紀州七代大彦の木の家づくり日記

「ここちよく美しい暮らしのために」
和歌山大阪にて「一軒一軒ていねいに150年」家づくりに取り組み続けています

「すかす」「ずらす」

2015年11月09日 | イイ建築・家具の話

先週末金沢に出張しておりました。会議などの合間、私にとっては最重要事項であります「建築探訪」も、もちろん行ってまいりました。

お寺や美術館などは、それがそのまま「お家づくり」に活かせることは無いように思われるかもしれませんが、同じ「建築」。細部のディテールや見せ方、そしてその建築の考え方などは規模に関係なく共通するものがあります。

「住宅」を設計できるものは、何でも設計できる。なんて有名な言葉もありますが、何せ建築は奥が深いですから、和・洋などなんて事には全く関わらず良い物を見て勉強することは、純粋に自社のレベルを上げて良い物を造るのにも、お客様により喜んでいただくためにも必要であります!!

なんて、まあ結局は建築が好き。ってことなんでしょうがね。

ではちょっとご紹介。

まずは歴史的なものから。

さすがに金沢は歴史もあるし、戦禍もまぬがれておりますから、風情のある街並みが残っています。

(↑やっぱり、魅力のある街は川や水の使い方が上手いですね)

しかし、それだけではなく古い建物や公園などの資源を皆で守り、また新たに建っている建物や公共建築物もデザインに大変気を使い、また文化を愛し、レベルの高いものを守り続けている金沢市民は凄いな〜と思いますです。

このよう茶屋街などはその最たるもので、素晴らしい風情があります。

夜に顕著にあらわれますが、特にこの格子ですね。

 

日本の建築の素晴らしい一つの「すかす」ということです。

見えながらも何か結界をつくって仕切り、仕切られながらも明かりや風景を通す。見せながら隠すというか、隠しながら見せるといえば、なかなか日本らしいではないですか。

 

そしてこの考え方はもちろん現代建築にも踏襲されています。どうです?美しいでしょう〜。(こちらはまた次回ご紹介します)

そして今度は、

 

この兼六園内の建物のアプローチに見られるように、「ずらす」ってことです。

こちらはもう一つ説明が難しいけど、ナナメにずらして正面から見せないとか、ずらしてぐっと変化を生み出すとか、とても魅力的な空間によく用いられていると思います。

もちろん、厳しい真っ直ぐ!ピシっとシンメトリーも良いですが、こういう風な変化をつけていくのも面白いでしょ。これはすぐにお家のアプローチなどで使える手法です。

 

さて、あとは色々気になったものをちょこちょこっとご紹介。

有名な兼六園の雪吊りです。

この作業を丁度やっていましたが、職人さん達の仕事ぶりが見ていて素晴らしかったです。やっぱり何の職人さんでも優れている人は共通事項が多いです。(またこれは後日)

質感のある左官壁。どんな塗り方しているのかは?また左官屋さんに教えてもらいますが、重厚感と存在感のある壁でした。

柿葺(こけらぶき)の屋根。

まずお家ではやることはないでしょうが、やっぱり隅部分が丸く仕上げているのは素敵です。銅板などの板金屋根では再現できる手法ですが、手間がかかるんですよね〜。だけど素敵です。

なまこ壁。

よく見るのは菱型にしているから、面白かったです。

最後に、とんでもなく柱を飛ばした縁側。

ぱっと見て口あんぐりになりました。「おいおい。これどう納めてるのよ!!」と。

今日はうちの大工さん達に聞けば、どうやっているかはすぐ解決しましたが、それを苦もなく納めてまた長い間持続し続けているのは凄い技術ですね〜

この手法も手間がかかりますが、上手く応用して考えれば、すぐにでもお家づくりに活かせそうです。(このスケールでするのは大変ですが)大変、よい勉強になりました。

と、今日はココまで。

続きはまた次回。現代建築編です〜、お楽しみに(笑)

 

和歌山・大阪「心地よい木の家づくり」 大彦(株)

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