CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

通信3-2 第3回特別作業部会(AWG) 第1日目午前のセッション

2007年05月16日 | SB26通信
 午前中のセッションでは、以下のメンバーから発表がありました
・IPCC
・Mr. Artur Runge-Metzger (欧州委員会) 「削減可能性に関するEUの視点」
・Mr. Harald Dovland (ノルウェー)
・Mr. Mohamed Salim Al-Sabban (サウジアラビア) 「削減可能性とリスクと不確実性」
・Mr. Arne Mogren(Vattenfall AB).

報告後のディスカッションをいくつか取り上げます。
Q. EU全体の削減目標を掲げているときいたが、EU内での削減負担配分はどうなっているのか(スイス)、EU15ヶ国から27カ国に広がったが、現在の削減目標を掲げている15カ国の目標は少なくなるのか、多くなるのか(オーストラリア)
A. EUは、2020年までに1990年レベルから20%削減、もし他の先進国が一緒に参加するなら、30%削減目標を掲げている。しかし、EU内の削減負担配分は検討中で何とも言えない(EU)
Q. EUが2020年までに30%削減したとした場合、その時点での一人当たり排出量はどれくらいになるのか(中国)
A.  EUが地域内だけで30%削減した場合には、一人当たり二酸化炭素排出量は7-8tになるだろう。EUが域外で(CDM等を使って)削減すれば一人あたりの排出量はそれより多くなる(EU)
Q. ノルウェーは国内の排出量を2050年までに100%削減すると言っているが、50年にはどのようになることを考えているのか?(中国)
A. 2050年に排出をやめて国の活動をやめてしまうわけではない。国内の排出量分に相当する削減をする、カーボンニュートラル(炭素中立)をめざすということだ。長期的な明確なシグナルをそのように示している(ノルウェー)
Q. IPCCでは、最善のケースでも温室効果ガスを450ppmに安定化する検討しかされていないが、それより低いレベルでの安定化はなぜ検討されないのか(バヌアツ)
A. 十分な研究がなく、検討できなかった。より低いレベルでの安定化は、まだ寿命の来る前の施設を閉めてしまうなど、もっと費用がかかる(IPCC)、現在の温室効果ガス濃度レベルが430ppmであることを考えれば、それより低いレベルの安定化は大変難しい(EU)、430ppmという濃度は京都議定書で規制されている6ガスだけであり、他の温室効果ガスを考慮すると現状はもっと多い(IPCC)
Q. この先作業をどのように進めていくべきなのか?(カナダ)
A. 国の削減可能性については、それぞれの国が削減可能性の調査を進めるしかない。EUがカナダに行って行うことはできない。(EU)
Q. 温暖化政策は、石油輸出国に悪影響がある。先進国はそのような影響(スピルオーバー効果)について配慮すべき。また、運輸部門からのエネルギー転換は影響が大きい。まず、石炭への補助金などをやめるべき。(サウジアラビア)
A.    EUは1990年以降、石炭への補助金を減らしてきている。石炭輸出国にとっても、問題は同じ。石油の価格は上昇しており、影響は少ないと考えられる。(EU)

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