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三角比の教授に関する雑感

2010-04-15 | 高校数学
学校で、三角比の指導に入ることになり、その指導内容をどう説明するのか、
指導法の通底部分を作り出そうと教材研究をしていました。


基本的に三角比の単元の教科書の指導内容として前提に置かれていることは、
●公式・定理を使える条件も含めて、しっかりと整理、正確に使えるようにする。
 [特にセンター試験では、『三角比の問題=正弦定理・余弦定理の問題』と言っても
  過言ではないほど…なので、]
 (例)正弦定理:1辺とその対角の場合(A+B+C=180°の関係も意識)
   余弦定理:2辺とその間の角・3辺
 (例)有名角の三角形を常に意識
   単位円への移行や図形問題への道具として
ということを基本に、
計算自体は機械的にできるものが大抵なので、
基本パターンとその反復練習ということになるのでしょう。

ただ、あとは
●描図の練習
●平面図形との応用[(例)円周角の定理や角の2等分線との融合問題]で、どう問題解決を
 探るのか…、複数の解法パターンから最適なものを選択する力
などを念頭に勧められるのでしょうね。


ただ、そのように定型化しそうなこの単元の指導内容も、
●角や長さの文字設定によって、教科書レベルで求められていた解法パターンや機械的計
 算の内容も少し違ってくる
⇒座標軸の設定によって、ベクトルなどと融合して解いたり、直線の方程式で考えたり…
 とまた違う解き方になるのですが、そこにtanθの加法定理(数学Ⅱ分野ですが…)との
 関連も出てきます。
 また、文字設定によっては、3元1次方程式を解くなど、本来三角比では出てこない計
 算に触れることになります。
ということもあるでしょう。

また、
●物理の力の分解を意識して斜辺から残りの2辺を導出することを徹底する
 ⇒その場合、そこから、有名角の「斜辺=1」への移行に持っていき、
  三平方の定理を使って、三角形の相互関係を見やすくすることが可能
など、他分野との融合を考えて指導力点を変えることも考えられます。

さらに
●三平方の定理から整数の基本性質に触れ、ピタゴラス数の導出
 ⇒整数解から有理数解を求めることに問題を変化させることで、単位円の方程式
  を導出、tanθの2倍角の公式からディオファントスの方程式を探る…
 [詳しくは、サージ・ラング『数学の美しさを体験しよう』(森北出版)参照]
●余弦定理を三平方の定理から視覚的に見せて証明する
など、数学の世界の広がりを見せていく、様々なアプローチも可能です。

逆にまず三角関数の移行を睨んで
数学の問題を解く基本軸を、有名角の三角形と単位円の使い方に力点を…
という考え方もあります。


指導内容の基本ラインは大事にしつつも、
膨らましていく内容とそのアプローチをどう体系化していくのか、
もう暫く考えてみます。