某ギターメーカー社長室

ギターメーカー社長の色々な出来事

ギターとベースをグレードアップ

2006-02-23 19:40:16 | 楽器
さてさて、昨日の続きです、2大テーマについて具体的に考えましょう。
まず隙間(空間)に絡めて振動の伝わり方を考えましょう。

10センチ角の立方体が2つあると仮定して下さい。
とりあえず立方体A(以下A)と立方体C(以下C)とします。

今、Aが振動しています、Cは振動していません。
Aの振動をCに効率良く伝えるにはどうするか?AとCをくっつけます。
同じ大きさの物がぴったりとくっついておりますから言ってしまえば横20センチ縦と奥行きが10センチの直方体となります。

そうです、この状態だと1つの塊になりますので当然隙間は0で振動のロスも0です。
ではAとCの間に1センチ角の立方体B(以下B)を挟むとどうでしょう?
AとCが接している部分は各々Bの平面1平方センチのみとなります。

残りの99平方センチは隙間です。
この状態でももちろん振動は伝わりますが、1と2が直接ついている場合はAの1000立方センチの振動がそのまま伝わるのですが間にBが入ってしまいますとまずAの1000立方センチの振動がBの1立方センチの物体を振動させます。

次にBの1立方センチの振動でCの1000立方センチの物体を振動させなければなりません、これは非常に大きいロスとなります。

振動をよりロス無く伝えるには密着面をいかに増やすか?隙間をいかに少なくするか?が大切と言う事がお解かり頂けたでしょうか?

実例を挙げますと皆様良くご存知の”ディープジョイント”これなどは上記内容を加味した最高の例題ですね♪

ネックがボディーに深く入ると言う事はネックの材料とボディーの材料の密着する面の面積が増えます。
ネックの振動をボディーに、ボディーの振動をネックに伝えるにあたって非常に有効な方法ですね。

また、ST等でトレモロを固定してしまう方法も同じです。
弦振動がブリッジを振動させその振動をボディーに伝達する際、イナーシャブロックの前後を埋めてしまう事によりブリッジとボディーの接する面積が格段に大きくなります。

前々回書いたFRTのお勧め改造方は上記内容の実例です。

弊社で推奨しておりますボルトオンのポケット部分の整形等も上記内容を考慮した改造方法です。
この部分はブリッジサドルの高さセッティングによるテンションの変化も絡んでの話ですが、ボディーとネックの密着の面積を増やすと言う意味合いも多く含んでおります。

ネックと言うのはボディーに対して水平に付いている訳では有りません、角度が付いております。
これはブリッジの厚みとの関係となります。
水平に付けてしまいますとネックエンド部分のボディーから指板面の高さよりもブリッジの厚みの方がありますので弦を張りますと物凄く弦高があがってしまいます。

目一杯サドルを低くした所でサドルからナットまで真っ直ぐに弦が通りますのでどうしても弦高が高くなります。
これを解消する為にネックには必ず角度が付いております、図を見て頂ければ一目瞭然でしょう。

で、この角度を付けるにあたって”シム”と言うはさみ物をしているケースが非常に多いです。
ジョイント部分にちょっとした厚みの紙等を挟んで、その厚み分角度がつきます。
しかし、挟み物をする事により角度が付くのですから当然その厚み分ポケットに隙間が開きます。

これは完全にNGです、隙間を開けずに角度を付けるにはポケット自体を綺麗に平面出しをしながら斜めに削って角度を付けなければなりません。
ポケットに角度が付いていれば完全に”面”でネックとボディーが接する事となります。

ただし、この作業は非常に手間が掛かるので、この”挟み物”と言う方法は良し悪しは別として合理的な発想ですよね(汗)
生産性を追及した結果でしょう。

また、ポケットに塗装が乗っている物も多いです。
当然乗っている所と乗っていない所では塗装の厚み分で凹凸が出来ます。
まっ平な物をそこに取り付けた場合、当然隙間が開きますので全て除去する必要があります!

う~ん、書き出したは良いが物凄い回数に分けないといけませんね・・・・続きは明日。


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