海流のなかの島々

狭く浅くな趣味のあれこれを
波の彼方から語ります

「はい、奥田製作所。 」

2013-12-21 16:10:03 | 演劇

劇団銅鑼公演です。

東京大田区の町工場。職人気質の社長が倒れ、息子の鉄彦が後を継ぐことに。苦しい経営を立ち直らせようとリストラを実行するも、従業員たちは猛反発。

というよくある話なのだが、工夫の凝らされた脚本、演出で、休憩なしの2時間楽しく観れた。

経営再建に向けてお揃いの制服(鉄サビ色のジャンパーとカーキのパンツ)を作る鉄彦。従業員も最初は喜んで着るが、そのやり方に納得がいかなくなってくる中盤はあまり着ていない。後半、皆の心のまとまってくるとまた着始めているのが視覚的に分かりやすかった。

鉄彦が物思いにふけると、舞台の片隅に18歳の鉄彦と親友の孝之が現れる。彼らなりの悩みは抱えているが、まだまだ希望に満ちた高校生。自分たちが工場の息子に生まれたことを誇り、その道を進んでいくことを高らかに宣言する。

結局孝之の親の工場は潰れ音信不通になるが、九州で再興した孝之から希望に満ちた手紙が届き始める。仕事で東京に行くからぜひ会いたいと言う内容だ。ラストシーンは鉄彦と孝之の感動の再会か?と思ったがそうしないのがまた良い。手紙の内容だけで、若い頃の誓いが果たされるのだと思わせる感じが上手かった。

タイトルにもなっているセリフを事務員役の女性が言って幕、となる。この言い方が見事だった。とても重要なセリフなので言い方ひとつで作品全体の印象が変わってしまっていたかも。

鉄彦の父親役を演じた鈴木瑞穂さんは86歳。病後という設定なので杖をついてヨロヨロとした歩き方。でも実際はもっとキビキビ動ける方なのだろう。深く響く声が素晴らしい。終演後オットが「あんな風になりたいもんやなぁ」と感嘆していた。後ろの席の男性は「リアルすぎた。まさにこんなんやもんなぁ」とため息。これもまたリアルな感想。

今年は休憩なしの公演が多かった。幕間のトイレ争奪戦は疲れるし、集中できて結構いいかも。 2時間半が限界だけど(笑)



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