海流のなかの島々

狭く浅くな趣味のあれこれを
波の彼方から語ります

「MIWA」

2013-12-03 15:31:46 | 演劇

最近感想をTwitterでつぶやいてしまうので、それで頭の中のものが出切ってしまうのか、いざブログを書こうとしてもスッカスカであまり思い出せない。もうTwitterだけにしようかとも思うが、数年前の記事でも読んでもらえるところがブログの良いところ。なかなか思い切れませぬ。


★★★★★★★★★★★


 

 

 

 




作・演出:野田秀樹
出演:宮沢りえ、瑛太、井上真央、小出恵介、浦井健治、青木さやか、池田成志、野田秀樹、古田新太ほか


今まで見た野田さんの作品の中では1番ストレートで分かりやすかった。美輪明宏という人を僅かながらも知っているから、より分かりやすかったのかも。オープニングは生まれる前の赤ん坊の国(?) 。一人ひとりに性別が言い渡されるシーンだが、手塚治虫の「リボンの騎士」を思い出してしまった。あれはチンクが間違って男の子の魂をサファイヤに入れちゃうんだけど。

MIWAと安藤牛乳がひとつになって美輪明宏なのが面白い。でも最後はMIWAひとりで美輪明宏となり、抜け殻のような安藤牛乳がパタリと倒れている。これはどういう意味だったのか?彼がマリア様の首を締めたというあたりがイマイチ分かっていない。

原爆投下の場面がとにかく衝撃的だった。舞台上では何十人もの人が色鮮やかに日々の営みを行っている。ピカドンの音とともに死の灰のようなグレーの幕が下りてきて、一瞬にして何も動かない灰色の塊と化す。胸が苦しくなった。

何度も登場する「踏み絵」という言葉。原爆を見た後はもう何も怖くない、あれ以上恐ろしいものはない。化け物と呼びたければ呼べ。次に続く者たちも私という踏み絵を踏んで進んで来い、と言うことなのか?

原爆、三島由紀夫(オスカワアイドル)との交友とその自決、赤木圭一郎(赤絃繋一郎)との愛と死別。まさに生ける昭和史の如き美輪明宏の人生に圧倒された。しかも彼はまだ生きている。これからもまた様々な歴史が刻まれてゆくのだ。最後に井上真央が演じていた妊娠した女優。あの女にもモデルがいるのだろうか。


グラマーな宮沢りえちゃんだが舞台上ではその姿も声も不思議と少年のよう。美輪明宏を演じるのにふさわしい中性的な存在だった。お初の井上真央ちゃん。舞台経験はどれくらいあるのだろう?滑舌もよく身体も動いていてとても良かった。野田、古田両氏はもはや三輪さんに続く化け物になりかけているかも。



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