アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

メヒカリのから揚げ 

2017-02-05 | Weblog
 久しぶりにメヒカリを揚げてみた。

 小学校のころ、いつも食べさせられていた。

 地元の港に揚がる魚の中でも「雑魚の中の雑魚」というくらいに安価だった。小振りのものは値が付かなくて、網からこぼれ落ちたメヒカリは、だれも拾わず人間が去ったあとにカモメとかカラスが食べに来ていた。

 夕食メヒカリ、朝食メヒカリ。「もうタクサン」と思って、学校で弁当をあけたら、またメヒカリ。友達の弁当の玉子焼きとかハムとかが輝いて見えた。

 そんな具合だから、中学、高校のころは見るのもイヤだった。

 が、実家を離れて東京で独り暮らしを始めてしばらくして、夜中に唐突にメヒカリを思い出した。東京での孤独な夜に望郷の念が募り、一番先に頭に浮かんできたのが、あれほど嫌がっていたメヒカリだった。

 近所のスーパーや魚屋を探したが見つからない。で、知り合いの居酒屋のご主人の仕入れに同行させていただき、いま話題の築地に行って探した。あらゆる魚が集まる築地ならば、と思ったが見つからなかった。

 30年以上前のことだ。輸送も保管も今のように発達していない。足の速い深海魚で、加えて知名度ゼロの雑魚。仕入れる業者などいなかったのだろう。

 輸送と保管が発達しメヒカリは流通できるようになり、かつては地元でしか手に入らなかったのに、現在はいつでもどこでも食べることができる。

 便利にはなったが、「大事に食べる」という感覚は少し減ってしまったかな。

 ちなみに、魚は原則、頭とワタは取り除く。きょうのメヒカリも、雑魚だけに特に。

 メヒカリも、いや、サンマもイワシもアジもアイナメもイシモチ(ニベであっても)も、ワタは買ってきたらすぐに取り除く。足の速い深海魚ならばなおさらのこと。

 現在は内陸部の居酒屋でも手軽に食べられるようになった魚。ワタを取り除いてと注文すると「ワタがうまいんだよ」とうんちくを垂れる「通」がいらっしゃる。

 ただ、思う。「あぶないですよ」

 内臓は第一に危ない。さらに、苦い。

 子どもは食わない。

 「魚」なのであって「肴」ではない。


 それにしても、ガラの小さな雑魚のワタをいちいち取ってくれていた親は大変だったろうなぁ。頭とワタは、あとの処理も大変だから…。

 ワタの取り除かれた魚、特に雑魚を見るたび、親に対して頭が下がる思いでいっぱいになる。

 きょうだって、食いたいから作ったけど、まずは、あすがゴミの日だからこそ魚を買ってきたわけだし…。
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