ライフスタイルデザインカレッジのプログラム「ハーフデイトリップ」は、文字通り“半日の旅”だ。自らの生活地を旅する場として捉え、資源を資産へと変えていこうと、昨年7月から5つの旅を提供してきた。
日本の端っこではなく、ほぼ真ん中に位置するこの地には、多くの地域資源が埋もれている。自然と人との関わりが見える風景。時間が止まったままの空間。農の営みがつくる美しい里山。日々の生活の中に、選りすぐったかのようなロケーション、大切な価値が数多く存在している。何気ない日常にある生活を変える大切な時空を、このまちに暮らす人へ提案してみた。
川への旅~川を眺め、水に浸り、魚を採る
日時:7/5(土)8:00~13:00 旅先:原野川中流・上流
講師:小川博彦さん(カメラマン、フライフィッシャー)
石との旅~土に触れ、化石を掘り、想いを巡らせる
日時:9/6(土)8:00~13:00 旅先:掛川市飛鳥
講師:鈴木政春さん(静岡県地学会会員)
星への旅~空を眺め、星を観て、想いを馳せる
日時:11/1(土)16:00~21:00 旅先:掛川市五明
講師:西村栄男さん(天文家)
鳥との旅~里山を探り、空を探り、鳥を追う
日時:1/31(土)8:00~13:00 旅先:磐田市桶ヶ谷沼
講師:山崎孝弘さん(日本野鳥の会・静岡県支部)
樹への旅~山を登り、森を歩き、巨樹に触れる
日時:5/9(土)8:00~13:00 旅先:森町・浜松市春野町
講師:中山高志さん(森林インストラクター)
5月のファイナルプログラムは、樹齢1300年という春埜山の大杉に会いに行った。以前も書いたが、この樹へ案内したほとんどの人が「!」「?」だったが、今回もまた然り、だった。1300年もの年月、この樹は生きてきた。樹高43m、幹周14m。時間とお金をかけて屋久杉を見に行く前に、静岡県でこれだけの杉に出会えることをどれだけの方が知っているだろうか。この美しい生命に出会う旅は、自分で自分の生活をクリアに見直すための大切な時空だ。
自らの足で巨樹を見に行くという行為は、自然を畏れ敬うための巡礼ではない。人生や愛、原風景やロマンを自然に求めることでもない。いつまでたっても自然の中は遊び場だ、と言い切れる大人が、驚き(!)と好奇心(?)を満たす場所に立ち入るための作法、と言えばよいだろうか。