先日の北海道開拓の村、市街地群で雛飾りを見た後は農村群も回って来ました。
本当はこの時期の山村群が一番見たいのです。農閑期のこの時期は炭焼小屋、造材の飯場、それを運ぶ森林鉄道などが冬の仕事場だったと思うので。でも残念ながら冬場は道が閉鎖されています。行きたい人はごく少数なのでしょうね?残念ですが。
次に好きな場所が旧農商務省滝川種羊場の機械庫。格納されているトラクターが好きで、働く機械が好きと言うと子供みたいですが、特にオールド・トラクターが好き。
フォードソンやマコーミック・メイヤーなど、何台ものオールド・トラクターが役目を終え休んでいて、そこに今の時期ならではの低い陽が入り、いたわる様に優しく包むのを見ていると、重労働お疲れ様、そしてありがとう、とつい感情移入してしまうのです。
私の家はトラクターは到底無理で馬が父の相棒。農作業に冬の造林にと一年通して働いてくれ、山仕事では短い「バチ橇」にヨツカンとガッチャという金具で木材を固定して運び、橇は自作で、雪の重みで根元が曲がった急斜面の木を切り出して作っていました。
人が乗る馬橇はそれでは無理で、木を蒸して曲げる札幌型と言うのを使ったそうですが、市街地群にはそうした橇を作っていた旧藤原車橇製作所もあり、何故か好きな場所です。
農村群の話に戻りますが、一番奥まって明治時代の開拓小屋を再現した建物があります。
琴似に屯田兵の官舎を再現した建物があり、これで冬を越すのは辛いだろうという建物ですが、鋸と鍋一つで入植した人達の住まいはこの通りもっと簡素。
以前のブログ「汽車を待つ無法者のように」の中で、独り暮らしをしていたお爺さんの事を書きましたが、こんな感じの家だった事を思い出します。冬はどうしていたのだろうと、思うとつい涙腺が緩くなってくるのですが。
下は旧小川家酪農畜舎(上左右)の建つ農村群の丘。右下の旧菊田家住宅は出身地新潟の様式。向井潤吉の絵に出て来そうな、北海道では見ない日本の古里的なノスタルジーを感じる好きな建物。この日はリンゴの枝の選定をやっていて、春を待つ景色との出会いでした。
左中と下は旧樋口家の住宅。広い縁側は北海道の冬には少し寒そうですが、樋口家は富山から移り家を建てるのは富山の棟梁に頼んだそうで、立派な仏間なども富山風でした。
中に入ると夫婦の会話が流れ、「苦労も多かったけど頑張って子育もし、ようやく家も建てられ…」みたいな話で、岐阜から来た祖父もきっと同じ様な話をしていたのだろうなと思うと、また鼻の奥がツンとするのは… きっと鼻炎なのでしょう。
左は帰り路の市街地群。ここを使って映画「ゴールデンカムイ」のロケをしたそうです。
入口の建物にその時使った馬橇が展示されていて、制作したのは藤原車橇製作所…な訳は無いですが、小さい頃見た馬橇が再現されていて、これまた嬉しく見せてもらいました。