中国経済ニュースクリップ

中国経済に関して興味深い新聞記事をクリップしていきます。

中国人民銀行が3つの措置を公表

2007年05月19日 | 金融
5月18日、中国人民銀行(中央銀行)は、以下の措置を公表した。
<人民元の変動幅の拡大>
  • 人民銀行は、現行の人民元相場の市場の需給に基づいた管理変動相場制のさらなる改善、外国為替市場の発展の促進及び金融機関の価格決定及びリスク管理を強化するため、5月21日より、銀行間直物外国為替市場における米ドルに対する人民元の1日の変動幅を現行の中心参照レートの上下0.3%から同0.5%に拡大する(その他の通貨は同3.0%と変更なし)。
  • (発表文)  中国語 英語
  • (Q&A)  中国語 英語

<利上げ>
  • 5月19日より、貸出基準金利(1年物)を0.18%ポイント引き上げて、6.57%とし、預金基準金利(1年物)を0.27%ポイント引き上げて、3.06%とする(その他の期間は下の表参照)。
  • (預金金利)     (単位:%)
    預金期間 調整幅
    普通 0.72 0.72 0.00
    3か月 1.98 2.07 0.09
    6か月 2.43 2.61 0.18
    1年 2.79 3.06 0.27
    2年 3.33 3.69 0.36
    3年 3.96 4.41 0.45
    5年 4.41 4.95 0.54

  • (貸出金利)     (単位:%)
    貸出期間 調整幅
    6か月 5.67 5.85 0.18
    1年 6.39 6.57 0.18
    1~3年 6.57 6.75 0.18
    3~5年 6.75 6.93 0.18
    5年以上 7.11 7.20 0.09

  • (個人向け住宅ローン金利)(単位:%)
    貸出期間 調整幅
    5年以下(含む5年) 4.32 4.41 0.09
    5年以上 4.77 4.86 0.09

<預金準備率引き上げ>
  • 6月5日より、預金準備率を0.5%ポイント引き上げて、11.5%とする(本年5回目)。
  • (利上げ及び準備率引き上げの発表文)  中国語(注:英語の発表文はなし)
 今回のこれらの措置の目的は、流動性の管理を強化し、固定資産投資及び貸出の伸びを合理的な伸びに抑制し、物価の安定を維持するためとしている。

金融政策を組み合わせ、経済過熱を防止=新華社通信

2007年05月19日 | 金融
【5月18日発新華社=共同】5月18日夜、中国人民銀行(中央銀行)は意表をついて金融政策を「組み合わせた」措置を打ち出し、預金準備率と基準金利の引き上げ、銀行間直物外国為替市場の人民元対米ドル相場変動幅の拡大という3つの金融政策を発表した。
 今回の措置によると、来月5日から預金取扱金融機関の人民元預金準備率を0.5%引き上げる。今月19日から人民元の預金・貸出基準金利をそれぞれ引き上げる。今月21日から銀行間直物外為市場の人民元の対米ドル相場の変動幅をこれまでの0.3%から0.5%に拡大する。
 中国社会科学院の汪同三研究員は「現在、中国経済が直面している問題は複雑で、単一の金融手段で調整目標を達成するのは難しい。今回のように政策を組み合わせることで、中国経済が過熱気味から過熱に進むのをより良く防ぐことができる」と指摘した。
 経済学者の王小広氏は「利上げは想定内だが、金利と預金準備率を同時に引き上げるというのは、今回のマクロコントロールにおいて初めてだ」と述べた。データによると、中央銀行が金利と預金準備率の両方を引き上げると同時に発表したのは、この10年間で初めて。
 王小広氏は「中央銀行の今回の一連の措置は中国のマクロコントロールの度合いが一層強まったことを示しており、主な意図は経済の過熱防止である」と指摘した。今月10日発表された中央銀行の第1四半期金融政策報告も、中央銀行の政策の当面の重要な任務はマクロ経済政策の連続性、安定性を維持し、経済が過熱気味から過熱に進むのを防ぎ、大きな変動を回避することであると明確に述べている。
 今年第1四半期、中国経済の成長率は11.1%に達した。これは長年なかった高い伸びである。また第1四半期の消費者物価指数は前年同期に比べて2.7%上昇し、3月が3.3%、4月が3%の上昇となった。経済界では一様に、現在、一定のインフレ圧力が存在するとみられている。
 アジア開発銀行中国事務所の上級エコノミスト湯敏氏は「現在、中国経済は急速に発展しており、インフレが起きる危険がある。中央銀行の今回の一連の政策は『危険を未然に防いで』、インフレを有効に防ぎ、資本市場の過熱を防ぎ、過剰な外貨流入を防ぎ、経済過熱を防ぐ目標を達成するものである」と語った。
 中央銀行は今回、預金準備率と基準金利の両方を引き上げ、さらに1994年以来、初めて人民元の対米ドル相場の変動幅を0.5%まで拡大した。湯敏氏は「今回の変動幅拡大は人民元相場を市場により一層即応したものにするのに役立つ」と評価した。中央銀行の責任者も、この措置は人民元相場の弾力性を増し、マクロ経済の柔軟性を高めるのに役立つとしている。
 経済にみられる複雑な問題に対し、中央銀行は近年、何度も金融政策手段を発動している。今回は昨年から数えて8回目の預金準備率引き上げであり、4回目の人民元基準金利見直しである。
 国務院発展研究センターの張立群マクロ経済部研究員は「中央銀行のこうした金融政策の頻繁な発動は、複雑な原因が作用する中で、中国経済における過剰流動性などの問題が非常に突出し、固定資産投資に影響を与えるだけでなく、当面の資本市場の安定した健全な発展にもマイナスであることを物語っている」と指摘した。
 中国人民大学の趙錫軍教授は「中国経済には資産価値の過剰な上昇、株式市場の過熱、物価上昇圧力などがみられるが、中央銀行が政策を組み合わせることで、こうした矛盾・問題をうまく緩和し、経済の過熱を確実に防ぐことができる」と語った。