お久しぶりです。
寒いけど、皆様お元気でしょうか。
手洗いにも、長く時間かけています。
アルコール消毒も、売られるようになってきて
良かったです。
寒いと言えば、
蔵馬の手も冷たくて、飛影がそっと温めてやるのかな。
以前、Twitterで、くらまと言う薔薇があると聞いたのでちょっと
考えてみましました。
魔界の隅に、赤い薔薇が咲く場所がある。
だれも近づかない、おおきな花畑に、飛影はそっと足を踏み入れた。
棘のない、鮮やかな薔薇の花。
…初めてここに来たときは、薔薇とは気づかなかった。
ただ、どこかで見たような…この香りを知っている気がして。
不思議な安らぎに、飛影は座り込んだ。
目を閉じる…この香りのせいで、誰かの胸を思い出す。
甘く苦い香りが、飛影の鼻を擽った。
しっとりと広がっていく薔薇の香り。
力が抜ける…。
そっと、飛影は刀を置いた。
自分以外ここには来ない…そんな気がした。
「飛影…」
聞こえた声に、ふと、飛影は目を開けた。
飛影。
柔らかな、あの声だった。
「蔵馬」
開いた目の前から…その影は消えた。
蔵馬!
叫びそうになった飛影の、半端な声だけが響いた。
幻…。
ははっ、と飛影は笑った。
こんなにも、いつの間にかあいつを求めている。
誰にも会いたくなくてここに来た。
自分だけの世界に入れる場所…。
それだけが、ここが救いのようだった。
「飛影?」
その人の声が、確かに聞こえた。
気づいたら、その人に、触れたくて。
人間界のその人の部屋に、降り立っていた。
んっ、と、生暖かい舌が、蔵馬の口を絡めとった声がした。
あ、ふ…。
蔵馬の、肌を思わせる暖かい舌に、飛影の熱が呼び覚まされた。
衝動のままに、蔵馬の舌を舐め回した。
喉の奥まで…。
蔵馬を逃したくなかった。
「ふっ…」
壁に蔵馬の背を打ち付けて、飛影は舌を首筋におろした。
強く首筋を吸えば、赤い跡がついた。ああ、蔵馬だと…。この柔らかな肌。
花の香りのような、嗅いだら忘れられない肌。
「飛影…」
小さな声がした。
「飛影…。花の、香りがする」
戸惑うような蔵馬の声。
「俺…この香り…知ってる」
ぬる、とした感触…蔵馬が、飛影の首筋を舐めていた。
「ここから」香りがする。
知っている。
蔵馬が植えた花ではないけれど、あの場所を知っている。
「この香り…好き」
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