日曜小倉メーンの北九州記念は今年で45回目を迎えるが、JRA平地重賞のうちで関東馬が勝っていないレースだ。この“鬼門”に関東馬アポロドルチェが挑む。関東馬の参戦は06年以来4年ぶり。すでにドルチェは小倉に移動して調整中で、GII京王杯2歳S以来2年9カ月ぶりの重賞制覇を狙う。
アポロドルチェは、前走のアイビスSDでメンバー最速タイの上がり3ハロン31秒9を使い、0秒3差4着。6月のバーデンバーデンCを使えず、7カ月ぶりのぶっつけだったが、力のあるところを示した。アイビスSDは3年連続で挑戦して(3)(2)(4)着。「順調に進められなかったけど、1000メートルの直線競馬の適性は相当高いですね」と堀井調教師は再認識した。
その後はサマースプリントシリーズに照準を定めた。北九州記念参戦に向け、先週3日に美浦を出発し、4日午後に小倉競馬場へ到着した。
「当初は美浦で1週前追い切りをやってから輸送を考えていましたが、思いのほか気温が高いので、馬への負担を考えて早めに入厩しました」
堀井師の臨機応変な対応が成果として表れたのが7日の追い切りだ。輸送の疲れも見られず、小倉ダートコースで5ハロン71秒0-54秒4-40秒0-12秒7(馬なり)とシャープな動きを見せた。「テンにゆっくりで終い重点。予定通りの調整ができているし、今週の追い切りでちょうど良くなるでしょう。落ち着いていい雰囲気ですよ」と輸送を含めた調整過程に何も不安を感じていない。
愛馬を送り出す北九州記念は、まだ関東馬の勝利がない。「夏の小倉は気温が高く、関東馬が行くリスクは大きいね。輸送時間は札幌とそれほど変わらないけどね」と堀井師が話すように、関東馬はこの時期、北海道に滞在するケースが多く、小倉遠征は少ない。
北九州記念への関東馬の参戦は06年以来、4年ぶりだ。それでも小倉に向かった理由はこうだ。「小倉はペースが速くなりそうだからね。流れはドルチェに向いてくれると思うんだよ」と、自慢の末脚を発揮する流れになりそうな舞台と読んでの参戦だ。
結果次第では、栗東に滞在してセントウルS(9月12日、阪神、GII、芝1200メートル)も視野に入っている。サマースプリントシリーズ制覇へ、関東馬として初となる北九州記念のタイトルを果敢に獲りに行く。 (高尾幸司)