SEIKYO online (聖教新聞社):今月初め、婦人部の友が主宰するステンドグラス工房の作品展に出掛けた。
今月初め、婦人部の友が主宰するステンドグラス工房の作品展に出掛けた。彼女は病魔と闘う中、昨年の東日本大震災に襲われた。幾多の試練を乗り越え、迎えた展示会だけに、喜びもひとしおのようだった▼ステンドグラスをあしらった電気スタンド、ついたて、置物……会場に並ぶ数々の作品。「震災後の短期間で、よくも、これほどの新作を」と驚きを伝えると、彼女は言った。「じつは、ここには震災前の作品がたくさんあります。地震で全ての作品が倒れましたが、わずかに一部が破損した程度で済みました」▼材料として使うガラスは、衝撃に弱い。だが、彼女の作品は、見た目では分からない部分に、十分な補強を施すのが特徴だ。だから倒れても壊れない▼「見えないところで手を抜くのは二流です。『時』に耐えられてこそ本物です」。彼女の作品には“弱いから、強くする”のではなく、“本物であればこそ、強くなくてはならない”との信念が宿っている▼人の生き方も同じであろう。重圧などの試練の時こそ、真価が試される。思いもよらない苦難に耐え、勝ち越える強さ――そこに、人間の真の偉大さが表れる。ステンドグラスのぬくもりに映える彼女のほほ笑みにも、それを見る気がした。(城)
『見えないところで手を抜くのは二流』…ドキッとしましたよ。