アパパネ (2) 10' ３月 チューリップ賞 １６00m (阪神)

【チューリップ賞】国枝師　アパパネ前しか見えない  <SP

ターフライター・平松さとしの「直球勝負・キーマンの懐へ」。確かな成長を見せるアパパネに大きな期待をかける国枝師に直撃した。

　――アパパネは前走（阪神ＪＦ１着）後は放牧に出さず、美浦と栗東で調整。

国枝師　はい。馬房の中でもリラックスしている馬なので厩舎に置いておきました。実際、落ち着いていてリフレッシュできています。

　――前回に栗東入りした時より速い時計で追われていますね。

栗東の坂路がきついからといって速い時計を出さないわけではありません。前走時は臨戦過程が詰まっていたから軽めにしただけ。今回は間も空いているし、状態もいいので自然と速い時計になっています。

　――まずまずのスタートを切った前走は外枠のせいか後方。

ガツンと行っちゃうのを心配して無理をしなかったら後方になったという感じ。少し行きたがったけど、蛯名君も上手に他馬の後ろに入れてくれました。

　――道中は外からかぶせられるような形に。

そうですね。でも、結果的にそれがよかった。うまく内に入れたし、直線でも前が空いてくれましたからね。

　――前走に限らずいつも馬群の中へ入れて競馬をしている。

力があるから外を回ってもいいんだろうけど、掛かる心配があります。だから周囲に馬を置く形で競馬をしているのだと思います。

　――確かに未勝利戦（１着）ではかなり掛かっていた。

あのクラスだとスピードが違うのでなおさらだったと思います。そういう意味では重賞の方が競馬はしやすいかもしれません。

　――そのレースでは馬群から出す時に顔を横に向けてしまうシーンも。

キャリアが浅かったので鞍上の指示に過剰に反応してしまっただけ。今はそういう心配はありません。

　――左回りだと内にササる面があるので、右回りの方が競馬はしやすい。

そうですね。右回りなら普通に走ってくれます。今回も問題ないでしょう。

　――レコード勝ちもあるし、きれいな馬場は歓迎。

馬場状態に関しては悪くてもこなせるとは思います。ただ、スピードや切れ味があるのできれいな馬場はなお、いいと思いますよ。

　――２歳時は体重の増減が激しかった。

今回は１週前の計量で４８２キロ。追い切って競馬場まで運んだら前回（４７２キロ）と同じくらいで出られると思います。

　――仕上がりは問題なし？

はい。栗東に行く前の美浦でも好時計が出ていた。本番前の前哨戦とはいえ、いいパフォーマンスを見せられると思います。 [ 2010年03月05日 ]

 

アパパネ軽快に坂路デモ／チューリップ賞  <NI

＜チューリップ賞：追い切り＞

チューリップ賞（Ｇ３、芝１６００メートル、６日＝阪神）で人気を背負う２歳女王アパパネ（牝３、国枝）が入厩先の栗東坂路で軽快な走りを披露した。

２歳女王が回転の速い小刻みな脚取りで坂を駆け上がった。深くて走りにくい馬場でもアパパネの走りは軽快。ラスト２００メートルをわずかに追うと、ラストは１２秒３の力強い伸び。８００メートルを５３秒７でまとめ、軽快な追い切りを披露した。騎乗した福田調教厩務員は「３カ月ぶりなのでまだ息が重いかなという感じ」と言いつつ「後半の方が（馬場が重く）走りにくかった。動き自体はまずまず」と評価した。

陣営のテーマはオーバーワークにならないこと。「そこまで攻めていないが本数的にはこなしている。感じも悪くない」と言う。１月末から週２回速い時計を出し、先月１８日の栗東入り後も２本は馬なり。この日、競り市のため渡米中の国枝師からもいっぱいの指示は出なかった。大目標の桜花賞へ、お釣りを残しつつ出走態勢を整えてある。

先を見据えた仕上げは能力でカバーする。栗東坂路の走りに、卓越した能力が裏付けられている。「条件馬だと坂を上っているなって感覚だけど、そういう感じじゃない。キッツもゴッホもそうだった」と言う。自厩舎の先輩Ｇ１馬マツリダゴッホ、マイネルキッツもこう配のきつい栗東の坂を平地のように走った。Ｇ１馬とはいえアパパネはまだ３歳。現時点で古馬と肩を並べる走りなら、そう簡単に他馬の追随は許さない。

２度目の栗東滞在は前回と同じ馬房に入ったためすぐに順応できた。輸送直後に減った体重も現時点では阪神ＪＦから１０キロ増の４８２キロ。同じ出張厩舎にいる他厩舎の寝わらを口にするほど食欲も旺盛だ。「とりあえず無事に戻ってきて、結果がついてくればいい」。Ｇ１馬として迎える今年の始動戦。突出した能力で乗り越える。【山本幸史】

　［2010年3月4日8時8分　紙面から］

 

【チューリップ賞】アパパネ及第点  <DA

　栗東坂路を躍動。アパパネが状態の良さをアピール

　「チューリップ賞・Ｇ３」（６日、阪神）

２歳女王が今年初めてターフに登場する。今回も“栗東留学”で挑むアパパネは３日、坂路で上々の動きを披露。３カ月ぶりであくまで桜花賞（４月１１日・阪神）が狙いだが、Ｇ１勝ちの地力を見せる。

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Ｇ１馬が格を見せつける。栗東留学中のアパパネは、坂路で４Ｆ５３秒７‐３８秒６‐１２秒３をマーク。強めに追われたラストは伸びのあるストライドを見せ、ゴール板を射抜いた。ただ、騎乗した福田調教厩務員は辛口ジャッジだ。「動きは良かったけど、最後の１Ｆはモタモタした感じ。いかにも休み明けのよう。目一杯には仕上げていないので」。本番を見据えたトライアル仕様であることを強調した。

Ｇ１を勝ったあとはすぐに美浦トレセンへと戻り、運動と角馬場の調整で年を越した。年明けからはピッチを上げ、初時計が１月３１日。２月１８日に栗東入りしたが、栗東滞在も２度目。すっかりこの地に慣れているという。「同じ厩舎で同じ馬房。慣れるのが早かった」と仕上げ人は胸をなで下ろす。

追い切り後に量った馬体重は４８２キロだった。阪神ＪＦ（２着）、桜花賞（８着）と、同じように栗東留学を試みた厩舎の先輩ダノンベルベールと比較し、「カイ食いが違う。苦労なく行けるのがアパパネ」と胸を張って見せた。

未完成だったなかでのＧ１制覇だから、短期間でも成長がうかがえる。「体は胴が伸びて少し大きくなったかな。ピリピリするのは変わらないけど、落ち着くところは落ち着く。扱いやすいですよ」。どっしりと構える精神力に頼もしさを感じている。

桜花賞の前哨戦でどんな結果を残すのか。「無事に走ることがまず第一。でも、感じは悪くないので恥ずかしい競馬はしないでしょう。競馬に行けば走るタイプだから」。２歳女王の座に輝いた舞台で連勝街道を突き進む。

 

【チューリップ賞】アパパネ「少しモタモタ」   <SAN

2010.3.4 05:08

栗東留学中のアパパネは坂路をパワフルに駆け上がった。本番は先だが、２歳女王の貫禄を示したい（撮影・恵守乾）

３連勝で阪神ＪＦを制したアパパネが、２０１０年の始動戦に向けて態勢を整えた。

「休み明けで目一杯の仕上げではないので、息の入りがまだですね。ラストも、少しモタモタしていました」

担当する福田調教厩務員のコメントは控えめだが、ラスト１ハロン１２秒３なら合格点だ。角馬場で入念に体をほぐしてから、坂路で単走追い。序盤から人馬が息をピッタリと合わせ、次第にペースを上げていく。リズミカルに首を使い、４ハロン５３秒７。全体の時計は目立たないが、１５秒１－１３秒６－１２秒７－１２秒３と、徐々に時計を詰める理想的なラップで、心身の充実ぶりを示した。

「前走後は自厩舎で調整して、１月下旬から速い時計を出しています。２月１８日に栗東入りしてからの調整も順調です。性格的にピリピリしたところはあるけど、普段は落ち着いています」と福田調教厩務員は語る。

『ハワイに生息する鳥』を意味するアパパネは昨年、栗東留学で大きな“翼”を手に入れた。美浦よりも勾配（こうばい）のキツい坂路で鍛えられ、違った環境で過ごすことで精神面も強化された。関東馬が美浦から阪神入りするにはハンディが大きいが、阪神までの輸送距離が短い栗東に入厩すれば輸送のリスクを小さくできる。キャリアの浅い牝馬だけに、その効果は計り知れない。

「前走時に栗東に入厩した時と同じ場所の馬房なので、今回は環境に慣れるのが早かった。胴も少し伸びて、ちょっと大きくなりました。前走も強かったし、今回も同じ舞台。恥ずかしくない競馬をしてくれると思います」。福田調教厩務員は好勝負を見込む。

牝馬クラシック戦線の勢力図は変えさせない。身上のスピードと瞬発力で、女王の貫禄を見せつける。（鈴木康之）