銀座大幸歯科

銀座大幸歯科院長ブログ

下顎管

2010-02-13 15:52:00 | Weblog
インプラントを始めたばかりの先生は、まず下顎の奥歯(大臼歯部)の治療からインプラント治療をやってみる。
それは、一番簡単だと思われているし、骨質も良く成功率も比較的高いからだ。
しかし、写真のような症例ではどうだろうか?
下顎管(神経管)も近いし、舌側の歯槽骨内斜線も急激にカーブしている。
明らかに難症例である。
また、上顎の奥歯との噛み合せも考えてインプラントを埋入しなければならない。
力学的安定したニュートラルゾーンで、なおかつ神経から一定の距離を保ち、舌側に突き出るようなことのないように埋入しなければならない。
こんな症例を勘に頼って治療していたら、いつか医療事故が起きてしまう。
必ず、術前にCTを撮影し、治療計画を綿密に立案し、手術時も埋入方向や深さを確認するために、ドリリング途中で必ずゲージを入れてCTを撮影するべきである。
もちろん術後にCTでの確認も当然必要である。

最近、どこの歯医者でもインプラント治療を標榜している。

事故のないように、きちんとCTで確認してから治療してもらいたいものである。
全ての責任は執刀した先生の責任になるのである。
もし、インフラが整っていないのであれば治療するべきではない。
また、術前にCTを別の場所で撮影し、シンプラントなどのシュミレーションソフトで解析をするだけで手術を行うのも勧められない。
きちんと術中、術後もCTで確認が必要である。

安全で安心な治療は、患者さんだけでなく術者にとても大切なことである。










プラナフ・ミストリー

2010-02-07 17:47:40 | Weblog
皆さんはプラナフ・ミストリーをご存知だろうか。
彼はMIT在籍のインド人IT研究者で、次世代コンピュータ「Sixth Sense デバイス」の開発者である。
彼の考案した次世代コンピューターはi-padどころの驚きではない。
もはや、液晶画面のタッチパネルすら存在しない。
内蔵カメラが捉えた映像や体の動き(ジェスチャー)、手書きのメモパッド、音声認識などで、入力を行う。
まるで魔法のように感覚的に使うことができる。
僕の説明なんかどうでもいいが、興味がある人はこのサイトを見てほしい。
ちょっと未来を感じられて楽しくなると思いますよ。

http://www.ted.com/talks/lang/jpn/pranav_mistry_the_thrilling_potential_of_sixthsense_technology.html

現在の既成概念を覆す発想力。

もう脱帽です。




サイナスリフト

2010-02-02 14:06:04 | Weblog
インプラントで最も難しい症例は、審美領域の前歯である。
そして、その次に難しい場所は上顎の奥歯である。
上顎の奥歯は副鼻腔(サイナス)があり、インプラントを入れるだけの骨幅がない場合が多いし、骨質は海綿状で柔らかく、脆弱な場合が多いからである。
そこで、骨幅が薄く脆弱な骨を、十分な骨幅で良質な骨質に変えなければ、インプラント治療は成功しない。
サイナスリフトとは、側面から穴を開けて、副鼻腔内で骨に置き換わる補填剤を入れ、まず良質な骨を作り、その後にインプラント手術を行うテクニックであり、専門的には「オープン・ウィンドウ」と「アクティブ・ウィンドウ」テクニックがあります。
また、もう一つのテクニックとして「ソケット・リフティング」がある。
ソケット・リフティングはインプラント手術と同時に、インプラントを入れるために削った穴から副鼻腔を上方に押し上げて増骨をするテクニックで、一回法なので一見簡単そうに思えるが、副鼻腔内の粘膜(シュナイダーメンブレン)を破りやすいし、理想的に骨を作るのが意外と難しい側面がある。また、骨幅が最低でも5ミリ位ないとインプラントを安定して初期固定することが出来ない。
ソケット・リフティングは低刺激で受け入れやすい治療法であるが、粘膜を損傷させた場合や、インプラントの初期固定が難しい骨質の場合は、いつでも「オープンウィンドウ」テクニックのサイナスリフティングにチェンジできる技術がなくてはならない。

インプラントを専門にしている歯科医院のサイトを見ていると、安易にソケット・リフトをしている症例が多いと思う。
時間がかかっても、きちんと骨を造ってからインプラントをするべきである。
それが出来なければ、難症例には手を出すべきではない。
抜歯をして、骨幅が1~2ミリしかないのに即日インプラント手術をして、必要以上の本数を入れ、その日のうちに仮歯を入れている症例を紹介している医院がある。

夢のようだが、現実はそんなに甘くはない。