CASA 地球温暖化の国際交渉

地球温暖化に関する国際会議の開催期間中、現地から参加レポートをお届けします。

通信5-1 補助機関会合の結果 (適応基金)

2007年06月07日 | SB26通信
今回の補助機関会合は、多くの議題の議論が非公開の形で進められました。

(1)適応基金

適応基金については、適用基準、優先事項、CDMからのクレジットの資金化についての交渉テキストに合意しました。また、資金が確保できれば、バリでの会議の前に運用機関についての意見を交わすことになっています。交渉テキストには、
・ 京都議定書に参加しており、かつ気候変動の影響に最も脆弱な途上国が適応に必要な費用を適応基金から得る資格があること
・ 適応基金は国主体で、締約国の必要性、見解、優先事項に基づいた具体的な適応事業と計画に出資すること
・ CDM理事会から発行されたクレジットの資金化は運用機関が責任を負うこと
・ 運用機関はクレジットの資金化について毎年のCOP/MOPに報告すること
などの項目が入っています。途上国は、これらのことが決まる前に運用機関について議論することに反対しています。しかし、運用機関については、非公開で行われた議論に基づき、共同議長から12月の会議で考えられるべき項目についてのテキストがでてきました。テキストには、COP/MOPの役割、理事会、役員、実施機関、レビューの項目が含まれています。これらのテキストに基づき、12月のCOP/MOP3では、運用機関についても決定がなされる予定です。
 今回はバリでの交渉に向けてわずかなステップを踏み出したに過ぎません。最大の問題である運用機関については、最初から地球環境ファシリティー(GEF)と決め付けるのではなく、資金を必要としている途上国側が懸念している問題が解決される必要があります。今回の会議に向けて、適応基金の運用に関心のある機関として意見を提出したのは、GEFだけでした。しかし、特にナイロビで決定された「理事会のメンバーは途上国(非附属書Ⅰ国)が過半数を占める」こと、「一国一票制度」であることについて、彼らが運用する場合にどのように対応するかということについては、納得のいく説明をしていません。
一方で、今後おそらくもっとも難しいのは、途上国内部の意見をまとめる作業です。途上国グループの中には、温暖化の影響に脆弱な島嶼国、温暖化の対策が進むと経済が悪化すると主張する産油国など必ずしも利害の一致しない国が参加しており、どちらとも温暖化に対して脆弱であると主張しています。しかし適応基金は、社会・自然基盤が弱く、温暖化の影響に最も脆弱な国々にとって資金が得やすいものであるべきです。バリでは、そのための手続きと運用機関の議論が建設的に行われることが期待されます。

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