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筆の足跡

日々の出来事と趣味のお絵描きの記録です。

高村薫「太陽を曵く馬」

2009年10月03日 | 本・漫画・音楽

高村薫「太陽を曵く馬」

ようやく読み終えました~~。
苦しかったです、この2ヶ月あまり……。
最後はもうぶっとばしです。
きちんと読もうが、ぶっとばそうが、
理解できないことにはかわりない、というのが結論です。

そうです、結論、「意味分かんない」

ああ~、理解できないのはわたしが悪いのでしょうか?
レビューなんか読むと、みなさんこれはすごいなんてこと書かれていらっしゃいますが、
そもそも何がすごいのか、それすらもわからない愚か者です。
みなさん、これ理解できたんですか?
この難解さがすごいということでしょうか?

それ以前にこれ、小説ですか?
論文か何かじゃないんですか?
高村センセー、凡人にも理解できるものを書いてくだされ~(涙)。

上巻は3人の人間を殺した死刑囚福澤秋道に宛てた父の美術論のような手紙、←大雑把すぎ!
下巻は交通事故で亡くなった1人の僧侶を巡り、僧侶たちがわんさか登場し宗教論を繰り広げてる。
それが、久々のお出ましとなる我が愛する合田雄一郎の視点で描かれているのですが。

わかったことといえば、……合田はホント警察官という職業にむいてないってことでしょうか。
彼の脳は警察官としては複雑すぎるのです。
警察官に必要なのは平べったい脳です。
ようするに平面、縦と横があればいいんです。
高さなど必要ないし、ましてや捻れや屈折など以ての外。
色でいえば「白と黒」。
それも正しいものが「白」ではなく、
自分の都合が良いものが「白」でそうでないものは「黒」。
警察とはそういう組織です。
そして合田はそういう組織に、そしてその組織にいまだ存在している自分に辟易としているんだと思います。

相変わらず合田の病みっぷり健在です。
だからこんなわけのわからない美術論や宗教論に嬉々として挑むんでしょうね。
わたしには彼が喜んでいるように見えました。
彼の入り組んだ脳が、ストイックな精神が、歓喜して震えているように見えました。
ようやく自分の脳を刺激する難解な出来事に出会えた、とでもいうふうに。

ということで、本の感想は終わり!(これが感想か?)
以下ネタばれありますので。

時々加納(合田の元義兄であり親友)の名前が出てくるのはファンサービスなのでしょうか。
ではありがたく受け取ります。
最後で、加納との電話で涙を流すなんて記述は、
ここまで読んだ合田義兄弟ファンへのご褒美としか思えません。
2人の会話を勝手に妄想しつつ、2人の将来を思いため息をつきつつ、
お願いだから「愛」とか「欲望」とかに貪欲に生きてほしいと思うのですよ、合田くん。
ということで、押し倒してしまえ~、お義兄ちゃん!
観念しろ~、雄一郎!

今度この2人に会えるのはいつになるのでしょうか?
そもそも会えるのでしょうか?
そのとき合田はまだ警察にいるのでしょうか?

運良く何年か後に会えたとして、頭を丸め法衣に身を包んだ合田……だったらどうしよう。わくわく!
警察よりはよっぽど彼にとっては健全な世界な気がしますが。
なんか、その足元はいつもの白いスニーカー……というイヤな予感もしないではないけど。
加納と2人で京の古い町並みを並んで歩く……、期待してます、高村センセー!