晴れときどき化学、ところにより雑想

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水素

2012年03月05日 22時18分46秒 | 元素のお話
水素は、無色・無臭で、最も密度の小さい気体(空気の約14分の1)です。

水素の名前の由来は、「水を生成するもの」という意味のギリシア語が元で、フランスの化学者であるラヴォアジェによって提案されました。


水素の同位体には以下の3種類があります。

・質量数1のもの:(特にプロチウムとも言います:H)、存在比:99.985%
・質量数2のもの:デュウテリウム(重水素:D)、存在比:0.015%
・質量数3のもの:トリチウム(三重水素:T)、放射性同位体で半減期が12.35年

※質量の差が大きく、性質がかなり異なるのでそれぞれに特別な名前がつけられているのが特徴です。


水素は、常温ではほとんど反応性がありませんが、高温状態や触媒を用いることで多くの物質と直接反応します。

酸素や空気の存在下で燃焼させると、爆発的に反応して水を生成します。


アンモニアや塩化水素、多くの有機化合物の原料としても水素は重要な位置を占めています。

※特にアンモニアは、硝酸を経由して化学肥料や火薬などを作るための重要な原料になっています。

また原料としてだけでなく、燃焼によって大きなエネルギーが得られることから、ロケットなどの液体燃料としても使用されていますし、最近は、燃料電池の燃料としても注目を集めています。


水素は、星のエネルギー源である核融合反応の原料にもなっています。

太陽をはじめとする恒星の多くは、核融合反応によって発生するエネルギーによって輝いています。

太陽における主な核融合反応は、4個の水素原子核(陽子)から1個のヘリウム原子核ができるものであり、この過程で大きなエネルギーが生じます。

また、水素は宇宙で最初にできた元素で(同時に宇宙でもっとも多い元素で)、太陽には重量比で約74%含まれています。
(残りは、ヘリウム:約25%、その他:1%となります)。




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