COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

限りある地球に住む一地球市民として、微力ながら持続可能な世界実現に向けて情報や意見の発信を試みています。

学生達は自ら意見を発信し、他学生の意見を読んで何を学んだか? PART 1

2008-02-07 14:10:41 | Weblog
まえがき
 学生は良い成績を取りたいと願って答案を書くが、多くの場合は提出で終わり、更に深く考えることは稀で同僚の学生達が何を考えているかを知るすべもない。私はこのような状況を何とかできないかと考えて、某学の学生達が書いた原稿用紙1枚程度の答案を匿名でこのブログに公開してきた。学生達が読んでくれればではあるが、自分以外の多様な考え方もあることを知るきっかけになる。しかし、意見をきちんと発信するには文字数不足であるし、ブログ上で多数の学生達の意見を読むのはかなりの忍耐力が要る。そこで、今期の講義では37名の学生に地球環境問題について自由に選んだテーマで、原稿用紙3~4枚の提言を執筆させ、冊子にまとめて配布した。冊子はA5版、68ページ、約50,000字である。自ら意見を発信したり、他学生の意見を読んだりしたことの感想を書いて貰ったところ、様々なに気付いてくれたようである。以下にランダムな順序で、学生達の感想文をPART1とPART2に分けて掲載する。

【学生203】
 今回、多くのVTRを授業内で見させて頂き、多くの環境問題が存在していることを知りました。感染病や資源不足などを学習し、毎回の授業で意見を述べさせて貰いました。その度に他の学生の意見を読み、私と全く違う考えや見解を持っているということが分かり、驚きました。そして、その様な意見があるということを学び、自分の意見を考えさせられました。自分が正しいと思うことを正しくないと述べる人もいるのであり、その事実はとても大きい変化を私に与えるきっかけとなりました。環境問題について、人の意見を読み、自分の意見を読み返し、考え直すという行為は、現代の環境問題の解決に最も必要な事であると思いました。この授業を通して、その事を学ぶことが出来ました。他の人の考えを知ることは、自分自身の成長に繋がりました。これからもこのような機会を大切にしてゆきたいです。

【学生209】
 エネルギー資源の章で「バイオ燃料は必ずしも肯定的なものではない」と書いている方がいて、はっとした。バイオ燃料は環境問題に必ずしも良いものではない。その原材料となるトウモロコシ、サトウキビを焼畑生産している途上国もある。その焼畑は二酸化炭素を生み、やがて砂漠と化する。つまり、人間は自己の利益しか考えていないのだ。このことを改めて実感した。また、ほとんどの論文で共通して叫ばれていたのが、「政府、民間、個人が一丸になる事」、環境に対する個人の意識改革だ。私もこれを提唱していたので、共感できた。そして、環境問題は地球規模だから自己の行動が分からないとの叫びもあった。私も右に同じである。しかし、共感している場合ではない。同じ考え、同じ疑問を持った若者が集まっている。1人ではできない事でも複数集まれば何かできる。私の提言集から私達一般人が地球環境について語り合うのは今だと実感した。

【学生172】
 やはり社会人の方もいたり、他学部の方がいることで、様々な視点があることを改めて実感したので、どうしても色々なビデオをいくつ視聴しても、自分の考えが固定されているな、と思うことがあった。だから他人の意見を、しかも同じものを視聴した上で。自分の関心のある事柄に関して、読めたことは貴重な機会だったと、一年を通して思った。正直、最初レポートを提出した時は思えなかった。きれい事ではなくて、これはこの講義をとって良かったところだと思う。でもインターネットを介すと、読みにくいのではないかと思った。冊子は読みやすかった。

【学生206】
 他の人の提言を見て、そして自分も提言をしてみて思ったことは、皆それぞれ、授業を通して学んだこと、あるいは元々自分の持っていた知識があって、どの様な危機に今私たちがひんしているか分かっていて、どうしていかなければならないか?自分の意見をしっかりと持っているということです。ただ、具体的にどの様なことをしているか、解決に向けて行動できてはいないのかなと感じました。しかし、関心があるということは伝わってきたので、それは大切なことであり、今後の諸問題における大きな前進であると思います。しかし、やはりまだ知識、理解が乏しいと思うのは、私を含め、皆感じていることなのだなぁと思いました。皆、自分の考え、諸問題に関する姿勢、立場が分かっているのだから、解決に取り組む力は持っているのだと思います。今回周りの人の考えを知ることができ、私の視野も広げることができ、良い機会になったと思い、勉強になりました。

【学生202】
 学ぶところは、あったと思う。他の受講生達の意見をブログ上で見ることは、ハロー効果や場の雰囲気に飲まれることなく、客観的に意見を見ることができた。匿名であったことも良かった点であると思った。他の受講生達が、自分とは違った視点で提言を出していることが驚きであった。
 ブログにアクセスする機会というだけでも学ぶ部分はあったと思う。インターネットが当たり前の今の時代に授業中の発表や、プリント配布ではなく、ブログでの発信はこれからの社会では増えていくと思うので、今回のような試みは慣れにつながったと思う。

【学生168】
 自分が読み終えてから一番に感じたことは、全体的に地球温暖化に対する記事が書いてあり、皆それぞれ異なった意見があって、心から環境問題について考えている人だと感じました。もちろん他にも農業の話もありましたが、それぞれ固有の意見があって読み応えがありました。そして自分と同じ様な考えをもった人もいれば、異なった観点から書いている人もいた。このように生徒一人一人の意見を皆が知ることができ、そしてそれを考えることが出来るのは先生以外の授業ではありませんでした。これにより自分は広い観点から環境問題について考えることが出来るようになりました。自分は兄とよく環境問題について話しているので、「私の提言」を兄に見せてあげようと思っています。今後も環境問題について、授業を参考にしながら考えていきたいと思います。

【学生214】
 私の提言を執筆したことによって、自分の考え方を明確にする事、新たな発見を得た事は、自分にとってプラスでした。普段ニュース等でも、自分なりの考え方や意見があったとしても、文章にする事なく終えていたのが、文章として残すことで、これから先改めて読み返した時に、あの時の考え方が今でも正しいなとか、今考えるとこういう考え方もできるんじゃないかなど、様々なことができる。また、他の生徒の提言で、自分に似通ったテーマを持ったものと意見を見比べ、確かにこういう考え方もできるなとか、これは違うかなとかも感じ取ることができた。

【学生212】
 21世紀を迎え、今地球は様々な問題を抱えている。先人達が思い描いたような明るい未来はそこにはなく、深刻な問題だけが山積みされている。私自身それらについて、決して考えたことがないわけではない。しかし、こと他人がどう考えているか、関心を持ったことがないというのは不思議である。それは、本当の意味で危機感をもたず、どこか別世界の出来事であるように感じていたのかもしれない。そういった点からも、今回のこの授業で他の学生がどのように思っているのか知ることができたのは良い経験だったと思っている。考えを共有し合うことから、それが行動につながり、改善へと導かれるのかもしれないとも思う。

【学生220】
 私が他の受講生の意見を見て、初めに思ったのは、私と同じ様に食糧問題について考え論述している人達のその多様性であった。自分と同様に公害に結び付けている人はおらず、その問題を大豆などからできるバイオエタノールを作るための遺伝子組み換えの問題や、日本の米の自給率の低さなどであった。
 これらの私と同じ問題についての論述は、私自身の考えた問題をさらに考えさせた。それは、ただ環境問題の変化が公害となり、それが食料や人、その他の生物に悪影響をもたらしていくということだけはないし、もしかしたら、食糧問題が環境に与えた被害の方が大きいのではないだろうか。人の都合で作っていった作物によって森林を破壊していったが、この様な事が繰り返したからこその公害であり、また食料問題なのだと考えさせられた。

【学生207】
 自らの提言として今回は地球温暖化に対する意見を述べさせていただきました。他の受講生の意見を確認したところ、納得することがありました。まず、自分とは違う視点から見ていることです。考え方が様々であることから問題の原因、解決方法も違っていました。また、人によってイメージの仕方が違うということも感じました。それにイメージが違うことによって読み手側のとらえ方も変わってきます。そこから自分自身も色々な方向性を見い出せるようになりました。自分の考え方に刺激を与える意味で情報共有というものはとてもよいと思います。

【学生197】
 私は自らの提言を執筆し、これまで自分が思っていた環境問題についての考えをまとめ、その考えを人に伝えられる機会ができたことはとても良かったと思う。自分の考えを他の人がどのように感じるかは分からないが、その人の環境問題の考えに少しでも参考にしてもらえれば嬉しい。
 一方で、他の人の提言を読み考えさせられることも多かった。食糧問題や環境問題、地球温暖化などの授業で取り上げられたテーマで、自分が思った事と同じような考えの人もいれば、違う視点で問題を捉えている人もいて感心させられた。
 自らの提言を執筆したことで、様々な問題に対して自分が今後どのように行動しなければならないのか道筋が定まった。これからの生活で実行していきたい。

【学生184】
 まず自分の意見を述べることにより、その地球上の問題について深く考えるようになったし、更にその問題に対して自分には何ができるのかを考えるようになった。
 そして、自分の考えだけでなく、他の人の違う意見を読むことで、自分と同じような考えの人や似た意見、または全く違う考えの人がいたので、そういった意見に対しても考えるようになった。 今、地球環境の問題が大きな問題として、世界各国で話題になっているが、話題になっていても深く考えたり、行動したりする人は少ないと思う。しかし、在学中にこの授業を受けることができて、とても自分のためになった。

【学生169】
 まず、名前を出していない人が多いこと驚いた。これは別に批判ではなく、ただ自分が想定していたことと違っただけである。この「自らの提言」という試みは、とても有意義なものだと思う。この授業でとり扱った問題は、国の規模であったり地球規模で合ったりと必ず他の人にも関わっている、というか関わらなくてはいけない問題である。そのことについて自分の回答だけで終わってしまっては、その人自身の発展につながらないだろうし、また他の人との意見交換がなければ、問題の解決に全然つながらないだろうからだ。そういったことから、私はこの試みは、意味を持っているものだと思う。

【学生179】
 今回の試みは講義に対する意欲を促進させたと思う。前期ではただビデオを見て、講義の感想を提出するだけで、居眠りすることも多々あった。しかし、他の受講生達に意見を発信することは、自らの提言に影響力を持たせることができるということだ。自らの提言に納得する人や同意する人、或いは、否定や反対する人がいるということである。そこには責任がともなうと思う。また、これからの自分自身の生活にも生かさなければならない。講義の内容は地球レベルの話が多かったので、受講生の数から見ると変化させるのはとても難しいが、今回の試みによって、いろんな意見を目にできて、新しい自分の考えとしてこれから、地球生命を考えられると思う。

【学生219】
 僕は人間と地球という少し抽象的はテーマで提言を行いました。自分の提言の内容を少しでも多くの人に知ってもらえれば、地球環境や日々の人々の交流においてよい方向に向かっていくだろうし、そうなって欲しいという願いを込めて書きました。自分で調べて考えて、とてもいい経験をしました。他の人の意見や内容に比べると、自分の提言は説得力や構成力に欠けると痛感しましたし、読んで知識を得ることも出来ました。このような情報共有をする機会は、今の自分の世代には多いと言えないので、こういったことをすることはとても素晴しいことと思います。なので、これからもニュースや新聞などのメディア、自分の経験を元に、地球、人のこれからについて真面目に考えていきたいです。

【学生180】
 普段の授業において、毎回行われた400字のレポートと異なり、今回はある程度の分量があり、かなりの受講生が書いたことから、いくつかの興味深い他人のレポートを読むことが出来ました。私は、特にハイブリッドと表題にあるレポートで、限りある石油などの資源は、不可欠な分野に優先して回し、それ以外の、例えば製品の製造などにはクリーンエネルギーを用いる、という主張が、現実的な解の中で、優れている考え方だと思いました。玉石混交で、主張のはっきりしないレポートも見受けられましたが、自分では考えつかない発想を得られるという、普段なかなかない機会があったことは非常に良かったと思います。

【学生196】
 今回の「私の提言」集では、たくさんの方々の意見を読んだが、どれも目のつけどころや考えが様々あり、感心するものもあれば、反対の気持ちを覚えるようなものもあった。金曜6時限の受講生だけではあるが、この意見交換の場は、地球環境への意識を少なからず高めたと思う。
 更に、先生がブログという広いつながりを持てる場にこれを公開することで、生命科学の講義で感じた思いがより多くの人に伝わってくれることを願う。今回の講義を通して、間違いなく危機感を持つ意識はあがった。後は「行動」に移せるかだろう。

【学生194】
 自分と全く同じ人間はいないという事は、普段生きている上であたり前のように感じていたが、今回色々な他人の課題の意見などを読んで少なからず考え方が変わりました。それは、物事の見方というのは、一つの方向だけではないんだということでした。たくさんの人の文章を読んでいたら、物事の見方の側面というものは、本当にたくさんありとても勉強になりました。
 結果的に自分がこれから生きていく上で、すべての物事には、それぞれたくさんの見方があるのだという事を心に残して生活していきたいと思います。

PART 2に続きます。
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