アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

韓国映画がどんどん来るっ!

2013-05-12 | 韓国映画

インド映画に目も耳も奪われてる間に、韓国映画がひたひたと押し寄せてきていました。まだまだ紹介しなければいけない傑作・佳作があるので、今回は見応えのある作品を3本一緒にご紹介します。


『私のオオカミ少年』 公式サイト
2012年/韓国/カラー/ビスタ/125分/日本語字幕:本田恵子

(c)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

 監督・脚本:チョ・ソンヒ
<キャスト>
 オオカミ少年 チョルス:ソン・ジュンギ
 スニ:パク・ボヨン
 スニの母:チャン・ヨンナム
 大家の息子ジテ:ユ・ヨンソク

配給:C.J. Entertainment Japan
宣伝:Prima Stella(紙・電波媒体)、田中舘(WEB・モバイル媒体)

5月25日(土)より、新宿シネマカリテ、109シネマズ川崎ほか、全国ロードショー

(c)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

昨年末台北で見た時にもご紹介したのですが、昨年の韓国映画興行収入第3位に輝く『私のオオカミ少年』がいよいよ公開となります。「トキメキ☆成均館スキャンダル」のソン・ジュンギ主演ということで一瞬アイドル映画か、と思ってしまいますが、その実、韓国の歴史にも踏み込んだ歯ごたえのある作品となっています。

(c)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

体が弱いため田舎の家に越してきたスニ(パク・ボヨン)とその母(チャン・ヨンナム)、妹が、その家に以前から隠れ住んでいたオオカミ少年(ソン・ジュンギ)と出会う、というのが前半の山場です。素晴らしいのは、言葉も通じず、明らかに凶暴なこの少年に対し、普通の子に対するように接して、施設があてにできないとわかると自宅に引き取ろうとするお母さんの姿。ごく当たり前の母親で、いかにも広い心を持った人という風には描かれていないのですが、巣から落ちたヒナを反射的に懐に抱える親鳥のように、何のためらいもなく一緒に暮らそうとするこのお母さん像には心を打たれました。

(c)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

一方、スニは動物の飼い方の本で学習し、チョルスと名付けられたオオカミ少年を人間らしく変身させようとしつけを開始します。笑いも含んだ中盤の展開は、その一方で大家の息子ジテ(ユ・ヨンソク)の悪意が噴出し、先行きの不安を増幅していきます。チョルスの異様な能力も描かれて、それが軍の研究と関係していることが徐々に明らかになってきます。人間らしい感情が芽生え、スニと心を通わせることができ始めたチョルスでしたが、やがて軍や研究者が介入してきて....。

(c)2012 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

時代は現代から見て半世紀前、つまり朝鮮戦争が停戦となって間もなくのことで、日本語字幕で見てわかった「軍の意を受けての研究によって誕生したオオカミ少年」という設定は衝撃的でした。スニとチョルスの心の通い合いが一番の見どころの作品ですが、時代背景もしっかりと踏まえていたことがわかって、韓国映画の奥行きにあらためて感じ入った次第です。2012年の興行収入では、第1位の『10人の泥棒たち』、第2位の『王になった男』と比べると約半分の動員数ではあるものの、堂々の第3位となったのは、この厚みあるストーリーゆえかも知れません。ソン・ジュンギの演技も素晴らしく、オススメの作品です。

 

『殺人の告白』 公式サイト
2012/韓国/カラー/ビスタ/119分/日本語字幕:小寺由香

 監督:チョン・ビョンギル
<キャスト>
 イ・ドゥソク:パク・シフ
 刑事チェ・ヒョング:チョン・ジェヨン

配給:ツイン
宣伝:アルシネテラン

6月1日(土)より、シネマート新宿、シネマート六本木ほか全国順次公開

スチールをいただかなかったので、プレスの表紙を大きくヴィジュアルで出しましたが、このパク・シフ演じる殺人犯に、劇中の人々も観客も振り回されることになります。1990年に起きた女性ばかりを狙った連続殺人が15年後の時効を迎え、その2年後、真犯人を名乗るイ・ドゥソク(パク・シフ)が告白本を引っさげて人々の前に登場します。犯人を追っていた刑事チェ・ヒョング(チョン・ジェヨン)は彼の仮面をはごうとするのですが....。謎がたっぷりと盛り込まれ、ぐいぐいと見る者を引っ張っていってくれる作品です。1990年の連続殺人事件を描いたのが、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』 (2003)でしたが、あの作品の微妙な続編とも言えそうです。

 

『ザ・タワー』
2012年/韓国/カラー/シネマスコープ/121分

 監督:キム・ジフン
<キャスト>
 汝矣島(ヨイド)消防署 隊長 カン・ヨンギ:ソル・ギョング
 タワースカイ フードモール・マネージャー ソ・ユニ:ソン・イェジン
 タワースカイ 施設管理チーフ デホ:キム・サンギョン
 汝矣島(ヨイド)消防署 署長:アン・ソンギ
 汝矣島(ヨイド)消防署 副士長 ビョンマン:キム・イングォン
 汝矣島(ヨイド)消防署 新人消防士 ソヌ:ト・ジハン
 タワースカイ 会長:チャ・インピョ

配給:ツイン

8月、シネマート新宿ほか全国順次公開

汝矣島(ヨイド)に建設された、商業施設を兼ねた双子高層マンションは108階建て。「タワースカイ」と呼ばれるこのツインタワー・ビルでは、クリスマスを迎えるにあたり、あるアトラクションが準備されていました。タワースカイの会長(チャ・インピョ)がアイディアを出し、天候の危険性を指摘されていたにもかかわらず強行しようとしたところ、とんでもない厄災が降りかかる羽目に。それに巻き込まれた施設管理チーフのデホ(キム・サンギョン)やフードモール・マネージャーのユニ(ソン・イェジン)ら職員、住人たち、そして彼らを救助しようとする消防署長(アン・ソンギ)の部下のカン隊長(ソル・ギョング)、ビョンマン(キム・イングォン)、ソヌ(ト・ジハン)ら。火や水にも襲われ、一難去ってまた一難という状況下、彼らは無事脱出できるのか....。

前段のストーリーや人物像の造型などはちょっとユルいものの、パニックが起こってからのCG、VFXを駆使した画面は迫力満点でお見事。『TSUNAMI-ツナミ-』 (2009)に続いてパニック映画に出演するソル・ギョング、ホン・サンス作品とは違った平凡なパパを演じるキム・サンギョン、子持ちやもめのデホが恋するキャリア・ウーマンのソン・イェジンと俳優陣も豪華ですが、主役はやはり「ザ・タワー」そのもの。『TSUNAMI-ツナミ-』 を見た時は、こんな高い津波が来るはずがない、と思っていたのですが、2011年3月11日の震災で決して絵空事ではなかったとわかりました。高層マンションも増えている現在、この『ザ・タワー』のような事件が実際に起こらないことを祈っています。

このほか公開が予定されている韓国映画は、『10人の泥棒たち』『ベルリンファイル』などまだまだたくさんあります。また、ウォン・カーウァイ監督作品『グランド・マスター』やブルース・リー没後40年(命日は7月20日)に関連した香港映画、フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督作品も公開される予定です。アジア映画好きには忙しい初夏となりそうですね。またおいおい紹介していきますので、楽しみにお待ち下さい。

 

 


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2 コメント

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韓国映画~そして香港・中国映画 (浪花のしゃあるっく)
2013-05-13 17:26:18
「ザ・タワー」~アン・ソンギ氏が署長でソル様が隊長ですか!汝矣島消防署で“掃除のおばちゃん”でいいので働きたいです(笑)!

「グランドマスター」もぼちぼち試写会等々が始まる様子。こちらもトニー&本気モードバリバリのチャン・チェンの2SHOTを観るだけでも値打ちアリアリ、心ワクワク。その他見たい作品が目白押し!…ですが…

まだ昨日見てきたばかりのシャアのサマル少佐のあまりのかっこよさに心を奪われたまんまです。

ラスト、メイキングと監督のメッセージに泣きました。
ボリウッド・ムービー万歳!!!


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浪速のしゃあるっく様 (cinetama)
2013-05-13 20:31:21
コメントありがとうございました。

消防署の”掃除のおばちゃん”! わははのソン様、ギョン様への接近方法ですね。ト・ジハンのフルヌードも見られることになるので、”掃除のおばちゃん”はおいしい職業だと思います。

中年シャー・ルクの魅力と言えば、こんなCFが今日のYahoo! Indiaのサイトに。紳士然とした口ひげシャー・ルク、なかなかよろしゅうございます。
http://www.dishtv.in/DishtruHDplus/index.html?utm_source=YahooHP&utm_medium=Fixed&utm_campaign=DishTruHD

サマル少佐は、なぜか見るたびにイチローと二重写しになるんですが、あのひげ面はついスリスリしたくなりますね....。
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