安倍政権は10月の消費増税実施を掲げて夏の参院選に臨む方針だが、最近の世論調査では内閣支持層のほぼ半数が消費増税に反対している。野党は年金問題に加え、消費増税をめぐっても政権との対決姿勢を強めており、消費増税を不安視する有権者の動向が参院選の行方を左右しそうだ。
朝日新聞社が実施した5月の全国世論調査(電話)では、10月に消費税を10%に引き上げることについて、「反対」は54%、「賛成」は39%。内閣支持層では「反対」46%、「賛成」48%とほぼ並んだ。自民支持層でも賛否は拮抗(きっこう)した。内閣支持層の中に消費増税に反対する人が約半数を占めるのは、何を意味するのか。
これまでの国政選挙を振り返ると、安倍晋三首相は2014年の衆院選、16年の参院選と、いずれも選挙直前に消費増税の延期を表明し、消費増税に反対していた野党の主張を抱き込んだ。両選挙ともに内閣支持率は4割前後を維持し、自民は連勝した。
今の内閣支持層の中には、首相の消費増税「再々延期」に期待する層が一定数含まれていたことが考えられる。首相が予定通りに消費増税を実施することで、首相の支持構造が一部崩れる可能性もはらむ。
立憲・民民・共産党等の参院選に向けての公約の中に、「れいわ新選組」に近い政策が散見されるが、消費税減税を掲げている野党がいない。
自民党支持者の中にも、消費税増税に反対が半数近くいる事を考えれば、野党が消費税減税を公約に共闘出来れば、「ねじれ」を生む事は不可能ではないと思う。