先日の記事で、いま話題になっているデング熱を媒介する蚊の越冬の可能性を考えなくてよいのかと疑念を提示しました。理由は、1999年にニューヨークに突然出現した、西ナイル熱を媒介する蚊が越冬し、感染が全米に広がったからです。私は蚊の生態を詳しく知らずにこの記事を書いた責任を感じ、蚊の生態についてネット情報を調べてみました。学術誌の情報まで辿り着けませんでしたが、ファーストテック株式会社のHPで人の血を吸う蚊の生態と媒介する感染症についてかなり詳しい情報が見つかったので、そのあらましを紹介します。
蚊の成虫の寿命は一か月程度で、雄・雌ともふだんは花の蜜、果物の汁、樹液などを食物としています。雄は血を吸いませんが雌は吸血し、卵巣を発達させて産卵します。産み落とされた卵は水中でボウフラ、サナギを経て成虫になるまで約10日~2週間かかります。日本で身近にいるのは次の3種です。
A.ヒトスジシマカ
東北中部以南の人家、やぶ、公園、墓地などに生息し、飛距離は15~50mで、昼間に人が近くにくると刺します。いま世間を騒がせているデング熱を媒介しますが、卵で越冬するので、世代を超えて病原ウイルスが伝わることはありません。従って成虫の活動が終われば、デング熱の感染拡大も終息すると考えて大丈夫でしょう。
B.アカイエカ
北海道から九州にわたる住宅地に多く、家屋に侵入するのが得意で、閉めきっているつもりでもどこからか侵入し、就寝中に刺します。飛距離は1km近くに及びます。成虫で越冬します。
C.チカイエカ
都会の住宅地、ビルの地下、商業施設など建物内に1年中いる蚊で、昼夜問わずに刺します。血を吸わずに産卵可能で、2回目の産卵のために成虫で越冬します。低温に強く、秋になっても休眠せずに冬場も活動します。
以上からすると、デング熱を媒介する蚊がヒトスジシマカなので、人は運がよかったみたいですね。
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