スロバキア、タトラ山脈の麓より

スロバキア人の夫と2人の娘と私の生活
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出ていけ!

2021-07-05 | ひとりごと
先週のこと、同じ会社の男性(事務職ではなく、雪かきしたり、芝刈りしたり、オフィスの電球が切れたら電球を交換したり、そんな仕事をしてくれる男性)がコーヒーを作りに私と同僚の座る部屋に入ってきて世間話を始めました。テーマは私がもっともタブーと考えている「コロナワクチン」の話。私は「受ける・受けない、受けた・受けていない」はそれぞれの考えや理由があってのこと、とても繊細なテーマであり、コロナをめぐってこの1年あまり人間関係もかなりこじれたのでそもそも避けるべきテーマだと思っています。ワクチンを受けるか受けないかで自分と違う意見を持つ人がいてもその人の意見を尊重すべきだと思いますが、実際には受け入れられない人がとても目立ちます。でもそういう人を説得する気はないし、私の言い分を理解できない(理解する気がない)のはこれまでの経験でわかりきっていることなので、そんな話をしたって気分を悪くするだけ、私は極力コロナに関しても、ワクチンに関する話題も会話に持ち出すのは避けています。ましてや、ワクチンを受けたか受けていないかなんてことは人に聞きません。それなのに、この男性、予想通りいきなり直球を投げつけてきました。「ワクチンは受けたか」と。同僚の女性はまだ受けていなかったので「受けていない」と答えます。私はトラブルになるのはわかっていたので答えたくなかったけれど、逃げ場もなく「受けた」と答え、そして同僚が「彼女は日本に行きたいからね(受けておいた方が良いんだよ)」とフォローを入れてくれました。すると案の定、その男性は目を丸くして(みせて)、いかにも驚いた素振りを見せ、

「あなたの脳みそは砂でできているんですか。」と。

正確には「Mate piesok vo hlave? = 頭の中に砂が入っているんですか。」と。

その一言で十分カチンときて、「落ち着け、冷静に」と自分に言い聞かせているところに

このワクチンのせいで何人死んだとか、自分の奥さんと子供には絶対に受けさせないとか、そもそも感染者や感染の疑いのある人を隔離するのは政府の策略だとか・・男性は更に続けます。

私だって別に受けたくてワクチンを受けたわけではありません。インフルエンザの予防接種だってこれまでしませんでしたし、そもそも体調不良のときだって薬も滅多に飲まずたいてい食事やハーブで治癒するのを待ちます。今回ワクチンを受けると決めたのは家族や周りの人を考えての決断でした。(ワクチン接種の進むヨーロッパではワクチン接種は自由へのパスポートになりつつあることも事実です。でもそれと同時に私はワクチンを受けたことは自分だけのためではない、ある意味自分を犠牲にして思いやりのある行為をしたという自負があるのも正直な気持ちです)この男性が人の意見に聞く耳を持たないのは明らかで、何を言っても無駄なことはわかっているけれど、私が受けた理由や考えを少し言ってみてもやはりその私の気持ちも考慮せず、「いや、あんたはどのみち絶対に日本へは行けないね」とか、「ワクチン接種するなんて頭がどうかしている」等々やめる気配が一向にないのでついに一言口にしてしまいました。

出口を指さし、「あなたとはコロナの話も、ワクチンの話もしたくないから出ていけ!」と。

家族以外にこれほど強く言ったのは生まれて初めてのことです。
面食らった男性は出ていき、その日もう私たちの部屋へ戻っては来ませんでした。

こんなに強く言い返せるようになったことを誇りに思いつつ、自分もついにここまできてしまったかとショックでもあります。後味悪く一日過ごし、家に帰ってから夫に話し、友人に話し・・・。私はこんなにも考えているけれど、相手は全く気にもせず、その場を立ち去ったらもう覚えてもいないんですよね、きっと。

今日こんなブログを書いている途中で日本の友人からやはりワクチン接種に対する意見の違いで職場で嫌な思いをしたというメッセージを目にしました。嫌ですね。

受けるのも、受けないのもそれぞれの考えや理由があってのこと、自分の行動や意見を正当化させるのは自然なことと思いますが、でも自分の意見を相手に強要せず、相手を見下さず、相手の意見を尊重するってワクチンにおいても大切なことですよね。

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