少し前の話になるが、僕はとある外車ディーラーで現行フィアット500を試乗した。
もともと旧フィアット500好きということもあった。天才技術者ダンテ・ジアコーサが生み出した旧フィアット500は20世紀の名車のひとつに数えられているクルマである。だがそんな理屈はいっさい抜きにして、僕は現行フィアット500が登場した時にそのスタイル、センスに脱帽してしまった。
僕が試乗したのは1.2リッターエンジンでデュアロジックと呼ばれるセミオートマ仕様である。セミオートマとはトランスミッション本体はマニュアルで、それをオートマチック制御しているもの。電子制御の油圧クラッチを採用しているためにクラッチペダルは無く、ドライバーの意思によってフルオートマチックモードとマニュアルモードを使い分けることができる。
試乗した印象だが、このフィアット500、めちゃめちゃ楽しい!エンジンパワーはたったの69馬力しかないのだが、驚くほど活発によく走る。デュアロジックのシフトスケジュールがエンジンと実によくマッチしていて、積極的にエンジンのおいしい回転域を使ってシフトチェンジをするからなのだろう。とにかくかったるさは微塵も感じない。おまけにこのデュアロジックはマニュアルモード時にシフトダウンをするさい、フォーン、フォーンと自動でダブルクラッチまで行い、エンジン回転を同調させてくれる。おかげで飛ばせば飛ばすほどその気になってくるのだ。発進時にややクラッチを滑らせすぎかなと思ったりもしたが、慣れれば問題無いレベルだろう。ステアリングフィールはドイツ車的なガシッとした手応えを感じるもの。フィアットらしくはないかなと思うが、こちらのほうが多くの人に好まれるステアリングフィールだと思う。
秀逸なデザイン、魅惑のインテリア、そしてキビキビとした走り。フィアット500に乗っていると自分の中の眠っていた細胞が一気に覚醒したかのようにやたらとテンションが高くなる。そして気が付けば終始笑顔だ。エンジンをブン回して笑顔、フォーン、フォーンというダブルクラッチの音を聞いてまた笑顔、そのままクイッ、クイッとコーナーを抜けてまたまた笑顔。交差点で止まりインテリアを眺めてウットリと笑顔、白く綺麗なステアリングを撫でてデレーッと笑顔。どんなに不機嫌な人でも、コワモテな人でも、このフィアット500に乗れば必ず笑顔になれる。僕が思ういいクルマとは、このフィアット500のように触れて乗って笑顔になれるクルマのことである。
話は変わって、僕は二週間ほど前に現行トヨタラクティスを試乗した。エンジンは1.5リッター。トランスミッションはCVT。1.5リッターエンジンはなかなかパワフルで、そこそこよく走る。
試乗した感想はそれくらいだ。味気ないスタイル、燃費を意識するあまり過剰なまでにエンジン回転を低く低く保とうとするCVT、無味乾燥な真っ黒インテリア。はじめは覚醒していた僕の細胞は運転しているとしだいに眠りに入り、十五分も運転すると本当に眠くなってきてしまった。フィアット500に勝っているところは広い室内、というこの一点だけ。
あまりの差に涙が出そうになった。日本人として情けないやら、悔しいやら。日本車、特にトヨタ車がヨーロッパで大苦戦し続けている理由がまさにそこにあった。
もともと旧フィアット500好きということもあった。天才技術者ダンテ・ジアコーサが生み出した旧フィアット500は20世紀の名車のひとつに数えられているクルマである。だがそんな理屈はいっさい抜きにして、僕は現行フィアット500が登場した時にそのスタイル、センスに脱帽してしまった。
僕が試乗したのは1.2リッターエンジンでデュアロジックと呼ばれるセミオートマ仕様である。セミオートマとはトランスミッション本体はマニュアルで、それをオートマチック制御しているもの。電子制御の油圧クラッチを採用しているためにクラッチペダルは無く、ドライバーの意思によってフルオートマチックモードとマニュアルモードを使い分けることができる。
試乗した印象だが、このフィアット500、めちゃめちゃ楽しい!エンジンパワーはたったの69馬力しかないのだが、驚くほど活発によく走る。デュアロジックのシフトスケジュールがエンジンと実によくマッチしていて、積極的にエンジンのおいしい回転域を使ってシフトチェンジをするからなのだろう。とにかくかったるさは微塵も感じない。おまけにこのデュアロジックはマニュアルモード時にシフトダウンをするさい、フォーン、フォーンと自動でダブルクラッチまで行い、エンジン回転を同調させてくれる。おかげで飛ばせば飛ばすほどその気になってくるのだ。発進時にややクラッチを滑らせすぎかなと思ったりもしたが、慣れれば問題無いレベルだろう。ステアリングフィールはドイツ車的なガシッとした手応えを感じるもの。フィアットらしくはないかなと思うが、こちらのほうが多くの人に好まれるステアリングフィールだと思う。
秀逸なデザイン、魅惑のインテリア、そしてキビキビとした走り。フィアット500に乗っていると自分の中の眠っていた細胞が一気に覚醒したかのようにやたらとテンションが高くなる。そして気が付けば終始笑顔だ。エンジンをブン回して笑顔、フォーン、フォーンというダブルクラッチの音を聞いてまた笑顔、そのままクイッ、クイッとコーナーを抜けてまたまた笑顔。交差点で止まりインテリアを眺めてウットリと笑顔、白く綺麗なステアリングを撫でてデレーッと笑顔。どんなに不機嫌な人でも、コワモテな人でも、このフィアット500に乗れば必ず笑顔になれる。僕が思ういいクルマとは、このフィアット500のように触れて乗って笑顔になれるクルマのことである。
話は変わって、僕は二週間ほど前に現行トヨタラクティスを試乗した。エンジンは1.5リッター。トランスミッションはCVT。1.5リッターエンジンはなかなかパワフルで、そこそこよく走る。
試乗した感想はそれくらいだ。味気ないスタイル、燃費を意識するあまり過剰なまでにエンジン回転を低く低く保とうとするCVT、無味乾燥な真っ黒インテリア。はじめは覚醒していた僕の細胞は運転しているとしだいに眠りに入り、十五分も運転すると本当に眠くなってきてしまった。フィアット500に勝っているところは広い室内、というこの一点だけ。
あまりの差に涙が出そうになった。日本人として情けないやら、悔しいやら。日本車、特にトヨタ車がヨーロッパで大苦戦し続けている理由がまさにそこにあった。