智慧子のブログ

詩のある暮らし

桔梗の涙

2019-07-04 22:25:35 | 日記

おかあさん 楽しかったね

故人・順江は大正十年十月に富山県で生まれ、
父親
の仕事のため直江津で暮らし、結婚をし
て後に高田
で三人の子供を育てた女性です。
九十七年は波瀾に富んだものだったけれど、
豊かな
人生であったと、生き生きと話してい
ました。


八十歳を過ぎると、突然の病で長女を亡くし
た時は
数か月も泣いていました。その数年後
に長男次男を
相次ぎ病で失い、残された家族
三人での心細い暮ら
しが始まりましたが、幸
いなことに息子が結婚して
家族が四人となり、
気持ちが華やかになり百歳を目
指して頑張る
と、足を鍛えるための散歩を欠かした
ことが
ありませんでした。

ただ一つだけ、誰も名前の順江(まさえ)を
正しく読ん
でくれない。もう「じゅんえ」で
いいと、諦め
顔でよく言っていたものです。
ところが九十一歳の
時に家を離れ、介護施設
「あいびす」で暮らすよう
になると。誰から
も「まさえさん まさえさん」と
呼んでいた
だき、嬉しそうな笑顔がたくさん咲いて
いた
ように思います。


今、永遠の別れを迎え、こんなにも心寂しい
ものと
は思いませんでした。