【防災の日】来る「関東大震災2」で世田谷・杉並の住民は焼死まっしぐら! 甘すぎる政府の被害想定を徹底論破8連発、今すぐ東京から脱出しろ!!
今年も9月1日の「防災の日」を迎えた。今さら指摘するまでもなく、この記念日は1923年9月1日に発生した「関東大震災」にちなんで制定され、国民に地震や津波といった大災害についての認識を深め、防災の心構えを持ってもらうことを期待したものだ。今後、「いつ起きてもおかしくない」とされている首都直下地震が発生したら、“第二の関東大震災”として、過去の大震災でも経験し得なかった未曾有の(想定外の)大惨事が待ち受けているかもしれない。今、その可能性を改めて、洗い出して紹介することにしたい。
関東大震災の発生前、大正時代の東京府(現在の東京都)の人口は約370万人だった。それが現在は、約3.5倍となる1300万人を抱える世界有数の大都市である。単に人口が増えただけではなく、現代の東京はさまざまなインフラ、交通網、コンピューターシステムなどが蜘蛛の巣のように張り巡らされ、94年前には想像もできなかったほど複雑な大都市となっている。このような状況下、M7超の巨大地震が首都圏で発生した場合、どのような被害が発生するかを正確に把握している人物は、ほとんど存在しないのではないか。
東日本大震災から6年が過ぎたが、われわれ日本人が決して忘れてはならないのは「あの地震はまだ終わっていない」という事実だ。余震だけで少なくとも10年は続くという学者もいれば、長期的に見て100年間は続くという主張もある。過去の貞観地震や慶長大地震のように、3.11を皮切りに「平成大災害シリーズ」ともいえる大地震や火山噴火が連発する時代に突入しているならば、首都直下地震の発生も目前に迫った危機と捉えて然るべきだろう。
■関東大震災の被害が再現されること
まず、関東大震災で起き、次の首都直下地震でも再現されると思しき事態を紹介する。再現とはいえ、大正時代と現代の東京では都市の規模が異なるため、過去を上回る甚大な被害が予測されるものばかりだ。
1. 液状化現象で建物倒壊
東京23区の東側に位置する海抜0メートル地帯は、過去の記事でも紹介したように、「環境考古学」などの観点から非常にリスクが高いといわざるを得ない。これら下町と呼ばれる地域のほとんどは、縄文時代に海の底だったため、地盤が非常に弱い。液状化現象で中層ビルや木造住宅の多くが全壊する危険性がある。関東大震災における建物の全壊は10万棟以上だったが、“第二の関東大震災”ではそれを上回る数になるだろう。
<iframe class="resizems" src="https://www.youtube.com/embed/jSZ3x6KBIGg" frameborder="0" width="560" height="315"></iframe>動画は「YouTube」より
また、首都圏に数多く存在する埋立地には大きなリスクがあると指摘せざるを得ない。東日本大震災の発生時、千葉県浦安市は震源から300km以上離れていたにもかかわらず、ひどい液状化現象で深刻な被害が出た。舗装道路が凸凹になり、下水道のマンホールが隆起した光景を伝えるテレビ映像は衝撃的だった。実は筆者は、大震災発生から1カ月ほど経ってから浦安市を訪れ、被害状況を調査した経験がある。その時の状況を動画にまとめてYouTubeに投稿しているので、興味のある読者はぜひご覧いただきたい。地下から吹き出した砂がそのまま放置されていたり、剥がれた歩道の敷石が脇に積み重ねられている様子がおわかりいただけるだろう。
2. 住宅密集地域の火災
関東大震災の発生時、ちょうど台風が日本海沿岸を北上中だったため、強い風により多くの火災が発生した。190万人が被災し、死者・行方不明者は10万人を超えたが、とりわけ住宅密集地域で多くの人が焼死した。東京府の死者・行方不明者7万人以上のうち、実に9割以上が火災によるものだったのだ。
現在の東京は、当時を上回るレベルの歴史上類のない住宅密集地域も多い。そのため、“第二の関東大震災”では想像を絶する火災が待ち受けていることが推測されるとともに、「最大の弱点」といわれている。政府の地震調査研究推進本部が想定するM7級の地震が発生すると、最悪の場合、首都圏全体で2万3千人が命を落とし、その7割が火災による焼死者と想定されている。しかし、過去の歴史と現状に鑑みれば、この被害想定はあまりにも楽観的な見積もりだと考えざるを得ない。
3. 火災旋風
関東大震災では、通常の火災のみならず「火災旋風」という恐ろしい現象も発生した。これは、地震や空襲などによって、都市部の広範囲にわたり炎を伴う旋風が発生する現象だ。火災旋風の温度は1000度を超えるといわれ、竜巻に似た外観を呈すこともあるという。局地的な上昇気流に炎が加わり、これが空気のある方へと移動することによって被害が拡大していく。
当時、たとえば本所の陸軍被服廠(ひふくしょう)跡地の広場には、3万人以上の避難者が押し寄せたが、その直後に火災旋風が発生。避難者が運び込んだ荷物などに飛び火した炎が、人々の衣服や髪の毛にも燃え移り、さらに四方を炎に囲まれ、まるで生き地獄のようだったという。当地での死者は1カ所で3万8千人にも上り、生存者はわずか200名ほどだった。
来る首都直下地震でも条件次第では同様の現象が起こり得るが、1979年に東京都防災会議がまとめた報告書では、特に火災旋風の危険性が高い地域として7カ所が挙げられている。それは、やはり世田谷区、中野区、新宿区、杉並区といった住宅密集地の公園などである。94年前と同様に多くの人々が避難している状態で火災旋風が起これば、大半が焼死する可能性が考えられるだろう。関東大震災では起きなかったが、次回は起きるであろうこと
次に、関東大震災では問題とならなかったが、次の首都直下地震では起きることが予想される深刻な被害についてまとめてみたい。
4. 首都高の大半は軟弱地盤、ほぼ倒壊する
1995年の阪神・淡路大震災では、高速道路の倒壊がその惨状を世界に向けて象徴的に示していた。首都圏では、さらに恐ろしい事態が待ち受けていると誰もが感じているだろうが、内閣府発表の被害想定では、首都地域内の高速道路は阪神・淡路以降に耐震補強を進めたために、大きな被害は想定していないというのだ。これは、筆者が知っている限りの現実とは、大きくかけ離れた認識と言わざるを得ない。
そもそも、ある建設関係のエンジニアに聞いたところ、現在の首都高速の大半は、その昔に川であった場所など極めて軟弱な地盤の上に建てられており、地震によって多くが倒壊する恐れがあるという。
また、首都高の高架自体が倒壊しなかったとしても、別の危険が残されている。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は、「古いビルが首都高へ向かって倒れてくれば、首都高もろとも崩れてしまう。走っている車を直撃する可能性もある。地上を走る電車も同様です」(「フライデー」、2012年11月30日・12月7日号)と語る。都内を走行中の車も絶望的だろう。
5. 屋外にいても“凶器の雨”が降り注ぐ
特に都心では、道路脇に高いビルが立ち並ぶが、それらが全壊・半壊したり、または壁の一部や窓ガラスが割れて道路を塞いだだけでも、消防車などの緊急車両の通行が困難になる地域が多発すると思われる。もちろん徒歩で避難する人々にとっても同様で、避難場所へ歩いて向かうにも大きな障害となるだろう。
中央防災会議では、1970年以前に建築された建物の約3割で窓ガラスや壁面の落下が起こると想定している。首都直下地震における1つのパターンとして想定されている東京湾北部(M7.3)の地震が発生した場合、首都圏全体では2万1千棟の建物から落下物があるという。また、住宅のブロック塀や無数に存在する自動販売機なども凶器となり、前者では11万カ所、後者では6万3千カ所で転倒が起きると考えられている。
6. 欠陥マンションで想定外の大惨事も
建築検査のプロである船津欣弘氏の著書『新築マンションは9割が欠陥』(幻冬舎)によると、現代の新築マンションの約9割は、何かしらの欠陥を抱えているという。その事実が広く知られるようになったキッカケが、2015年に社会問題化したマンションの「杭打ち不正」だろう。もしも、これが都心の高層ビルでも行われていた場合に何が起きるかと思うと、恐ろしいものがある。「高層ビルよりも築年数が古い中層ビルの方が倒壊の恐れが高い」といわれることもあるが、それはあくまでも「杭打ち不正」がないことが前提の話である。液状化が起こらない地下の地盤までしっかりと杭が打たれていなければ、高層ビルもどうなるかわからないのだ。
船津氏によれば、マンションのように大規模な建築の場合、多い場合には30社もの業者が関係し、実際の作業は下請けや孫請け業者に回される。その下部階層で働く請負労働者たちは、上層の業者に利益を抜かれるため薄給となり、時間がかかっても丁寧な作業を行おうという意識は生まれにくくなるという。また、日本では分譲マンションが着工前や完成前に販売されるケースが見られるが、こうした仕組みも欠陥を生みやすい元凶とされる。
また、たとえ建物に欠陥がなかったとしても、大地震が起きればエレベーターが停止する事態は十分に考えられる。もしもそこで火災が発生すれば、高層階の住民は煙が充満した階段を降りて避難しなければならない。いや、お年寄りなどには、それさえ困難になるかもしれない。裕福な人々にとっては高層マンションがステータスになるのかもしれないが、いつか起きる大地震のことを考えると、それほどの大金をはたいてまで住む価値があるだろうかと疑問に思えてくるのだ。
7. コンビナートのタンクの貯蔵物が東京湾に流出
前述の液状化現象は、別の形でも脅威となり得る。それは、東京湾沿岸に立つコンビナートに深刻なダメージを与える可能性があるからだ。早稲田大学理工学部の濱田政則教授は、「64年の新潟地震以前に埋め立てた場所は、液状化対策を何も講じていない所が多い。そういう場所が湾内のいたるところにある。長周期地震動で揺れると、タンクの中の貯蔵物が東京湾に流れ出る恐れがある。金属と金属が触れて火花が出て、引火する可能性もある」(「フライデー」、2012年11月30日・12月7日号)とまで警告する。
また、日本を代表する世見者(予言者)の松原照子氏は、2016年5月6日の世見で、「地震がもたらす災害のひとつに石油タンクがある気がして来ました。タンクが壊れて海上に石油が流れ出し、火災が起きるとどうなるのでしょう。(中略)もしも同時に爆発炎上したら、海は火の海になります。きっと、近い将来、今見えた映像が現実になるのでしょう」(ブログ「幸福への近道」、2016年5月6日)とまで述べている。松原氏がここまで断言することは、異例中の異例だ。東京湾に約600基も存在する、石油製品を貯蔵する浮き屋根式タンクには、このように恐怖の未来も詰まっているのである。
8. ネットワークインフラの崩壊
8月25日、全国的な規模でインターネットの接続回線に大規模な障害が発生した。数時間後に大部分は復旧したが、その後も一部では通信状態が不安定になるなどの現象が続いた。原因は、複数のネットワーク事業者が共有する経路制御の情報に誤りがあったためとみられている。
この事例のように、大規模なネットワーク障害は、いつ・どのような理由で起きるか想定することが極めて難しい。かつて25年にわたりソフトウェアエンジニアとしてシステム開発などを経験してきた筆者が強く思うことだ。ソフトウェアには、プログラムのバグなど、“人間のミス”に由来する障害が多く発生するが、そもそも人間は過ちを犯す存在だとして、ある程度の幅を持たせて開発スケジュールなどが計画される。だが、それでもまったく予期していなかった「想定外」は起きてしまうものなのだ。
実は、政府機関などによる首都直下地震の被害想定では、証券取引所や銀行のネットワークなど政治・経済と密接に関わる中枢機能が完全に麻痺するような事態は考慮されていない。しかし、実際はこのような事態は起こり得ることであり、日本経済に大混乱と破滅をもたらすことは必至と思われる。
■最大の「防災」とは何か?
以上のように、首都直下地震の被害想定が必ずしも十分に見積もられていないことの理由の一つには、「意図的に不十分にしている」面があるのではないかと疑念を抱かざるを得ない。権力側にとって甚大な被害想定は、「真実を知らせたらパニックになる」などの理由から市民に知らせたくないものなのではないか。
また、巷で防災が話題に上る際によく語られるのが、「帰宅困難者」や「食糧備蓄」というトピックだ。しかし、筆者はこうした傾向を見るたびに、疑問に思う。それは、「初めに“生存”ありき」で考えているのではないかということだ。とかく我々は、「自分は絶対に大丈夫」という根拠なき自信を抱き、結果的に大災害で命を落とす傾向にあるが、このような思い込みの心理状態は「正常性バイアス」と呼ばれ、大変危険なものである。偏見を持たずに、まず何よりも先に「命が助かること」を優先して考えて行動することが先決ではないか。
本記事が明らかにしたように、特に東京都23区内は、首都直下地震が発生した場合「危険だらけ」の地域と言わざるを得ない。スイスの保険会社スイス・リーが2013年にまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」で、東京と横浜が不名誉な1位となった。首都圏で大地震が発生すれば、約2900万人が影響を受けるというのがその理由だ。また、ドイツのミュンヘン再保険会社が世界各都市の自然災害リスクをまとめた結果でも、東京はロサンゼルスの7.1倍も危険とされる。防災科学技術研究所客員研究員の水谷武司氏は、「都市は危険に満ちており、防災という観点から考えれば、人が密集する東京に住むのは非常に危険です」(「PRESIDENT」、2011年7月4日号)と警告する。本当の意味での防災を心がけたいならば、とにかく東京都23区から脱出して、より安全な土地に住むことが最高の防災といえるかもしれない。
恐ろしい・・・・・
地震なのかなのかなのか