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花戦さ  信長、秀吉、利休---戦国の時代の別の側面からの描き方。アートが素晴らしい。

2017-06-15 11:16:27 | 映画


佐久アムシネマで拝見。

演技達者ばかり揃えたこの映画。そのため、映画の内容も知らなかったのですが、当初から見に行きたかった作品。それがテレビの宣伝で、池坊専好のことを描いた映画、ということを知り、早速見に行ってきました。
というのも、ウチは池坊なので。

「専好が生花で秀吉を諌めた」という伝説をもとに書かれた小説「花戦さ」をベースにしてこの映画は描かれています。

そしてその感想はというと

🍎🍎🍎

です‼️



映画を見にく前にネットで見たレビューでは、あまり良くない感想もありました。戦のシーンがないとか眠くなるとか、野村さんの顔芸がどうのこうのとか。。
しかし、今回の映画の場合、当時の歴史や華道、茶道の知識がないと映画を理解するのにも困難が伴うのではないかな、と思えました。そういう知識がないと、面白くないと感じてしまうかもしれません。

随所に出てくる生花が素晴らしい。それを見るだけでも、この映画の価値があります。
特に冒頭、専好が岐阜城で信長に献上したとされる「大砂物」。とても大胆で力強い松の枝ぶり。そこに鷹が。。という構図。素晴らしかった。最後、前田利家邸で秀吉に献上された大砂物も素晴らしいですが、どっちかというと、この冒頭の大砂物の方が好み。




その他、この作品には200もの生花が登場しているようですが、どれが一番好みだったかというと、カキツバタの花が一本だけ生けてある「夏跳ねる」という作品です。
花一本という質素の中に、凛とした佇まい、力強さを感じさせ、これぞ池坊という感じで大変好きな生花です。
もともとこの作品には数本のカキツバタが生けられていたとか。ですが、専好が利休に心の中を打ち明けた後に生けた生花ということで、セリフなどを考慮し、西田永教授が一本だけにした、ということです。
生花とは、心の中を表すものですね。

ブログに写真をアップできないので、生花などはオフィシャルサイトでお楽しみください。

花戦さ オフィシャルサイト

生花だけではなく、冒頭、利休がお茶を点てるシーンがありますが、お点前のお手本になりそうな場面です。





お花、お茶だけではなく、その他に驚いたのは、蓮と名付けた少女が襖に描いた絵
一体、この絵は何?どこかで見たような、と思ったら、最近人気の小松美羽さんの作品。小松さん、長野県出身。
小松さん、とっても若いのに、描く絵は大胆で躍動的で、一部狂気を感じさせるところがあります。今回の劇中の蓮の花も凄かったです。



この蓮に関して、蓮の花が3輪登場する場面が出てきます。ただ、水を張った桶の中に蓮の花が3輪入れられているだけですが、それがまた美しい。また、花が開く時、ポン!と音がするんです。この演出は見事でした。

そして、音楽、この音楽もいいな、と思っていたら、久石譲さんの作曲でした。

また、今回の映画を見て、歴史の新たな部分を発見した感じ。
それは、秀吉って、利休などの文化人に対して、とてつもないコンプレックスを持っていたのではないのかということ。秀吉といえば、貧乏百姓の倅で、はっきり言って文化的なことからは無縁のところで育ってきたと思います。それがなんだか知らないけれど社会のトップにまでのし上がり、そのため、多くの文化人が周りに寄ってくる。と言っても、小さい頃にそのような文化的なことを学んだわけではないので、その文化的なことが自分では内実さっぱりわらかない。
やはり、小さい頃にそのような環境で育っていないと、大人になってから、というのは若干無理があるのではないでしょうか。だから秀吉って、華道とか茶道とかわかっているように見せていても、さっぱりわかっていなかったと思います。それだから、金の茶室なんて作ってしまったんでしょう。

ですから、周りの人たち、秀吉のことを「偉そうにしているけれど、何もわかってない馬鹿」と内心思っていたのではないでしょうか。そしてそれを敏感に感じ取っていた秀吉。

この内面の文化的素養の違いって、一朝一夕で改善することではありません。

それが、利休との確執の源ではないのか、と思いました。利休の振る舞いが全て自分を馬鹿にしていると捉えてしまった秀吉。

劇中で信長が「武人たるもの、茶と花を、人の心を大事にせよ。それこそが上に立つ者の道じゃ。」と言った言葉。これは秀吉のこと?
そういう秀吉を、市川猿之助さんが見事に演じていたと思います。



歴史というのは、何年何月にこう言うことがあった、だけではなく、細部までもろもろ理解しないと、本当は何があったのかと言う真実は永遠に分からないかもしれません。


映画が終わってから、パンフレットを買い求めましたが、このパンフレットがとっても色鮮やか。こんなパンフレット、今までに見たことがありません。
800円でも納得。




お茶、お花に嗜む人たち、そして戦国時代が好きな人、見て損はないと思います。

映画『花戦さ』 予告編