先月NHKで「伝説のコンサート テレサ・テン」が放映されました。1985年12月の映像だそうで、当時は和モノに興味は無かったのだけど、多少幅が広がって来た今ならと、気なく録画しておいたのですが、思っていたよりずっと良かったので保存決定。
特に気に入ったのが「夜来香」と「何日君再来」。1930-40年代と古い中国の曲で、日本でもその頃から親しまれているそうです。でもさすがは本場の歌姫テレサ・テンさん。
私はおおたか静流さんが日本語の詩を書き、歌っているのも好きですが、聞き比べると意外とテレサ・テンさんとおおたか静流さんの声質が近い気がします。むろんメリスマの廻し方など歌い方は違うのですが、高域の艶やかな部分が似ているようで。
おおたかさんの「夜来香」はアルバム「リピート・パフォーマンス」で、また「何日君再来」は「リピート・パフォーマンスⅡ」で聞く事が出来ますが、こちらのアルバム「恋文」にも別アレンジの「何日君再来」が収められています。
話は飛びますが、月初めに書いたブログ高田恭子/みんな夢の中でも触れたように、おおたかさんの歌う「みんな夢の中」※もとても好きです。※こちらはリピート・パフォーマンスⅡより。
彼女も好きでレパートリーにしていたようで、1990年のミニアルバム「花」※、1993年のリピート・パフォーマンスⅡ、2002年のこのアルバムと、私の知る限り3枚のアルバムが出ています。※後にポリスターに残した録音を集め「VOICE VOILA」というアルバムとして出た。
編曲はそれぞれエジソン、井上鑑、フェビアン・レザ・パネとあり、皆さんキーボーディストの様ですが、エジソンとはエジソン渡辺さんの事でしょう。どれも良いのですが個人的には井上鑑がベストかな。テンポを落として切ない思いが沁みる名唱でした。
男が書く女心の詩って、男に都合良い女として描かれていない?、と言うとハマクラさんに失礼ですが、決してそんなことは無いようで、おおたかさんはリピート・パフォーマンスⅡの曲の解説にこう記しています。
流れてゆく時々、生と死に縁どられた走馬灯を、静かに照らし出してくれるこの曲。ふと見ると、暗闇に浮き沈みする、きらびやかな夢の破片に、人生の波がひたひたと打ち寄せているのは。ただ切ないばかりです。と。
また「恋文」では、 "わたし" は思い出の形をしたまま土に還ってゆくでしょう。そして命が軽やかで、すべてが夢であることを、伝える歌があるでしょう。とも。
すべてが夢で、思い出の形のまま土に還る … 今となっては、何とも切ない解説文でした。そしてアジアの歌姫も私の歌姫も、もうCDでしか聞く事が出来ないのが切ないのです。