第27回小川未明文学賞で優秀賞を受賞された河村一美
さんが『昔、瞽女さんが雁木の町を歩いていたんだよ
―桃子おばあちゃんの原稿―』を刊行されました。
私ごとですが、子供の頃に、雁木下を行く瞽女さんの
記憶があります。
中学生になって、友人の家が瞽女さんの近くにあると
知り、興味があった私は是非に行きたいと頼んで、
数人で友人の家を訪ね、念願の雁木の町のその家の前
に立つことができました。
透明な硝子の戸はよく磨かれ、閉まっていましたが、
障子戸が開いていたので、失礼ながら中を見ますと、
どなたの姿もないのです。石造りの雁木の道には打ち
水がしてあり、雁木側の格子戸の桟は奇麗に拭き掃除
が済んでいました。私の胸はどんどん高鳴ってきてい
ました。
それでも、一緒にいた友人などは、その辺りの雁木通
りが日常の遊び場なので、平気で遊んでいます。
当時の私は駅に近い雁木通りで暮らしていましたので、
瞽女さんの佇まいは、私の地域とは確かに違い、凛と
した空気感をまず感じました。
とにかく暮らしに必要なもの以外は室内には置かず、
いつも定位置に置かれているのだと、想像させられ
ました。
そのようなことを思い出しながら河村一美さんの御本
を読ませていただきたいと思います。
地元の南波山。随分と雪解けが進んでいます。
今日の庭の福寿草の中に、輝いている一輪の花と出会
いました。
庭の別の所でスノーポールをまた観つけました。
今日の春蘭。まだまだこれからです。