岡谷スカラ座で。
週末、映画館はごった返していました。
なんでまた、この「海賊とよばれた男」が原因ではあるまいし、と思い係りの人に尋ねたら、どうやら子供向け映画が大変なことになっていたらしい。
そんな玄関ホールの喧騒を横目に館内へ。
この映画の原作、未読です。
ベストセラーになって書店でも大量に平積みされていたのは知っていましたが、作者と原作自体に良い噂を聞いていなかったので、当時は完全にスルー。
「永遠の0」に対しては、世間の評判とは真反対の感想を持ち、一体全体なぜ「永遠の0」のような内容の映画や小説が大衆の支持を得ているのか、私にはちんぷんかんぷんな現象でした。
加えて、岡田くんが日本アカデミー賞でベストアクターを受賞したと聞いても、それも訳わかりませんでした。しじゅううつ病のような顔していただけじゃん、それでベストアクター?と不思議に思いました。
そういう感想を持ったにもかかわらず、今回この映画を見に行ったのは、岡田くんのファンということと、山崎監督が長野県出身という理由から。
「永遠の0」には散々の感想を持ちましたが、今回は文句なく、
🍎🍎🍎
という結果です。
岡田くんの演技自体も格段に進歩していました。しいて言えばやはり老け役がまだしっくりきていない印象。特殊メイクは良かったですが。
主役を囲む、周りの有名俳優人の皆さんもすごかったです。主役だけではなく、皆さん光っていました。
特に吉岡さん、また新たな魅力を見せられたような感じです。演技、うまいです。
堤真一さん、この映画に出演することを希望されていたようです。特に国岡商店に入りたい希望があったということですが、吉岡さんとでは「三丁目」になってしまうから、船長役でよかったということです。確かに。。
それに鈴木亮平さん。今回の映画を見て、再来年の大河「西郷どん」見てみたいと思っちゃいました。
ですが、長編小説を2時間という枠に納めなければいけないので、各ストーリーがなんとなく尻切れとんぼに。
九州にいたかと思ったら、突然舞台が東京に。どういうきっかけで東京に店を構えたの?
中国で色々交渉していたかと思ったら、また突然舞台が日本へ。中国ではどういう交渉をしたのですか?
国岡商店に化学者っていたの?自分たちのオイルを作ったという話になっていましたが、主人公にそういう化学的な知識ってあったの?どこで勉強したの?
などなど、細かいところはわからないところも多かったです。
ストーリーの大まかなところをかいつまんでドラマにしたような印象です。それでも、原作未読のものにもストーリーの流れは非常にわかりやすかったですが、それからどうなったの?という印象が強い。原作を読んでください、ということでしょうか。
男一代記なので、むしろ、大河ドラマのようにしてもらった方が面白かったかもしれません。
でも岡田くん、今回はいちばん肝に座ったような演技でした。主人公の豪快なところがよく表されていたと思います。
代表作になるのではという印象を持ちました。
またCGとかVFXを多用し、俳優さんの撮影はブルーバックが多かったようですが、画像を見ればどかが本物でどこがCGやらVFXやら全くわからない状況。前作よりも格段にそういう方面は進歩していました。
会社のモデルは出光興産で、主人公のモデルはその創業者、出光佐三さん。その出光さん、一代で会社を大会社に育てたのは、信仰していた宗像大社のおかげでしょうか。
一歩間違えれば、ワンマン社長だけが突っ走って社員を危険に陥れるブラック企業とも捉えかねません。イランに行く時は、まさにそういう状態だったのかしら。
でも、己を捨て日本という国のことが真っ先に来ているからこそ、名を残せたのかもしれません。
出光さんの国産にこだわった精神、現代の日本にも通ずるものがあると思います。
ただ、最初の奧さんだけ美化されているように思えますが、後の奧さんはお子さんを5人もうけています。どうしてその人を描かなかったのかしら?
奥様に失礼なのでは?という感想もあります。
「海賊とよばれた男」予告