COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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バラはどんな国から輸入されているか

2010-01-11 19:11:16 | Weblog
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 恒例のウィーンフィルニューイヤーコンサートで演奏された「南国のバラ」を聴いた。ヨハン・シュトラウスの時代の南国とはイタリアだったようだ。輸送手段が発達した現代では、あらゆるものが地球の反対側からでも運ばれてくる。冒頭の図は、財務省貿易統計で調べた2008年に日本に輸入されたバラの輸出国それぞれからの数量と金額である。大阪税関が出している2006年の図入りのpdf.ファイルを閲覧できるが、それによると、バラに関しては国内生産量の方が多く、輸入品は不足分の補完に充てられているようだ。お隣の韓国からが最も多いが、インド、ケニア、エチオピア、コロンビア、エクアドル、ベトナムなど文字通り「南国のバラ」が日本に輸入されている。これら7カ国に加えてオランダから輸入されているバラは、韓国産に比べて数量当たりの価格が高いのは、輸送距離から見て当然である。食糧ばかりでなく、季節外れの美しい花を楽しめるのは有難いことではあるが、輸送距離が多いほど、二酸化炭素の排出は多くなることに留意して、温室効果ガス排出削減に取り組むことも必要である。

 アフリカのバラは、現地住民の雇用を創出し、現金収入を生んでいるので、先進国が輸入しなくなれば生産国には打撃になる。生産規模が段違いに多い東南アジアの油ヤシ農園にも共通する解決の難しい問題である。しかし、バラの栽培でも、油ヤシ農園に見られるような、現地で起こっている環境破壊と住民間の格差拡大への対処がなされねばならない。昨年12月に放送されたBS世界のドキュメンタリー「血塗られたアフリカのバラ」では、野生の宝庫だったケニアのナイバシャ湖周辺に次々と造られた巨大バラ農園が組み上げる大量の水や、職を求めて押し寄せた人々による生態系の破壊と格差拡大による軋轢に、かつてはケニア一の美人と言われた動物ドキュメンタリー制作者で環境保護活動に傾倒したジョアン・ルートの謎めいた非業の死を織り交ぜて描かれている。12日(火)と13日(水)の10:10-11:00のBS1で前、後編に分けて再放送される。以下は番組HPによる概要である。

 2006年1月、自然ドキュメンタリーの制作者として世界的に知られ、後に、環境保護活動に身を投じたジョアン・ルート女史がケニアの自宅で殺害された。ジョアンが暮らしていたナイバシャは、ドラマ「ボーン・フリー」や映画「アウト・オブ・アフリカ」で知られるケニアの美しい湖があり、アフリカの魅力を象徴する場所である。近年はバラを生産する巨大農場が次々と作られ、さらに数万人が仕事を目当てに押し寄せ、環境破壊が進んでいる。ジョアンは自然が壊されていく事に心を痛め、環境保護活動に傾倒していた。その活動は様々な軋轢を生み、事件はそのさなかに起こったのだ。
 若かりし頃、ケニアで一番美しい女性と言われたジョアンは自然ドキュメンタリー映画の制作者アランと結婚。二人三脚で数多くのドキュメンタリーを撮影、制作する。しかし、やがてアランは別の女性の元へと去り、ジョアンはドキュメンタリー制作からも遠ざかる。 生き甲斐を無くしてしまったジョアンは、ナイバシャ湖のほとりで一人暮らし始める。そこで目覚めたのが環境保護活動だった。そのころナイバシャ近辺では巨大なバラ農園が作られ、多くの人たちがそこで働くために集まってきていた。農園は大量の水をくみ上げ、労働者は湖で魚の密漁を繰り返し、野生の宝庫だった地域の環境は日増しに悪くなっていった。
 ジョアンは自ら監視部隊を作り、密漁を取り締まり、バラ農園に対しては環境を守るように詰め寄った。活動の中で、密猟者にけがを負わせるような事もあったが、ジョアンは金を払って解決していた。貧しい人たちにとって湖での漁は貴重なタンパク源。魚を保護するために小さな魚を捕らないという知識もなかった。網を没収され、漁を禁じられた人たちの恨みがジョアンに向かっていった。やがて、特別部隊は解散を余儀なくされた。こうした中でジョアンの周辺で不審な事件が相次ぎ、緊張が高まっていた。警備担当者も雇い入れ、警戒を強めていたが、とうとうジョアンは2006年1月、深夜2時に自宅にいるところを襲われ命を落とす。アフリカで生まれ、アフリカで命を落としたジョアンの人生を、元夫や友人、特別監視部隊のリーダーたちヘのインタビュー、ジョアンの生前の映像などで浮かび上がらせる。

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4 コメント

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Unknown (黒猫)
2010-01-13 10:29:09
NHKBS1を見ながら、検索で来ました。
初めて知った事件です。ここで良く理解できました。
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Unknown (黒猫)
2010-01-13 10:29:09
NHKBS1を見ながら、検索で来ました。
初めて知った事件です。ここで良く理解できました。
返信する
Unknown (ももの葉)
2010-01-13 10:53:24
 おはようございます☆

 私も、昨日に引き続き、ネットサーフィンの傍らBS1を付けていて、無理をして?字幕を見ていない(いなかった)のでここで(*^^*)q。

 日本で売られている薔薇までケニア産(@.@*)とは知らず、冒頭のグラフで新しい事実を教えて頂きました。
 
 ありがとうございました♪
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黒猫さん、ももの葉さんへ (coccolith)
2010-01-13 23:43:37
コメント有難うございます。
本文に入れ忘れましたが、このドキュメンタリーを見て、ヴィクトリア湖に持ち込まれたナイルパーチによって引き起こされた問題を描いたダーウィンの悪夢を思いだしました。
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