6月に入るとともに、北方領土の貝殻島でコンブ漁が始まったというニュースがありましたが、冬から育ち始めたコンブの漁は夏が時期。私の故郷でも20日過ぎにはコンブ漁が始まり、浜一面に昆布を拡げる風景が見られるはず。
今年のハマは、売り物にならないサイズのオオズワイガニが大量発生し、本来の漁に大きな被害が出ているとのこと。漁師さんにとっては何年か前のウニの全滅といい、天然被害はつき物とは言え悲しい事です。せめてコンブは豊漁であります様にと祈っています。
さて、和食に欠かせない昆布の一大産地が北海道。上品な出汁の出る利尻昆布、濃厚な出汁が出る羅臼昆布(オニコンブ)、出汁にも煮物に向く道南の尾札部昆布(マコンブ)など、地域ごとに特色がありますが、競走馬と並ぶ郷土の誇りが日高昆布(ミツイシコンブ)です。 ※( )内は学名
柔らかくてコクがあり煮上がりも早く、食べる昆布としては一番と言われ、鮭や鰊の昆布巻きや、大根や手羽などとの煮物などには最高で、むろん良い出汁も出る万能選手として、沖縄のテビチやおでん種のクーブなどで使われるのも、たぶん日高昆布や早採れの竿前昆布では?と、沖縄ファンの私は思っているのですが。
舟での漁が始まる前の拾い昆布の様子。この日は時化模様のお陰で、拾いコブも結構な量が採れているようで何よりです。
船での漁の時期になると、漁は期間も時間も決められているので、旗の合図と共に一斉に船を出し、競うように収穫して陸に上げ、干す時間も品質等級に関係するので、昔は船が着くと同時に人力で担いで干場(カンバ)まで運び、大急ぎで浜一面に干すという人海戦術でした。
それが今は、当時から人口は1万以上減り、その分重機や車両を使っての作業と変わったのですが、当時は子供達も総出で手伝い、小学校では「コンブ漁休み」もあった事も思い出されますが、家族だけでは人出が足りないので、そこで活躍するのが「でめんさん」
昔我が家も、田植えは漁師の奥さんなどを「でめんさん」に頼んだ、と先日書きましたが、その代わりコンブ漁が始まると、母は手伝いに行っていました。デメン返しとも言ったかな?
船を出しての漁は、シーズン前半がカギ棒で採る「ヒッカケ漁」。盆を過ぎた頃から「マッカ」と呼ばれる道具を使った捻り採る漁に代わります。捻る漁になるとコンブの根元もマッカに絡み採られ、その根にひる貝が付いて来て、時々でめんを頼まれた母が、その貝を貰ってくる事がありました。
ひる貝はムール貝の仲間のムラサキイガイ。「貝の女王」と呼ぶ人もいるくらい、すごく良い出汁が出る美味しい貝で、ささげなどと甘辛く煮たり、カレーの具に入れても最高で、冷凍のムール貝を使ったシーフードカレーなどとは "レベチ" なのは、海辺の町ならの特権でしたが、あの味、懐かしいな~ とても美味しかったのは新鮮だったからか、母の愛情がこもっていたからなのか?は、子供の頃の甘美な思い出としておいておくとして。
私は当時、勉強に忙しく?「でめんとり」で働いた事はありませんが、いま思えば、ひとシーズン位やってみても良かったな、と、体力のなくなったジジィには今更遅いのですが。
※ 以上は、以前teacupのブログに書いたのが、今は見られなくなったので、加筆し再掲載したものです。
【関連の過去ブログ】 昆布ロードから沖縄を想う
【参考資料】 昆布の分類については北海道水産物検査協会のホームページを参考にさせていただきました。 http://www.h-skk.or.jp/index.php?%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%B6%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E