【有馬記念】マツリダゴッホ有終Vへ「いい感じ」 <SP
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ダートコースで追い切るマツリダゴッホ |
これが最後の追い切り。マツリダゴッホは美浦トレセンとの別れを惜しむかのように四肢に力を込めた。
蛯名がまたがって坂路(4F67秒9)から南D(ダート)コースへ。単走だが、首をしなやかに上下させて、3角付近からグッと加速していく。外ラチ沿いを回って直線へ。四肢がしっかりと伸び、500キロ近い馬体をさらに大きく見せる。最後までゴッホらしく、パワフルに…。万感の時計は6F82秒4、1F12秒9を刻んでいた。
「やればいくらでも動くタイプ。リズム良く走らせるために単走で。いい感じだった」と国枝師。蛯名も「調教は久々に乗ったが、いい雰囲気だ」と納得の表情を浮かべた。
9番人気ながら直線でいち早く抜け出し、完勝した一昨年の有馬は、今もファンの脳裏に鮮やかに焼き付いている。「当時は絶好調だった。具合だけなら、どの馬にも負けないと思っていた」(蛯名)。昨年はジャパンCからの臨戦で目に見えない疲れを残し12着惨敗。そこで今年は一昨年と同じ天皇賞からのステップに戻した。「当時も天皇賞で大きく負けた(15着)ところから巻き返した。今年もいけるんじゃないかな」。主戦は天皇賞17着からの逆転を信じる。
ゴッホが有馬を制してから、翌年秋華賞(ブラックエンブレム)まで関東馬はG1で12連敗を喫した。関東の低迷期に孤軍奮闘して美浦を支え続けたのがゴッホだった。「関東の期待を背負ってきた馬がラストを迎える。いい競馬をしたいね。3歳馬に勢いがあるが、年を重ねているからこそ、いい面が出ることもある。非常に楽しみにしている」。苦楽を共にした相棒に花道を飾らせたい。蛯名は静かに燃えている。(鈴木 正)
<蛯名、最多勝タイ狙う>蛯名は有馬記念に過去12度参戦し、01年マンハッタンカフェ、07年マツリダゴッホで2勝を挙げている。今年3勝目なら岡部元騎手(シンボリルドルフ2勝、オグリキャップ)、田原元騎手(リードホーユー、トウカイテイオー、マヤノトップガン)、ペリエ(シンボリクリスエス2勝、ゼンノロブロイ)と並ぶ最多勝タイとなる。[ 2009年12月24日 ]
【有馬記念】有終の美へ復活マツリダ! <DA
サンタクロース(椎本助手)からプレゼントされた顔写真入りケーキに興味津々のマツリダゴッホ=美浦トレセン
「有馬記念・G1」(27日、中山)
11月末からデイリースポーツで行った有馬記念の勝ち馬予想は、3歳牝馬ブエナビスタが支持率30・6%で堂々の首位に輝いた。2位に続いたのは、中山巧者のマツリダゴッホで21・3%。実際のファン投票では5位に終わったが、今回の読者予想では3位を大きく引き離している。古馬の意地で、見事に有終Vを決めるか-。デイリー読者の復活への期待を背に、2度目のグランプリ制覇にチャレンジする。
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デイリー読者は知っている。マツリダゴッホの中山での強さを。全10勝中8勝を挙げ、重賞6勝すべてをマーク。国枝師も「馬が分かっているんだ」と明言する。「勝負どころでギアが上がるのが分かるもんな。馬券を買っているファンも“オッ、行った”ってワクワクする。ディープインパクトはそれがどのコースでもできたけど、ゴッホは中山ならできるんだ」。
一方で、ほかのコースでの負けっぷりも豪快だ。9番人気で突き抜けた2年前の有馬記念も天皇賞・秋15着からの参戦。その後も中山以外で掲示板に載ったのは昨年のジャパンC(4着)だけ。「三振か、ホームランのタイプ」とトレーナーは表現するが、その分かりやすさが読者の支持を集めた要因なのだろう。
その“中山マイスター”も、この一戦がラストラン。北海道のレックススタッドでの種牡馬入りが決まっている。G1勝ち馬だけに引退式を行う権利を得ているが、G1・2勝以上の馬でないと、その費用の一部は馬主が負担するという規定がある。「今のところは未定。勝ったら考えましょうか。年明けの中山でやる可能性はあるよな。いずれにしても、引退式ができるだけの馬を預かれたのは光栄なことだよ」と師は感慨深げに話す。
有終Vへの準備は着々と進んでいる。火曜の朝は美浦坂路からWへ移動してキャンターで1周。「いい雰囲気。去年は結果が出なかったけど、この時期になると、体に張りが出て力強さが出てくる」。12着に敗れた1年前との違いはローテ。昨年はジャパンCを使われたが、今年は勝った2年前と同じく秋の天皇賞からグランプリに挑む。「やりやすいというのはあるな。最後に正義(蛯名)を追い切りに乗せて、きっちり仕上がるでしょう」と指揮官も予定通りの調整過程に目を細める。
「最後だからね。ゴッホの力を出し切りたい」と蛯名も静かに闘志を燃やす。狙うのは、もちろん最終打席での大ホームランだ。
【有馬記念】マツリダゴッホ、有終の美へ <SAN
2009.12.23 05:02
サンタの扮装をした椎本調教助手から自分の顔がデコレートされたケーキを贈られたマツリダゴッホ。お返しは有終Vしかない!=美浦トレセン(撮影・大里直也)
名伯楽と呼んでもいい不動の地位を築き上げた国枝師だけのことはある。大一番を前にしても泰然自若。報道陣の取材攻めにも口調も滑らかに対応してくれる。「2頭とも思惑通り仕上がった。うん、前走以上の状態で臨める」とゴッホ、キッツの万全ぶりを強調してくれたが、キッツが主戦の松岡騎手から三浦騎手に替わった件に関してJRAをチクリ。「落馬など負傷で替わらざるを得ないのなら分かる。でも2週前に登録があるこれだけのGIだとファンは騎手も込みで、その馬に注目するんだろう。皇成が合わないと言っているんじゃない。そうした柔軟な考えがあっていいのでは」。このご時勢、売り上げ減が懸念されるだけになおさらそうした特別処置が必要ではないのか。
美浦村の役場近くのバイパスに架かる歩道橋には、関東馬がGIを勝った翌週は「祝〇〇号」と馬名入り横断幕が張られる。職員の一人は「ここ何年(横断幕用の)予算が余っちゃって。削られないよう頑張ってもらいたいです」。関東勢の奮起を促すばかりだ。
栗東では早朝の気温はマイナス1度。下村記者は大阪サンスポの瀬戸記者と寒さに震えながらイコピコの西園厩舎へ。呼び鈴を押すと、奥から「どうぞ、上がってください」と西園調教師の声。部屋の暖かさに劣らず、西園師の意気込みも非常に熱かった。「GII勝ち(神戸新聞杯)しかないのにファン投票で10位に選んでもらって、本当にありがたい」。先日、デパートで買い物をした時には、店員に“イコピコの調教師さんですよね? 頑張ってください”と声をかけられ、すごく嬉しかったそうだ。「応援してくれる人がたくさんいる。何とか有馬記念が盛り上がるように頑張りたい」。ハワイの言葉で頂点へ、を意味するイコピコが競馬界の頂点に立つシーンを西園師は願ってやまない。
東京・大手町のサンスポ編集局。額も態度もでかいKデスクが昼過ぎ、小さな手提げを3つ大事そうに抱えて出社。データ仕分け人の松永記者が「それ、なんすか?」と尋ねると、「りかりか(今井りかさん)の取材だぞ。手ぶらで行けるわけないだろ」とニンマリ。高尾記者も有馬記念の企画取材でフジテレビへ。高尾はダービーの時、オードリーの取材ができると聞いて、「競馬記者をやっていて、まさか大ファンの芸能人に会えると思っていませんでした」と大感激していたっけ。2人の帰社を待っていたのが、有馬の紙面の“仕分け人”に指名された整理部の豊田デスク。「きょうも締め切りが早いですから。仕事の方もキビキビとお願いします」。そう言うと自分の席に戻り、若手に的確な指示を与えながらガムシャラに仕事を再開。忙しい1週間の本番はこれからだ…。
まくりだゴッホ!一昨年覇者の集大成…有馬記念 <HO
サンタクロース姿の椎本英男助手が、マツリダゴッホに一足早いクリスマスケーキをプレゼント!?
現在、出走を予定している16頭のうち、7頭が3歳馬。質量ともに優位に立っているが、古馬にも意地がある。6歳のマツリダゴッホは、今回が引退レース。中間の気配は良く、鮮やかなまくりを放って快勝した一昨年の走りを再現する準備はできている。宝塚記念の覇者で、春秋グランプリVを目指す5歳馬ドリームジャーニー、8歳にして競走生活のピークを迎えているエアシェイディ…。歴戦のつわものが、若き“波”の前に立ちはだかる。
ラストランを迎えるマツリダゴッホに、最高の舞台が用意された。一昨年の有馬記念Vをはじめ、12回走って8つの勝ち星を挙げている中山。思い出が、いっぱい詰まっている。
「中山だと、三分三厘(3~4コーナー)でギアが変わるのが見える。手綱を押されて変える馬はいるけど、この馬は自分で動いていく。喜んで走っているような雰囲気。競馬場を知っているんだね」と国枝調教師。確かに、レースぶりは一変する。
驚きの戴冠から、2年が過ぎた。天皇賞・秋で15着に大敗したため、9番人気で臨んだ戦い。ところが、前々から進め、鮮やかにひとまくり。ファンの度肝を抜いた。逆に、連覇を期待された昨年は、まくり不発で12着。「最高の形でバトンを渡せたかというと、そうではなかったかもしれない」と奥村助手は振り返った。直前のジャパンCが、見せ場たっぷりの4着。スキが生まれたのかもしれない。
その後も低迷が続いていたが、9月のオールカマーで復活V。前走の天皇賞・秋を17着に大敗したのは、“この馬らしさ”と言っていいのかもしれない。
一昨年と似たパターンで迎えるラストラン。「少しずつ穏やかになってきている。余計なところに力を入れずにね。苦しいところがないんだね」と国枝師は手応えを口にする。「気合をつけると、ろくなことはない。淡々とこなしていけば…。乗り役(蛯名)も分かっているだろうし」。
来春から、北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬生活に入る。その前の引退セレモニーは、今のところ予定されていない。「勝ったら考えましょうか、というところ。ただ、そういう馬をやらせてもらって、ありがたいよね」。マツリダゴッホとともに過ごした4年半の集大成を、中山2500メートルで披露する。
(2009年12月23日06時01分 スポーツ報知)
【有馬記念水曜追い】ゴッホ、得意の中山で“有終”飾る <SP
有馬記念が引退レースとなるマツリダゴッホは蛯名を背に南D(ダート)コースで単走。スムーズな走りで気配も良く、蛯名は「久しぶりに調教に乗ったが、いい雰囲気だった」と好感触を口にした。
一昨年Vなど中山8勝のコース実績は断然。国枝師は「ここに至るまで極めて順調にこられた。中山は得意だし、何とか有終の美を」と言葉に力を込めた。[ 2009年12月23日 14:18 ]
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朝焼けをバックに調教にむかうマツリダゴッホ |
【G1ドキュメント・有馬記念=美浦22日】肌を突き刺す寒さ、ピリッと緊張感のあるトレセンの空気。鈴木は、今年も有馬記念ウイークが来たことを体全体で感じていた。調教スタンド前の温度計はマイナス1度を指していた。
「おはよう」。厩舎カラーの青いコート、青い帽子に身を包み、ネックウォーマーで完全防寒態勢の国枝師が記者陣に声を掛けた。マツリダゴッホ、マイネルキッツのG1ホース2頭で大一番へ挑むが、この日の話題はもっぱら、ここが引退戦となるゴッホに終始した。
「雰囲気はいいね。この時季になると力を出してくれる馬。けさも寒いな、悪くないなと思っているだろうよ」。管理馬を擬人化するのは師の得意技。ゴッホが温度計を見ながらニヤリとする風景を想像した鈴木は、おかしさが込み上げてきた。
今回の舞台は中山。9番人気で制した07年グランプリは今でもファンの脳裏に焼き付く。ほかにも59キロを背負いながら後続を寄せ付けなかった08年日経賞、逃げの手で3連覇を飾った今秋のオールカマーなど、ゴッホが躍った舞台は常に中山だった。「(中山は)喜んで走るからいいね。3分3厘でグッと上がる。おお、行ったぞ、ギアが替わったぞってね。馬が競馬を知っているし、見ていて楽しかったよ」
一時代を築いたグランプリホースも、ついにラストレース。指揮官は感慨深いはずだが「最後だからといって妙に気合を入れてもよくない。まあ、淡々とこなしていきますよ」。長く付き合った相棒との別れを惜しむのは、有馬後と決めている国枝師だった。 [ 2009年12月23日 ]