テレビのツボ

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「豊臣の妻」~おねの女心

2011-06-06 21:20:10 | 大河ドラマ
今週は、前回の狂おしく燃え上がった恋物語から一転、穏やかなストーリー展開だった。江は一人でプンプンしていたけど、それ以外のキャストは総じて抑制的な演技を披露していた。
見応えがあったのは予想通り、大竹しのぶ演じる「おね」。江以上にプンプンしてもよさそうなものだが、そこはやはり大人。終始、冷静に振る舞っていた。と言っても、ただ淡々と演じていたのではない。抑えても滲み出てくる切ない女心を、表情で、台詞の余韻で、見事に演じ切っていた。感情を露にせず、それでいて苦しい胸の内を垣間見せることが出来るなんて、さすが名女優だ。ということで、今週のツボはベテランらしい風格が漂う大竹の名演技に決定!


冒頭、いつものような解説はなく、いきなり本編から始まった。
「何と! 帝を、でございますか!?」
「そうじゃ…来る四月、帝とその御一行をここ聚楽第にお迎えいたす」
天正十六年(1588年)正月、秀吉は三成に仰天プランを打ち明ける。
「帝の行幸となれば、ざっと150年ぶり…」
「さすが三成、よう知っておるではないか」
聚楽第を豪華絢爛にしつらえたのは、帝を迎えるためだと秀吉。道筋では音曲を奏でさせ、その中を壮々たるメンバーが練り歩く。京の町衆は腰を抜かすであろう、とも付け加える。

所変わって茶々の部屋。茶々の傍らに寄り添う江が侍女のサキに問う。
「ぎょうこう? 何じゃそれは」
「帝が内裏からお出ましになり、いずこかへとお成りあそばすことにございます」って、またまたこんな基礎的なことを台詞で説明してる。
このところ殿下は大変な勢い…と言うヨシに「何かいいことがあったのかのう…」と江。
「さあ…」とぼけつつも、何とな~く事情を察している侍女たちは茶々をチラッと見やる。
「それよりも、早く姉上の縁談を進めねば」と急かす江。
(これ以上隠してはおけない…)茶々は意を決し、侍女たちを下がらせると真相を江に話し始めた。
…と、ここでOPに突入。OP明け、大ショックを受けた江が茶々を問い詰める。
「姉上が猿と…。猿は父母と義父の敵ではありませぬか!」
「許せ…江」
「姉上は猿の側室になられたのですか?」
「側室ではない!」茶々は否定するも「側室です!!」江は叫び、部屋を飛び出していった。

一方、おねも秀吉から、茶々とデキてしまった旨の告白を受けていた。
「許してくれ~、おね!」平謝りする秀吉に「そうなったのなら仕方ないではありませぬか。あれほど、お茶々様にご執心だったのですから…」内心の動揺を必死に抑えたおねの言葉を、秀吉は真に受けてしまう。「さすがはおねじゃ! そなたなら分かってくれると思うておった~!」無邪気に喜ぶと、おねを抱き締め「聚楽第のイベントは成功させてみせるぞぉ~! ハッハッハ~!」意気揚々と部屋を出て行った。
人たらしのくせに、とことん女心には疎いなあ

迎えた四月半ば。聚楽第にて行幸を迎える日。聚楽第の全景CGが映し出されたあと、上洛した諸大名に「関白への忠誠を誓わせる誓紙」を差し出し血判を押させるシーンが40秒ほど流れただけ。台詞だけでスルーするよりはマシだけど、あまりに短かすぎ。いつものように、戦や歴史的イベントはおまけ扱いだ

夕刻、家康を茶室へ招いた秀吉は、そこでも茶々を射止めたことを自慢しまくる。
「猿の一念、岩をも通す…ですかな。ワハハッ!」
「しかし…心配なのはお江様ですな」そう釘を刺す利休に「水を差すでない。江など関わりない」秀吉は強がるが「そうでっしゃろか? 姫様にとって殿下は敵…。下手をすれば…」言いつつ茶菓子にブスッと竹串を突き立てる。殿下もこんな風に刺されまっせ~という比喩だ
家康も同調するが、秀吉は意に介さない風を装い、茶菓子をパクっと食べてしまう。

侍女のウメから、秀吉が大坂城に帰ってきているとの報せを受けた江は、秀吉のもとへ怒鳴り込む。
「この泥棒猿めがっ! よくも姉上を手込めにしおったな!」
「何も無理強いしたわけではない。茶々も自ら…」秀吉が茶々を呼び捨てにしたことで江は更にヒートアップ。殴り掛からんばかりの勢いで歩み寄り、叫ぶ。
「茶々などと呼ぶなっ! 穢らわしい!!」
騒ぎを聞きつけ、茶々が飛んでくる。
「申し訳ございませぬ」秀吉に頭を下げ「話を聞いてくれぬか?」江にも釈明しようとするが、二人の仲睦まじい様子を目の当たりにした江は申し出を無視。無言で立ち去っていった。

「許さぬ! 姉上も猿も、断じて許さぬ! ワ~~ン!!」
自室へ引き上げた江は侍女の前で号泣する。
その日から江は茶々と口も訊かなくなった。食事も別々に摂るようになった。
龍子のもとへ相談に行くが、全く嫉妬している様子も見せない上、「やっぱり女は男ねぇ。好いた好かれた男あってこその女だわ~」という呑気な答えに江は呆れる。

江が廊下で所在なげに庭を眺めていると、「お江殿、ご無沙汰しておりまする!」と快活な声。秀吉から謹慎処分を受けていた秀勝が戻ってきたのだ。
「秀吉殿の怒りが解けたのですか?」
「いえ…伯父は私を許したいようですが、断ってきました。許されねばならぬことなどしてませんから。江殿もそうでしょ?」
秀勝は、茶々と秀吉がデキてることも耳にしていた。「伯父と姉君のことを許したい…でも許せない」
「許せるわけないでしょ! あなただって、あなたを許そうとしている秀吉殿を許してないんでしょ!!」
「そうですね…でも私の心は安らかです。あなたの心も安らかになるよう祈ってます」言い残し去っていった。

それから季節は巡り、秋を迎えた頃、次女の初が里帰りしてくる。久々の再会に抱きついて喜ぶ江。茶々から文が届いたので来たのだと言う。
「江が口も訊いてくれぬと、姉上が嘆いておられたぞ。仕方あるまい…男と女は何があってもおかしくないんだし…まぁ、そなたには分からんだろうが…」
一見、大人の対応をしてるように見えるけど、初の場合、結婚生活が幸せいっぱいだから、何を聞いても怒る気にもなれないって感じだな

茶々の部屋を江と共に訪れた初は、無理やり江に頭を下げさせ詫びを入れさせる。
その席上で、茶々は懐妊した事実を告げる。
「秀吉様とのこと、父上と母上が許さぬなら、命を奪ってくれと願った。そしたら、お腹に子が宿った。それを知って許された思いがしたのじゃ…」
案の定、茶々の言葉に江は反発する。
「そんなわけありません。猿のややなど、母上は許しておられませぬ…」更なるショックを受けた江は静かに席を立ち、出ていった。

聚楽第で「茶々懐妊」の書状を受け取った秀吉は、おねの前で感涙にむせぶ。
「ワシにやっと子が出来たぁ…これほど嬉しいことはないぃ!」
そばで見守るおねの、何とも言えず寂しげな表情。こういう静かな演技にこそ、役者の力量って表れるもんだ。

「江…なぜ認めてあげぬ」
初は、江の強情さにほとほと手を焼く。
「母上が嫌い抜いておられた猿の子など認めません!」
「己れの姉に子が授かったことを喜べぬとは…そなたは人ではない! 鬼じゃ! 夜叉じゃ!!」
姉妹で大喧嘩になってしまう。
そこへ侍女がやって来て、おねが江に会いたがってる旨を伝える。

「これも役に立たなかった…」
(茶々に手を出すな)としたためられた二通の書状を差し出し、おねは江に詫びた。
「ややが出来たのは、豊臣家のためにはメデタイことだと思うておる。実は…私もそなたと同じく、茶々殿に会うのを避けておった。元気な子を産んでくれと言わねばならぬのに…」
プライベートなおねの面を押し殺してでも、オフィシャルな北政所の責任を果たさざるを得ない苦渋が、言葉の端々から滲み出る。
「今まで側室たちに寛大でいられたのは、誰にも子が出来なかったから…そう気づいたのじゃ。己れの小ささをまざまざと見せつけられた思いじゃ…」
茶々を許せない気持ちが誰よりもよく分かるおねは、江に切々と語り掛けた。
「業とは不思議なものじゃ。産まれてくる赤子が、恨みや憎しみを全て拭い去ってくれるようではないか…」
おねは(そろそろ茶々殿を許してあげてはどうじゃ?)と暗に訴え掛ける。

おねも自らの女心を心の奥底に沈め、茶々との会見の席を設ける。そこで茶々に対し、温かい激励の言葉を贈る。
「そこにおる子は、茶々殿の子であると同時に豊臣の子じゃ。それと…茶々殿は側室ではありません。秀吉の妻です。豊臣の家を守るのが私。豊臣の子を産み育てるのが茶々殿。役目が異なる妻とお心得下さい。これからも、よろしゅう頼みまする」
おねは茶々に対し、深々と頭を下げた。

「政所様はまことに大きなお方じゃ…」
茶々が初に、しみじみと語る。て…ここは、茶々と秀吉が初めて想いを通わせ、固く抱き合った東屋ではないか! そのことを知ってか知らずか(どう考えても知らないだろうが…)、初が「猿には過ぎた女房ですねぇ」と返す。
確かに、おねは器が大きい。ロケンロールの暴走亭主を手の平の上で転がす樹木希林みたいだ

そこへおずおずと現れた江。
「姉上に子ができたということは…私の甥か姪ができたということは…嬉しゅうございます」
やっと江も茶々を許すことが出来た。茶々と江は和解し、互いに涙を流しながら抱き合った。まあ、これは予想通りの展開だな
初は、二人が和解したのを見届け「私も高次様の子を作るのじゃあ!」と、晴れ晴れした顔で近江へ帰っていった。
が、大団円で終わらないのがこのドラマ。
「わが娘が秀吉の妻になりましょうとは…。しかしそのことが、江と茶々を大きく引き裂いていくことになるのでございます」
豊臣家を待ち受ける悲惨な未来を暗示するような、鈴木保奈美のナレーションでエンディングを迎える…。


今回、おねと茶々との間で、もっとバチバチした火花が飛び散るのかと思っていたが、それは外れた やはり、おねの器は並大抵ではない。同時に、大竹しのぶの女優として力量も並大抵ではない。当然ながら、上野樹里はまだ、そのレベルには及ばない。同じ天然女優として、大竹の境地にまで演技力を磨くことが出来るかな? 楽しみにしつつ、見守っていくことにしよう~

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