はじめに、東日本大震災、そしてその後も各地で相次いだ災害によって亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、被害に遭われ今も辛い日々を余儀なくされている被災者の方々に深くお見舞いを申し上げます。
未だ震災と原発事故の混乱が収まらぬ中、関係者の尽力によって無事に開催された今年の鳥人間コンテストでは、東北大学のチーム『ウインドノーツ』が見事優勝を果たし、傷付いた故郷に錦を飾りました。インターネット上の各所にアップされた飛行士の動画を見て彼を『中二病』だと笑う人もいましたが、あの若い飛行士の、空への執念とも呼ぶべき燃えるような情熱の中にこそ、東北、そして日本の復興を確信できるのではないでしょうか。
以前、鳥人間コンテストに出場している大学の関係者に話を聞く機会がありました。曰く、人力飛行機というのは、普通に考えれば飛び続けられないものを飛ばしている。設計する側は徹底的に理詰めでやるのは当然だが、実際に飛ばす飛行士は理屈以上の何かが無いと務まらない。彼等は、体力の限界を超えてペダルをこぎ続ける。それは文字通り、自分の中で「ここが限界」というリミッターを外さないといけないということ。俺はやれる、飛び続けられると信じられなくなった瞬間に墜ちる。邪気眼を持てとまでは言わないが、自分は特別、主人公補正がかかっていると信じられる『中二病』でなければ飛べない、と。普段は難解な専門用語でしか喋らない理系人間のその人が、その時だけはえらく精神的な話を、真剣な口調で語っていたものです。
強く信じる力で飛ぼうとする存在、それは我等が水銀燈も同じだと思います。初めてローゼンメイデンという作品に出会ったとき、私は水銀燈の翼に魅せられて、彼女のファンになりました。
水銀燈の翼は黒羽を撃ち出す銃砲であり、敵の攻撃を弾く盾であり、龍を召喚する魔法の杖であり、そして何より、空を飛ぶ翼です。nのフィールドではない現実の空間で、鞄に乗らずに空を飛べるのは水銀燈だけです。ときに静かに佇み、ときに激しく舞う水銀燈の翼からは、「生きることは闘うこと」というローゼンメイデンの精神を言葉ではなく背中で語る彼女の戦士としての矜持が感じられます。
その水銀燈はアニメ版において、胴体が無く本来は動けるはずのないハンディキャップを抱えながら、誰よりも強いアリスへの執念でそれを補い、翼を生やして、親友であり強敵であった真紅を相手に最後まで戦い続けました。まるで己のハンディキャップさえもバネにして、意志の力こそがアリスの条件と証明したいかのようでした。その生き様に私は感動し勇気づけられ、今日に至ります。
初めて水銀燈を知ってから年月を経ても冷めることのないこの想いを、形にしたい。そして沢山の人に伝えたい。そう願って、私は水銀党の一員になり、そしてこれからも水銀党であり続けたいと願っています。
水銀党本部代表 冬月
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