しーさるの鉄日記

常磐線、富岡~浪江間で運転再開



JR東日本は3月14日のダイヤ改正に合わせて、東日本大震災による原発事故で運休となっていた富岡~浪江間での営業運転を再開することになった。それに伴い、特急「ひたち」3往復を品川・上野~仙台間で運転、普通列車はいわき方面と原ノ町の間で11往復運転する。

仙台まで運転する「ひたち」は上野発8時00分、品川発12時45分、15時45分、仙台発は10時13分、16時11分、18時02分となる。いわき以北の停車駅は広野、富岡、大野、双葉、浪江、原ノ町、相馬、夜間1往復は亘理と岩沼に停車する。このうち広野~浪江間の特急停車駅は「Smart Station for EXPRESS」として、「話せる指定席券売機」や「多機能券売機」、「自動精算機」 、「簡易 Suica 改札機」などを整備する。

また、Jヴィレッジ駅を常設駅に格上げし、普通列車11往復全てを停車させる。

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常磐線関係のダイヤ改正、復旧以外は他の改正リリースと同じ12月13日に発表されたが、復旧関係は1ヶ月遅れの1月17日に発表された。

震災による原発事故から9年、2017年に小高、竜田からそれぞれ延びて以来の復旧で、常磐線はようやく全線復旧となった。震災直後の放射線数値を見て、この区間の駅降りをすることはもうないのかと思っていたが、オリンピック前に復旧することになった。まぁ、2015年に常磐道が全通した時点で、それなりに希望はあったのだけど、それでも駅周辺は帰宅困難区域だからな。常磐線復旧後も帰宅困難区域が解除されるのは一部の地域のようだけど。この復旧で代行バスで30分かかっていた富岡~浪江間は20分に短縮されることに。交通機関としての短縮時間は10分だが、代行バスは5.5往復と本数が少ない上に接続が悪いので、通しで乗れる鉄道が倍の本数で設定されるのはかなり大きい。接続のいい下り朝一番の場合は短縮時間は16分だけだ。

復旧と同時に特急も復活させるとは思わなかった。しかもE657系の10両編成で。逆に言えば、いわき以北で10両以上走らせるわけがないという思い込みが、特急復活イメージを拒んでいたのだな。2010年12月にいわき以南をE657系で、いわき以北をE653系で統一することを発表したが、3か月後の震災で計画は立消えに、E653系は新潟の485系を置き換えることとなった。

震災前のいわき以北の「スーパーひたち」は仙台系統4往復、原ノ町系統2往復、いわき発時刻を見ると、10時25分の仙台行と12時10分の原ノ町行が迫っている以外は3時間の運転間隔だった。新しいダイヤでは朝1往復と、原ノ町発着がなくなった以外は震災直前を踏襲していて、復旧直後の割には上出来ではないかと。運用面で見ると、仙台着12時31分の「ひたち」は16時11分で折り返すが、17時26分の「ひたち」は18時02分と36分で折り返す。常磐線ユーザーとしては、30分遅れはザラで、単線区間がその遅れを助長させると思ってしまう。昼下がりの常磐線のダイヤ乱れが、深夜の常磐線上りまで影響することになるだろう。

停車駅については、いわき以南同様、揃えることになった。富岡までは広野のみ停車、大野、双葉、浪江と続けて停車した後、原ノ町、相馬と停車、夜1往復だけ亘理と岩沼に停車する。広野は震災前の5本停車から6本停車に、仙台系統は夜1往復と午前上り1本が停車するようになったが、原ノ町系統1往復がなくなったので1本だけの増となっている。大野は午前上り1本が通過していたが、復旧後はこれも停車するように、双葉は夜下り2本、朝上り2本の4本しか停車してなかったが、昼間も停車するようになった。亘理、岩沼は朝夜1往復だけの停車だったが、朝1往復の廃止で夜1往復のみの停車に、小高は原ノ町発着2往復と朝の仙台発、夜の仙台行が停車しており、停車本数6本と双葉を上回っていたが、先述した通り5本は廃止、残った夜の仙台行も通過となった。

仙台からいわき間での最速は、午前上りの2時間03分、最遅は夜下りの2時間14分、震災直前だと最速が午前下りの1時間58分、最遅が朝下りの2時間12分となっている。午前上りは桃内での交換のため数分停車しているので、それがなければ2時間を切ることができる。震災当時の高速バスはいわき中央インター折り返しで仙台まで2時間41分かかっていたが、常磐道が開通していわき駅に乗り入れるようになっても3時間近くかかる。だが本数は7往復と「ひたち」の倍以上走っている。本数が多いのは郡山経由だが、これについても3時間近くかかる。朝の設定はないものの、仙台まで2時間で行ける特急が走るようになったのは大きい。特急同士の交換は、午前が桃内、午後が新地、夜が小高で行われる。3年前に移転された新地は、去年行われた交換設備の延伸が早速活かされることになる。夜の小高は、亘理、岩沼と同レベルとみなして、客扱いしてもいいと思うのだけどね。

普通列車との関係を見ると、下りは朝の「ひたち」が原ノ町で仙台行に19分接続、夜の「ひたち」がいわき発から9分接続、仙台行に21分接続となっている。午後の「ひたち」はいわき場面で4分後を普通が追っているので、原ノ町でも18分しか差がない。上りは、朝の「ひたち」は4分後を普通が追っており、原ノ町で39分差、いわきで53分差となっている。午後の「ひたち」は、原ノ町で仙台発といわき行に20分ほどで接続している。夜の「ひたち」は原ノ町で仙台行から23分接続するだけでなく、広野で普通と緩急結合を行う。広野以北の特急通過駅からの需要は少ないので、仙台から四ツ倉、草野方面がメインになるだろう。ちなみに震災前は朝上りの富岡で緩急結合を行っていた。

普通列車は現行の富岡発着、浪江発着と同じ11往復となった。震災前の16往復+富岡発着1往復より大幅に本数を減らしている。でも、沿線人口の減少を考えると、11往復+特急3往復というのは比較的マシな印象を受けた。まぁ、メインは原ノ町、相馬から首都圏や、水戸、いわきから仙台という流動なのだけど。本数を減らしたので、震災直前は1時間だった運転間隔は最大3時間前後に広がっている。

いわき発を見ると、現行の富岡行を原ノ町行にするのが基本だが、7時台や12時台は広野行を原ノ町行にしている。代わりに10時台、13時台の富岡行が広野行になっている。浪江発を見ると、8時台は本数が増えたが、データイムは2時間だった運転間隔が3時間になっている。原ノ町以北も本数は変わってないが、特急の兼ね合いで16時15分発が15時41分発にシフト、17時55分発が26分発にシフトされている。

上りでは仙台発17時51分の原ノ町行が18時26分にシフトしている。原ノ町発を見ると、5時33分発を増発、16時04分発と16時55分発は、16時27分と17時29分にシフト、19時35分はなくなり、20時43分の最終は22分に繰り上げとなっている。広野発を見ると、12時台、15時台、18時台が広野始発から原ノ町発に変更、代わりに11時台、14時台、16時台が富岡発から広野発に変更、それ以外の富岡発は原ノ町発に変更となっている。

富岡~原ノ町間での交換タイミングを見ると、朝は夜ノ森、桃内、浪江×2、富岡×2といった具合、データイムは先述の特急同士の桃内交換だけで普通列車の交換なし、16時台から磐城太田交換で始まり、浪江で2回、桃内で1回、交換が行われる。浪江での上り普通の交換時間は7分、9分と比較的長い。大野駅と双葉駅は棒線改造されるので、交換は行われない。夜ノ森~浪江間の15.6キロで交換ができなくなり、ダイヤ乱れの時どうするのか心配になってしまう。

朝一番の仙台行は上野発8時00分だが、7時00分のいわき行から普通に乗り継いでも仙台まで先着する。次に上野発10時00分の「ひたち」が原ノ町行に接続する。17時00分の「ひたち」も接続して、広野以北の最終に接続するのは18時00分の「ひたち」だ。いわきでも接続時間が4分なので、どれくらいまで待つか気になるところだ。

原ノ町発5時33分はいわきで「ひたち」に8分接続、上野には9時31分に到着する。震災前だと5時40分の「スーパーひたち」で上野着9時25分だから少し遅くなっている。その後、原ノ町発6時53分、7時52分、11時50分は10分前後で「ひたち」に接続する。原ノ町からの「ひたち」は11時07分から17時09分までなし、その間に14時00分の普通があるが、いわきでは「ひたち」まで50分以上待たなければならない。これは検討の余地がありそうだ。

去年の改正で新設となったJヴィレッジ駅は思ったより常設化。去年、Jヴィレッジのイベントスケジュールを調べてまで駅降りしに行ったのに。自分が降りた時は同業者1人しかいなかったけど、イベント以外の利用客もいるのだろうか。常設化しても夜間とか通過すると思ったのだけどね。

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