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Retro-gaming and so on

対局囲碁 ゴライアス

亡くなった任天堂三代目社長である山内溥氏(通称「組長」)は囲碁が得意で好きだったそうだ。
ファミコンを企画しながら全くビデオゲームは遊ばなかった「組長」だが、囲碁は嗜んでたそうだ。
しかし、任天堂は実は「囲碁ソフト」と言うのは全く出していない(※1)。
と言うのも、「囲碁のソフトを出す際には組長を喜ばせるくらいじゃないと出さない」と言う不文律があったそうだ。
組長は強い。従って組長が満足する・・・要は組長を倒せる可能性がある囲碁ソフトじゃないと出せない、と。

GoogleがスポンサリングしたALPHA GOの前後でやっとこさ「人間に勝てる」囲碁ソフトが出てきたわけだが、1980年代だとまだまだ、だった。そもそもCPUが遅いしメモリも少ない。
古典的な手法だと囲碁ソフトも「人間が考えるような事をする」。要は先読みをするわけだが。
例えば一手目こう打ったら相手の二手目はこうなる、それに対して三手目は・・・と言う「可能性を計算をする」わけだ。そして全手順を評価して「一番有利に見える」道筋を打つ。こういうテクニックを「探索」と言う。
ただし、囲碁の場合はこの「想定局面」を考えるのが厄介で、初手でさえ(通常の19路盤だと)361通りある。361通りに対して相手が返してくる「可能性」は360通りあり、この時点で12万9,960通りだ。更に盤面を進めて考えると・・・となるとニッチもサッチも行かない。
まさしく「無理ゲー」だったんだ。

事実、ファミコンだと「コンピュータ相手に対戦出来る囲碁ソフト」はたった二本しか出ていない。二本でも大したモンだ。
ファミコンで最初に出た囲碁ソフトを作ったメーカーは、なんとBPSだ。
知らない?BPS。
テトリスの移植で有名なメーカーで、また、「国産初のマトモなRPG」と言う呼び声が高い「ブラックオニキス」を作ったメーカーだ。
なんとここは囲碁ソフトまで作ってたんだな。




ただし、フツーの囲碁で使う19路盤での勝負ではなく、コンパクトな9路盤だったんだ。
これが当時のファミコンの限界、って言えば限界だ。ロジックをキチンと組もうとすれば盤面を縮小せざるを得なかった。
その癖「白と黒の忍者」が碁石を投げ込む、ってワケの分からんアニメーションをする余裕があったが(笑)。まぁ、ファミコンの場合、グラフィック部分はCPUと関係ない部分が司ってから出来た事だろう。
また、バックグラウンドはファミコン版の「スーパー・ブラックオニキス」を彷彿とさせる(笑)。
結果「BPSらしい見た目の」ゲームになっている。

さて、BPSが「ファミコン初の」囲碁ソフトをリリースしたのが1987年だ。ファミコンが発売されたのが1983年なんで、初の囲碁ソフトがリリースされるまで4年かかってる。
一方その頃パソコンソフトはどうだったんだろ?
このBPS、なんと1985年にNEC PC-9801用に「19路盤もプレイ出来る」囲碁ソフトを出している。ファミコンの囲碁より(当然?)早い。
それが今回紹介する「対局囲碁 ゴライアス」だ。



何故に「ゴライアス」なぞ名付けたんだか知らん。おっそろしく「ダサい」ネーミングセンスだ(笑)。


うん、そりゃダライアスだ(謎

「対戦囲碁 ゴライアス」はクッソ色味は悪いけど、9路盤、13路盤、19路盤と3つのサイズの囲碁が楽しめるように設計されている。


んで、1985年のソフトの割にはマウス操作なんだが・・・そもそもこのマウスがあんま良くない(苦笑)。ホンマ、カーソルキー代わりで、スムースに動くわけでもなく、ボタン間を飛ぶだけだ。反応も悪いし。
ぶっちゃけ、これなら単にカーソルキーで良かったんちゃうん?って操作性の悪さだ。
しかし、それよりもヒドい事がある。


コンピュータの思考時間がめっちゃ長い・・・・・・
現代の囲碁ソフトで考えると信じられない長さだ。先程でも書いたけど「探索」に時間がかかりすぎるんだ。
9路盤でもそうなんだから19路盤とか(やらないけど)もっとかかるだろう。
ホント、ゲームボーイアドバンスの「ヒカルの碁」の方がマジで速いんだっての。
いやだからまぁ、1980年代の16bit PCだと全然「碁」がスムースに打てる程PCが速くなかった、って事だな。隔世の感だ。
BPSエラい。良くこんな低性能な時代に囲碁ソフトを出した。
でも資料的価値以上のものは現在ではやっぱねぇよな(笑)。ホント打つの遅くて、かったるくって今だとプレイ出来ないと思う。

ところで、8年後の1993年にこの「ゴライアス」、なんとスーパーファミコンに移植される。


グラフィックもオリジナルより全然良くなってるし、驚くことに演算速度もPC-9801版より全然速くなってるんだ。
ゲームモードも増えてるしね。


それでも負けるんだけどな(怒


ボロ負けじゃねぇかよ(怒
ホント、俺って囲碁も下手で泣けてくる(笑)。

いずれにせよ、同じ遊ぶならスーファミ版の方がマシです。それだけは間違いない。

余談だけど、そろそろ脱衣囲碁とか脱衣将棋って出ないかしらね(笑)。
そうすれば、もっとマジメに囲碁とか将棋とか勉強するんだが(笑)。
作るか(作らない・笑

※1: ファミコン発売の約一ヶ月後に「五目並べ」のソフトは出しているが、当然これは囲碁ではない。
また、Wiiでも囲碁関連のソフトを出してるが、問題集であり、また「コンピュータとの対戦」が目的のソフトではない。
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