Zero-emission mobility is a true breakthrough and key to our future.




まぐろ

2010-01-08 15:07:29 | Weblog
築地の初競りで青森県大間産クロマグロが、1本1628万2000円(232.6キロ、1キロ当たり7万円)の高値で出た。
頭や骨を取り除いて、食べるところにすると130キロ位であるから、1キロ当たり125’000円である。
今朝の情報番組で見たところ、赤味、中とろ、大とろ、の3貫で3’000円位だったから、マグロでは利益がたぶん出ていないはずである。
マスコミに取り上げられることによる宣伝効果は絶大だし、マグロで利益が出なくても、飲み物や、その他のネタで利益を出せば良いのである。
化粧品の「無料サンプル」みたいなもので、それは新しいビジネスモデルではないし、単純なマーケティング手段である。
しかし、これだけ高価なマグロを仕入れるのは気合と根性が必要だと思う。

専門的には内部相互補助っていうんだけれども、すし屋も戦国時代である。
さすが、ミシュランを辞退した久兵衛である。

その意気込み、見習いたいものです。

There's no such thing as a free lunch.




補填剤

2010-01-04 16:04:34 | Weblog
僕は10年以上Bio-OssとDFDBA(同種他家骨)を併用してインプラント治療を行って来ましたが、10年経過したインプラントの定着率で言うと、Bio-Ossの方が成績が悪い。
10年という長い期間を通してインプラントの固定着率の良いのは、やはりDFDBAだと思う。
欧米ではコンセンサスが得られている治療法だが、日本国内ではどちらの場合も認可が下りていないため、インフォームコンセントをしっかりし、きちんとラポールが得られなければ使用できない。
日本は薬害肝炎やBSEの問題に敏感すぎる。それと、一般的に移植を認めていないことは、先進国では極めて珍しい。そのことが医療を10年以上発展途上にしているのにもかかわらないのに。
話を戻すと、確かにBio-Ossは吸収が早くインプランテーションを早めますが、長期的には骨の強度が不足している。簡単なリフティングにはいいけれども、大きな骨造成には物足りなさがある。
アメリカでも著名な先生方はBio-Ossの使用を止めてDFDBAとHAやβ-TCPの混合グラフト材に移行しています。
僕は、Bio-OssやDFDBAにHAやβ-TCPを混合して使っていますが、患者さんの了承が得られない場合は、自家骨とHAを混合しています。自家骨単体よりもHAを混合したほうが骨吸収しにくいし、硬い骨になる為である。

また、最近はBio-Ossの廉価版でNuOssも出ていますが、使用する時にはコーチカルではなくキャンセラウスが良いみたいです。その方がまだ定着率が良いようです。
Bio-OssもNuOssも基本的は牛由来ですからどちらも異種骨で非生体という点では同じであるが、FDAの厳しい管理の下に製造されているので、BSEなどの問題は完璧にクリアーされている。(過去に薬害が出た症例はない)

自家骨を移植するか補填剤を使うかは、日本では難しい問題だが、治療のインパクトを低減し、成功率を高めるには避けては通れない問題である。

新年、明けましておめでとうございます。
歯医者さんの閲覧も多いので、専門的な投稿をこんな感じで書いてみました。
本年もよろしくお願いいたします。

2010年 1月4日  加藤 大幸


プラットホーム・スイッチング

2009-12-22 10:29:33 | Weblog
12月になると、検診の患者様が必然的に増える。
一年の終わりに、お口の中を総点検し、一年の垢を取る。
車の車検みたいなものだ。
10年以上通っていらっしゃる方が、久しぶりに来院してくれた。
彼は仕事の関係でシンガポールに住んでいるので、里帰りのついでに検診に来てくれる真面目な患者さんである。
さて、plathome swichingという聞きなれない言葉であるが、これはインプラントの学会でも、ここ最近出てきた造語である。
もともと、ある研究者がインプラント(フィクスチャー)に土台(アバットメント)を付けるときに、間違って違うサイズのパーツを付けてしまったことで偶然発見された。
その研究者は、間違ったアバットメントを使ったのに気がつかず、数年後にレントゲンを撮影してみた。
驚いたことに、正しいアバットメントを付けたインプラントは骨吸収(ダウングロース)していたのに、間違った治療をしたインプラントは骨吸収していなかったのである。
それから、研究開発が進み、現在のプラットホーム・スイッチングの形になってきた。

この写真を見ても分かるとおり、右側のインプラントは10年前に埋入した一回法straumann ITIインプラント、左側が3年前に埋入した2回法Astratech インプラントである。
大きく違うのは人工歯とインプラントの接合部分である。
straumannは接合部分が歯茎の高さの所(tissue level)で、Astratechは接合部分が骨の高さの所(Bone level)にあります。
Plathome Swichingtとはインプラントの外形と上部構造の外形が異なることであり、分かりやすく言うと上部構造がピッタリしていないで多少ズレていて、境界線が細くくびれているのが特徴的である。
その細くなっているところで、噛んだときの振動が吸収され、インプラントと骨に直接的な振動が伝わらないことにより骨吸収が起きにくい。
上手くいけば、写真左側のインプラントのようにくびれた所に骨が増えて、より強固な結合が得られるのである。
それでは一回法のインプラントはどうかと言うと、骨結合後しばらくすると骨上縁から2~3ミリの骨吸収が起こることが分かっています。専門的にはsoucerと呼ばれていて、感染を起こさなければ骨吸収はその位置でとまります。
しかし、インプラント周囲炎などにかかると一気に周辺骨が壊れて行き易いため、現在では骨レベルでプラットホーム・スイッチできるタイプのインプラントが推奨される。
日本ではどうしても厚生労働省の認可をとるまでに時間がかかる。
海外ではNobel Activeやstraumann Bonelevel implantなど、骨レベルでプラットホーム・スイッチできる新しいインプラントが出ている。
しかし、現時点では残念ながら日本国内では発売していない。(大幸歯科ではアメリカから個人輸入して使用)
現在日本で認可が下りているものでは、主にAstratechやankylosなどである。

近い将来、ほとんどのインプラントメーカーがプラットホーム・スイッチング可能な骨レベルインプラントになるであろう。
だが、日本は認可が通るまでに2年くらい遅れてしまう。
WTO(世界貿易機関)加盟国の日本は、国内のインプラントメーカーや製薬会社を保護するために許認可規制をしているんだけれども、インプラントに関しては日本のメーカーはダメすぎる。
はっきり言って、使い物にならないし、患者様に自信を持ってお勧めできるレベルにない。

残念だが、長妻さんに何とかしてもらうしかない。


アバクロ

2009-12-10 14:21:11 | Weblog
来週15日に、いよいよ銀座にアバクロがオープンする。
アバクロといえば、露出したモデルが入り口に立っているのが特徴である。
もちろん、ミラノに続いて銀座でもやるらしい。
しばらく、騒がしくなりそうだ。

ついつい、男でも見とれてしまう。

明日から腹筋しよう。