「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.634 ★ 中国経済、消費縮み「価格破壊」 激安店に殺到、高級酒も下落

2024年09月08日 | 日記

共同通信

2024年9月7日

ディスカウント店「好特売(ホットマックス)」に積み上げられる商品=8月、北京(共同)

 【北京共同】中国経済に「価格破壊」の波が押し寄せている。不動産バブルは去り、景気の冷え込みが消費者の懐を直撃。激安店に人が殺到し、日用品から火鍋、高級酒「茅台(マオタイ)酒」まで価格下落が進む。かつて日本も苦しんだデフレ圧力の暗雲が社会を漂う。

 「ようこそ特売天国へ」。北京にあるディスカウント店「好特売(ホットマックス)」の店内はカラフルなポップ広告が随所に飾られ、日本の「ドン・キホーテ」を思わせる。賞味期限が迫った食品や在庫処分の日用品が並び、最大9割引きという激安ぶりが人気だ。

 値下げの波は外食産業にも広がる。火鍋チェーン大手「海底撈(ハイディラオ)火鍋」。店内に無料のネイルサロンを設けるなど充実したサービスを売りに事業を拡大してきたが、景気悪化で集客力が低下。新たに格安店「シャオハイ火鍋」を立ち上げた。

 最近の中国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率がゼロ近くで推移し、「失われた30年」と呼ばれる長期停滞を経験した日本の二の舞いを懸念する声が日増しに強まる。

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No.633 ★ 中国、米国規制の抜け穴突く クラウドで先端品利用 アマゾンAWS経由でエヌビディア製半導体にアクセス

2024年09月08日 | 日記

JBpress (小久保 重信:ニューズフロントLLPパートナー)

2024年9月4日

(写真:ロイター/アフロ)

 米政府による対中国輸出規制が強化されるなか、中国政府と関係のある組織が米アマゾン・ドット・コムなど米国のクラウドサービスを通じて、先端技術を活用していることが分かった。「抜け穴」を利用して、米国製の先進半導体やAI(人工知能)技術にアクセスしているという。

 英ロイター通信がこのほど報じた。米政府は、過去2年間にわたり先端AI半導体の対中輸出規制を強化してきた。しかし、これらへのアクセスをクラウドサービスを通じて提供しても規制には抵触しない。対象となるのは、製品やソフトウエア、または技術の輸出・移転に限られるからだ。

中国業者の仲介でアマゾンのクラウドを利用

 ロイター通信が過去1年間に中国の公開データベースに掲載された50以上の入札文書を分析した結果、少なくとも11の中国組織が、米国の技術またはクラウドサービスへのアクセスを求めていたことが分かった。

 そのうちの4組織は、クラウドサービスプロバイダーとして米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を指定していた。ただし、サービスの購入先はAWSではない。入札参加者として募ったのは、中国企業である。つまり中国政府と関係のある組織は、同国の仲介業者を通じてAWSのサービスを購入し利用した、というわけだ。

 ロイター通信によれば、深圳大学は仲介業者である成都運達科技を介して、20万元(約400万円)分のAWSサービスを購入。これによりエヌビディア製GPU(画像処理半導体)「A100」と「H100」を搭載したクラウドサーバーにアクセスした。これらのGPUは米商務省が2022年10月から中国などの「懸念国」に輸出することを禁じている。

「禁輸リスト」組織も米国技術にアクセス

 中国科学技術大学(USTC)蘇州高等研究院は24年3月に出した入札文書で、8つのA100を搭載したサーバー500台を、クラウドサービス経由で利用したいと記した。ロイター通信によれば、こちらのサービスも中国の業者を介してUSTCに販売された。ただし、クラウドサービスプロバイダーの名称は分かっていない。

中国科学技術大学は24年5月、米国輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に加えられた。中国の軍事力強化につながる、米国の量子コンピューティング技術を取得し、核開発計画に関与した、というのがその理由だという。

 大規模言語モデル(LLM)「GeoGPT」を開発する浙江ラボ(Zhejiang Lab)は、24年4月の入札文書で、AWSのクラウドコンピューティングサービスを18万4000元(約373万円)で購入する意向だと記した。浙江ラボはその理由として、中国アリババ集団のクラウドでは十分なコンピューティング能力を得られない、と説明した。

「抜け穴への対応遅れている」

 かねて、「米政府が半導体やAI技術を対象にした輸出規制を強化したとしても、中国企業は米国のクラウドサービスを介して先端技術にアクセスできてしまう」、という問題が指摘されていた。

 米ジョージタウン大学安全保障・先端技術研究センター(CSET)の研究員であるエミリー・ワインスタイン氏は「中国企業がエヌビディアのA100にアクセスしたかったら、それはどのクラウドサービスプロバイダーからでも可能だ。(現時点では)完全に合法である」と述べていた。

 今回、米下院外交委員会のマイケル・マコール委員長は「この抜け穴は長年の私の懸念事項で、対応がかなり遅れている」と、ロイター通信に語った。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などの米メディアは23年、バイデン政権が中国企業による米国のクラウドコンピューティングサービスへのアクセスを制限する準備を進めていると報じていた。これにより、アマゾンや米マイクロソフトなどは、高度なAI半導体を使用するクラウドサービスを中国企業に提供する際、事前に米政府の許可を得る必要が生じる。

 米国では24年4月、米国技術への遠隔アクセスを規制する権限を商務省に与える法案が議会に提出された。クラウド企業の顧客に関する禁止事項を定める権限を商務長官に与えるものとなる。ただ、ロイター通信は、これがいつ、そして実際に可決されるかどうかは不明だ、と報じている。

 AWSの広報担当者は「商務省が新たな規制を検討していることは承知している。当社は事業を展開している国の適用法をすべて順守している」と述べている。

小久保 重信

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、JBpress『IT最前線』や日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」で解説記事を執筆中。連載にはダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19~20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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