かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

スカウトした新人たち

2024年02月28日 | おんがく
4年ぶりに勤務している病院で慰霊祭が行われることになった。

慰霊祭は、大学医学部主催で、学生のための解剖実習用に献体いただいた方々のために、年1回行われることが通常。

しかし、当院ではその年に亡くなった方全員のご遺族を招いて、供養する。

そのセレモニーで、演奏をさせてもらう許可を得た。

慰霊祭で初めて演奏したのは、大学時代。
解剖実習を終えた学年が、全員出席する習わしであったけれど、ある年から、オーケストラ部が演奏で参加するようになった。

G線上のアリアを演奏したのだと記憶しているが、「ご遺族がとても喜んでいたよ」と、担当教授を通して褒めてもらって、こういう感謝の気持ちの表し方、貢献のしかたもあるのだと、とてもいい経験をしたと思った記憶がある。

今回の慰霊祭はコロナ禍以降、久しぶりの開催なので、事務方は初めて対応する人ばかり。
演奏を提案したところ、「前例がありません」「祭壇を設置する関係上、ピアノは使えません」といったんは門前払いされそうになったところを、どうにかこうにか理事長の許可を得た。

ただ、口約束ではまだ不安なので、事務方に「理事長の許可をもらったから」と念を押し、会場セッティングなどを決定する会議にも出席させてもらえるように頼んである。
もちろん、ピアノを使うつもりである。

こういう時のために、自分のピアノを寄付したのだ。
寄付に際しても、最初は「前例がありません」「当院では寄付は受け付けていません」などという理由でいったん門前払いされ、すったもんだした挙句に、やっと実現させた嫌な思い出がある。
この組織の今も変わらない体質が、ほんとうにいやだ・・・

慰霊祭は休日の開催なので、出席者は、出勤手当を出す必要のない(?)管理職が中心となるようである。

実際、いつも一緒に演奏しているナースのYちゃんや、ピアノが弾ける検査技師のOさんは、時間外手当が出ないこととか、出勤日じゃないと上司の許可が出ないなど、いろいろとめんどうな状況にあることがわかり、無理に誘えず、新たな仲間探しをしなければならなかった。

いろいろと院内リサーチをして、若手ドクターのA君(ヴァイオリン)とI君(ピアノ)との3人で、ピアノトリオを組むことにした。

A君とは一度だけ遊びで一緒に弾いたことがあり、彼が所属するアマチュアオケの演奏会も聴きに行ったので、技量はだいたい把握できているが、I君は今年度赴任してきたばかりで、仕事上の接点もなく、まったく未知。

しかし、二人は共に外科系ドクターだし、同年代だから・・・と思って、A君にI君用のピアノ譜を託した。
が、いつまでたってもI君に渡されない。

最近の若い人って、コミュニケーションがほんとうに下手なのだなあ。
仕事でも、科を越えた連携がうまくいかないことが多々あり、こんなところで、それを実感した。

コーディネーターとしていろいろと(ほんとうに、手取り足取り状態で!)お膳立てをしなければならなかったけれど、どうにか練習スケジュールを調整して、本日初合わせすることになった。

といっても、A君は「学会で今週は不在です」としれっとメール返信。
こういうクールな対応も、今の若い人っぽい。

だから、I君とふたりで、とりあえず練習を始める。

腕前は全く知らないが、趣味はピアノという自己紹介文だけを頼りにスカウトした。

スカウトに際しては、パワハラと思われないように気を付けながら、今回の計画について説明し、遠慮がちに誘ったところ、「速弾きの曲だと練習時間がたりないと思いますが、ゆっくりな曲なら大丈夫だと思います」と言ってくれたので、その言葉だけを信じて、オーディションなしで採用(笑)。

はたしてどうなるか、今からドキドキである。






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