愛知知事リコール 署名偽造の疑いで田中孝博事務局長を逮捕
毎日新聞 2021/5/19 07:50(最終更新 5/19 12:41)
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、県警は19日、署名偽造に関与した疑いが強まったとして、署名活動団体「愛知100万人リコールの会」事務局長の田中孝博容疑者(59)=同県稲沢市=ら4人を地方自治法違反(署名偽造)容疑で逮捕した。県警は民主主義制度を悪用した事件の全容解明を進める。
他に逮捕されたのは、田中容疑者の妻でパート、田中なおみ(58)▽次男で塗装業、田中雅人(28)▽リコールの会元事務局幹部、渡辺美智代(54)――の3容疑者。
逮捕容疑は共謀し、昨年10月下旬ごろ、愛知県外で他者に署名を代筆させ、署名簿を偽造したとしている。県警は4人の認否を明らかにしていないが、田中容疑者が事件を主導したとみて調べている。
署名偽造を巡っては田中容疑者らが佐賀市内でアルバイトを雇用し署名を代筆させた疑いが持たれている。関係者によると、田中容疑者は名古屋市の広告関連会社を通じて代筆スタッフを集めるよう依頼。自身の署名と押印が入ったアルバイト集めのための474万6500円の「発注書」を出していた。田中容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に事件への関与を一貫して否定していた。
田中容疑者は1995~2003年に県議を2期務め、リコール運動当時は日本維新の会所属で衆院愛知5区の支部長を務めていた。
愛知県選挙管理委員会から刑事告発を受けた県警は今年2月、県内64自治体の各選管に保存されていた約43万5000人分の署名簿を押収。関係者から任意で事情を聴くなどし、署名偽造の指示系統などを調べてきた。
県選管によると、リコール運動で提出された署名数は計43万5334人分。解職の賛否を問う住民投票に必要な法定数の約半数にとどまったが、署名の83%にあたる約36万人分が無効と判断された。筆跡の重複が疑われる署名が90%、選挙人名簿に登録のない署名が48%あったほか、すでに亡くなっている人物の署名が約8000人分あった。また署名全体の4分の1の指印が重複している可能性があることが判明している。
リコール運動は19年に開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、昭和天皇の写真を燃やす場面がある作品などが展示されたことを巡り、「高須クリニック」の高須克弥院長や名古屋市の河村たかし市長らが反発したことが発端。芸術祭実行委員会会長だった大村知事の対応を問題視し、運動が始まった。【藤顕一郎、森田采花】
大村知事が実行委員長で開催された愛知トリエンナーレにおいて、昭和天皇の肖像を燃やす映像や英霊を侮辱するドーム、朝日新聞がねつ造に起因した慰安婦像などを展示し、日本・日本人をおとしめる芸術祭が公共事業で強行されました。
この芸術祭の展示は、日本人の尊厳を著しく傷つける大きな問題であるので、これを主導した大村知事をリコールする運動が起こりました。
「愛知100万人リコールの会」は、高須病院の高須院長が会長で、実際の取り回しは田中事務局長が取り行いました。
ところが、署名集めの際に田中事務局長は、署名が思うように集まらなかったので、広告会社ジェネシスに依頼し佐賀においてアルバイトを集め署名のねつ造を行いました。
総計43万票余りを愛知県選挙管理委員会に届け出たところ、ねつ造署名が発覚し、そして田中事務局長始め4名は逮捕されました。
田中事務局長は、元愛知県議で、2021年2月まで日本維新の会の愛知5区支部長で、維新から選挙に出馬する予定であったとのことです。
さて、このような流れからすると、田中事務局長は、事務局長としての成果を強調したい思いや、次期国政選挙に出馬するための足がかりとして、署名ねつ造は発覚しないと踏んだ上で、悪行に走ったと思われます。
ところが、そのように単純な構図でもなさそうです。
田中事務局長は河村市長が率いる減税日本から2019年に出馬しており、マスコミは執拗に河村市長との関係をニュースにします。
一方、田中と大村知事との関わりは一切報道されませんが、実は、2011年には、田中は大村知事が率いる日本一愛知の会から県議会議員選挙に立候補しており、田中と大村知事とのかかわりも強いとの噂もあります。
勘ぐれば、なぜ、このコロナ禍の中で署名集めを行ったのかという最初の疑問があります。
コロナ騒ぎの真っ最中に署名集めの活動は大きく制限されますので、86万7千票の高いハードルを越えるのはかなり困難です。
高須院長の健康問題があったため、引き延ばすことはできずこの時期におこなったとされます。
ただ、このリコール運動は1回目で、2回目が本番という話もありました。とりあえず組織作りに軸足を置く運動で良かったかもしれません。
ところが、署名偽造が発覚すれば、2回目の本番の筋は無くなります。また田中は投獄されて選挙どころではありません。
田中は、署名の総数が足らないので愛知県選挙管理委員会にチェックされないと高を括っていたのでしょうか。
署名のチェックが為されなければ偽造署名はわかりませんが、誰が見ても一目で偽造と分かるものを選管が調べないと思う方がおかしいです。奇妙です。
田中が本気で名をあげて選挙で当選したいのであれば、もっと組織的に署名集めをしたはずです。
私にはそこがわかりません。
本気で出馬するならば、こんなチャンスはありませんから、田中が出馬予定の愛知県第5区の中村区と中川区を中心に、自らに投票をしてくれる人々を作ることを兼ねて、先に組織を作ります。つまり受任者の組織作りは、国会議員の選挙の票集めのリハーサルと思って、数万票の当選ラインを超えるだけの人数集めに努力します。
どうやら、そのような計画性もない薄っぺらい輩なのでしょう。
多くの人の思いを踏みにじった行為は許されません。
しかも、署名ねつ造により2回目の本番の芽が潰されました。
2回目の本番を潰す誰かのストーリーでしょうか。
この署名ねつ造事件は、名古屋市長選挙に大きな影響を与えました。
現職の河村市長にとっては、選挙の数日前に田中が河村市長との焼肉会食の領収証を提示し、河村市長が不正署名にかかわるかのような発言を行ったのは、相当に痛いと思います。実際に得票数はかなり競っています。
対抗馬は、自民から共産まで支持し、新聞・テレビは一斉に河村落としのネガティブキャンペーンです。
これは、ひょっとして、初めから河村市長落選を謀って仕組まれた大村知事リコール事件なのでしょうか。
リコール不正、維新の吉村氏「党として関与ない」 元支部長逮捕
毎日新聞 2021/05/19 19:33
愛知県の大村秀章知事のリコール運動を巡る署名偽造事件を巡り、地方自治法違反容疑で逮捕された田中孝博容疑者は今年2月まで日本維新の会の衆院愛知5区支部長を務め、次期衆院選での立候補が予定されていた。
日本維新の会副代表の吉村洋文・大阪府知事は19日、「党としてリコール運動への関与はなく、田中氏自身が活動した。そこに署名偽造があったとなれば厳正に処分されるべきだ」と語った。【野田樹】
毎日新聞では、まずまずの記事ですが、次の朝日新聞のAERAは、タイトルの付け方に悪意を感じます。
記事の内容と全く違うので、内容を読まない者に河村市長が署名ねつ造に関わりがあるかのように錯覚させるタイトルです。
卑劣ですね。
河村名古屋市長「相談あった」と語る署名偽造したリコール事務局長逮捕劇の内幕
今西憲之2021.5.19 11:34dot.
愛知県の大村知事へのリコール活動をめぐって、大量の偽造署名が確認され、捜査中だった事件が大きく動いた。
愛知県警は5月19日朝、リコール活動の事務局長だった田中孝博容疑者を地方自治法違反(署名偽造)の疑いで、滞在先の静岡県伊豆市のホテルで逮捕した。また田中容疑者の妻、なおみ容疑者、次男の雅人容疑者、事務局スタッフだった渡辺美智代容疑者も逮捕された。
田中容疑者は昨年10月、佐賀市でアルバイトを大量動員し、リコールの署名簿に愛知県内に住む人の住所や名前、拇印を押させた偽造署名を主導したとみられる。提出された署名43万筆のうち、約8割が偽造の疑いが濃く無効とみなされ、愛知県が刑事告発していた。
大村知事のリコール活動の応援団として活動していた名古屋市の河村たかし市長はAERAdot.編集部の取材にこう語った。
「ワシはまったく知らないことだ。田中氏が逮捕され真相解明に近づいたと思います。ワシの関与が絶対にないことも明らかになるでしょう」
また、リコール活動の代表だった高須クリニックの高須克弥院長は田中容疑者の逮捕前、AERAdot.の取材にこう語っていた。
「警察が捜査しているので、見守るしかない。事務局長の田中氏を信じている」
捜査関係者が今後の捜査の進展を語る。
「偽造署名をはじめ、すべての疑惑を知る男、田中容疑者の逮捕で洗いざらい、わかってくるはずだ」
リコール活動がはじまったのは、昨年8月末。田中容疑者が偽造署名に動き出したのは10月だったという。河村氏はこう経緯を語る。「田中氏から確かに昨年10月中旬に『署名が思うように集まらない』と相談はあった。10年前にワシは名古屋市議会のリコール活動を成功させているので、その経験などを話した」
その時、すでに田中氏は「工作」に動いていたという。リコール事務局2階に田中氏が自身の親族、事務局関係者ら数人に集まるように指示したのは、昨年10月初めのこと。ここで偽造署名の「謀議」があったという。
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