徒然なるままに修羅の旅路

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悲……大阪ナイフショーは完全中止になりました。滅べ疫病神

In the Flames of the Purgatory 19

2014年11月19日 06時51分58秒 | Nosferatu Blood LDK
 
   *
 
「おおっ!」 咆哮とともに、手にした撃剣聖典を振り下ろす。長剣の刃が火花を散らしながら鎧の胴甲冑と帷子を引き裂き、鎧の肩口に喰い込んだ――だがそれでも、まだ斃しきれてはいないらしい。
 鎧がぎしりと音を立てて手にした長剣を握り直し、そのまま肩を支点に振り回して水平に振り抜く。それよりも早く、ブラックモアは体を沈めてその一撃を躱した――剣の回収は考える必要が無い。護剣聖典は材料になる聖書のページが残っていれば、いくらでも新しい剣を作り出せる。
 右手を翳して周囲を舞う聖書のページを数枚まとめて掴み止め――それが激光とともに、新たな長剣へと変化する。
 構築した短剣を、鎧の装甲の隙間から太腿の付け根に刺し入れる――ずぐ、という嫌な手応えとともに、短剣が帷子を突き破って柄元まで突き刺さった。
 だが、やはり中身はまともな生物ではないらしい――人間と似た構造を持つ生物であれば、突き刺さった短剣が筋肉の伸縮を阻害して、脚を動かすことなど出来ないはずだ。だが鎧は短剣を突き刺された脚を平然と動かして、最接近したこちらの体を蹴り剥がしにきた。
 だがそれよりも早く、ブラックモアは後方に跳躍して逃れている――だが、別に逃れる必要など無かった。鋼線で両足を絡め取られ、中途半端に足を振り上げた鎧がバランスを崩して転倒する。
 間合いを離したのは、注意がその鎧一体に集中し過ぎることを避けるためだった――乱戦における視野狭窄ほど恐ろしいものは無い。
 魔術で仕留めたほうが早いか――胸中でつぶやいて、ブラックモアはぴ、と鎧に右手の人差し指を向けた。次の瞬間、鎧の全身がバチバチと火花を散らし、装甲の隙間から肉の焦げる臭いとともに白い煙が上がり始める。
 電磁焼殺マイクロウェーブヒート――高周波電磁場を発生させてマイクロ波による誘電加熱で攻撃対象の体内の水分子の運動を加速させ、血液や体液を沸騰させることで殺傷する精霊魔術だ。
 要は電子レンジの原理なのだが――体内の水分を瞬時に沸騰させられて、鎧がその場で転げ回る。
 動きが止まるのを待たずに、ブラックモアは横跳びに跳躍した――背後に忍び寄っていた鎧が振り下ろした長剣の鋒が、目標をはずして地面をえぐる。
 振り返りながら、魔術の『式』を構築――ブラックモアはそのまま、左後方にいる鎧の胸甲冑に掌を叩きつけた。
 次の瞬間、鎧の胸甲冑が轟音とともに粉砕されて消失する。甲冑を経由して振動が伝播していたのだろう、胸甲冑の下の異様な色の皮膚はずたずたに裂け、それが真っ赤な血液が噴き出していた。
 伝播破砕ヴァイブレイト・スプレッド――手で直接触れた物の構成分子を強制的に高速で振動させ、共鳴周波数を超えるまで振動周波数を引き上げることで触れるものすべてを粉砕する、格闘戦用の魔術のひとつだ。
 アルカードの『魔術教導書スペルブック』に記載されていた魔術をもとに、教会の魔術師――主にアルカードの素性を知る第一、第二世代の彼の弟子たちの中で、特に魔術の訓練も受けた上位の聖堂騎士――が自分たちでも扱える様に再構築したものだ。
 『魔術教導書スペルブック』の製作者は、グリーンウッド本人なので――だから『グリーンウッド家の』魔術教導書スペルブックという呼び名なのだ――、教会の魔術師たちが使う精霊魔術はすべてその模倣だと言える。
 だが『魔術教導書スペルブック』に記載されている魔術のほとんどは、人間がそのまま使うには負荷が大きすぎる――というよりもアルカードの使用を前提にしているので、魔力消費量には一切頓着せずに製作されているのだ。
 そのためアルカード自身の技術指導と教会の魔術師たちの研究によって、人間でも扱える様に組み立て直されている。だが再構築された精霊魔術は、グリーンウッドの構築した魔術式をロイヤルクラシックの魔力容量キャパシティを使って運用する『魔術教導書スペルブック』に比べると悲しくなるくらいに出力が弱い。物理現象を起こすために使うことの出来る魔力量に圧倒的な差があるからで、これは生身の人間である彼らと高位神霊クラスのすさまじい魔力容量を誇るロイヤルクラシックであるアルカードの間の、埋めることのかなわない絶対的な差だ。
 おかげで振動波が伝播して目標が破壊されるまでには数瞬のタイムラグがあるが、逆に言えば差はそれだけだということでもある――原理上、この魔術は魔術そのものの発効を阻止するか逆位相の振動波をぶつけない限り防げない。触れた物の構成分子を分解してしまう以上、いかなる物理的防御も意味を為さないからだ。
 だが生身の人間であれば即死しかねないほどのダメージを受けているにもかかわらず、鎧はなおも追撃を仕掛けてきた。さすがにダメージ無しとはいかなかったのだろう、先ほどよりも動きが鈍ってはいるが――それでも手にした長剣を振るって、こちらの首を刈りにくる。
 だが、足元の覚束無くなった状態での攻撃など、さして速度も精度も無い。躱すのは容易い――ブラックモアはその斬撃の軌道から逃れる様にして背後に廻り込むと、いくらか距離を取って魔術を起動させた。
 投射された振動波が鼓膜を震わせ、ついで振動波の直撃を浴びた鎧が全身を痙攣させる。金属製の甲冑全体に細かな亀裂が走り、その亀裂から噴き出してきた血が甲冑の装甲を伝ってしたたり落ちていった。
 やがて振動波の周波数が鎧の共鳴周波数に達し、その全身が粉砕される――周囲に真紅の霧を撒き散らし、鎧は地響きとともにその場に崩れ落ちた。
 共鳴破砕レゾネーション・ブラスト――これもまた『スペルブック』に記載されている魔術を、人間の魔術師でも扱える様に再構築したものだ。大気や液体などの流体を媒体に振動波を伝播させ、攻撃対象の共鳴周波数をチューニングすることで目標を粉砕する。
 いかに強固な防御であっても、物理的な手段でこれを防ぐことは不可能だ。
 そのときには、どうやら周りも終わっているらしい――同胞たちはそれぞれ、こちらが敵を斃したのを確認して周囲を見回している。薄情なことに、彼を助けに入ろうという者はいないらしい――そう考えて、ブラックモアは苦笑した。彼の鋼線や魔術は周りに巻き添えを出しやすいので、入られても困るのも事実ではある。
「――これで片づいた様だな」 口を開いたのはグリーンウッドだった――見遣ると、グリーンウッドの周囲の地面が半径三メートルに渡って深さ一メートルほど陥没している。グリーンウッドの足元だけが、まるで絶海の孤島の様に無事に残っていた。
 覗き込むと、その陥没した地面の底に数体の鎧が埋まっている――まるで踏み潰された蛙の様にぺしゃんこに押し潰され、地面から生えた片手の指先だけが叩き潰された蚊の脚の様にぴくぴくと痙攣していた。
 ……崩地破砕グラビティクラッシャー
 おそらく自分の周囲に高重力をかけて、襲いかかってきた鎧の群れを地面もろとも叩き潰したのだ――先ほど鎧と戦っている最中に何度か轟音が聞こえたが、とりわけ大きな轟音はこれに違い無い。
 グリーンウッドはそれまで立っていた陥没の中心部の無事に残った地面から外側に飛び移ると、階段に向かって歩き始めた。
 
   *
 
「よぉし、そろそろだ……開き変えるぞ、用意しろ」
 船長のその言葉に、船員たちが甲板上を走る――各ほばしらに斜めに交差する様にして固定された大三角帆ラティーンセイルの帆桁を操作するための索をビレイピンからはずしている彼らに従おうとしたところで、船尾楼にいた古株の乗組員のひとりから声がかかった。
「おい、アマリア!」 名前を呼ばれて、振り返る――よく日に焼けたその屈強な男は船尾楼の上から船内に通じる後部ハッチを手で示し、
「客人の部屋の窓が開いてる――船の傾きが変わるから窓を閉めてほしいと声をかけてきてくれ」
「んー、わかった」 アマリアはうなずいて、身軽な動きで後部ハッチに身を躍らせた――そのまま小走りに船内に入り、船室のひとつを目指して廊下を駆ける。
 彼女が目指しているのは、廊下の突き当たりの左舷側にある小さな船員居室のひとつだった――四人用の船室だが今は誰も使っていないので、先日リスボンの港で乗り込んだ客人に丸ごと貸し与えられている。
 とんでもない破格の報酬を出した客なので、失礼の無い様にしろ――彼女も含めた全員が、船長からそう言い含められている。なにしろ、彼ら全員の一ヶ月ぶんの給料を合わせたよりも高額の船賃を出した客なのだ。おかげで彼らの船は、必要十分以上の量の水と食糧を確保して出港することが出来た。
 会社に報告する必要の無い報酬ということで、その一部を使って塩漬けにした野菜や果物などの食糧や水を余分に買い込み、残りは全員で山分けになった。さすがに全員で分けるとなるとたいした金額にはならないが、それでも出港した最初のうちだけでも甘い果物にありつけるということでやはり皆機嫌がいい。
 さてと――
 船室の前に着いたところで、足を止める――彼女は一回深呼吸してから、扉をノックした。
「ええと、失礼します」
 この船は貨物船だし、客商売の経験も貴族に仕えた経験も無いアマリアには目上の相手に使う言葉遣いなどわからない。彼女は出来るだけそれらしい言葉遣いを乏しい記憶の中からひねり出して、そう声をかけた。
「開いている」 男の低く落ち着いた声が、扉越しに帰ってくる――扉を開けると、男は寝台のひとつに腰かけて丸い舷窓から海を眺めていた。
 最後に食堂で見たときと同じ様に、彼は相変わらず甲冑を身に纏ったままだった。リスボンの酒場で最初に見たときはうっすらと錆の浮いていた傷だらけの鈑金甲冑は、今はきちんと錆を落とされている。
この船に乗り込むときは腰から吊っていた身の丈ほどもある曲刀と口径がアマリアの手首ほどもある巨大な銃が、反対側の寝台に寝かされている。ほかにも使い道のわからない巨大な鈎爪状の鞘の様なものがいくつか、寝台の上に置いてあった。
 布製の手提げ鞄がいくつも置いてあるのは、港にいつもチーズや燻製類を売りに来る牧場のおや――親子であると聞いたことは無いが、夫婦や兄妹という年齢差でもない――の売り物を買ったのだろう。船会社や宿屋に向けてハードチーズやスモークチーズ、ベーコンなどの燻製類を納品して、余分に持ってきた余りを船乗り相手に小売りするのだ。
 嵐で流されたり索具が壊れたりして海上で立ち往生するのは珍しくないので、船乗りたちの中には自腹で余分な食糧をいくらか買い込む者が多い。おそらく彼も同じ様なことを考えて、チーズや燻製類を買い込んだのだろう。
 四、五年前はひとかかえもある様な代物を販売していたらしいが、ここ数年はもっと小さなものを販売する様になった。おそらく船乗りが個人購入することを考えたとき、扱いが楽な様にするために小さくしたのだろう――持ち運びがしやすい様に、取っ手つきの袋もつける様になった。値段も重量当たりの価格で値上げはしていないし、次に買いに行ったときに袋を持っていくとちょっと割引してくれる。船会社の備蓄食料を扱う倉庫の社員だけは、軽くなったのはいいが個数が増えたとぼやいていたが。
 彼が普段なにをしているのか、アマリアたち船員は知らない――そろそろ船旅も三日になるが、彼は食事以外で与えられた船室からあまり出てこないからだ。
 だがこうして見ると、彼が寝台に横になって眠っていないのは明らかだった――船員が睡眠をとるときは寝ている間に船の傾きが変わって頭が下になり、非常に不快な睡眠になるのが珍しくないのだが、寝具類に使用の形跡が無いのだ。
 獣の尾の様な金髪が、開け放された舷窓から吹き込んでくる風に煽られてふわりと揺れる。それを魅入られた様に見つめていると、男はいぶかしげにこちらを振り返った。
「どうした?」 そこで彼女が女だということに気づいたのだろう、男はわずかに眉をひそめた――まあ大概の場合、船乗りは女を船に乗せたがらないものだ。
 だがそれはどうでもいいと思ったのか、彼はそのまま続けてきた。
「なんの用だ?」
「ええと、窓、窓をですね、閉めて――」
 舌が縺れて発音がおかしくなっていたからだろう、彼はアマリアのポルトガル語の発音をきちんと聞き取れなかった様だった。
「普通にしゃべれ。なにを言ってるのかさっぱりわからん――ポルトガル語なら下町言葉のほうがわかりやすい」 そう言ってくる男の発音は、まるで王侯貴族の話し方の様にまったく癖が無く聞き取りやすかった。アマリアはうなずいて、
「えっとね、窓を閉めてほしいんだ。これから開きを変えるから」
「開き?」 単語の意味がわからなかったからだろう、男がそう尋ね返してくる。
「うん、これから風を入れる向きを変えるからさ。今までと船の傾きが逆になるから。今日は波が高いから、海水が入ってくるかも」
 帆船は通常追い風で航走する場合、左右どちらかの斜め後方から風を受けて走っている――真後ろから風を受けると後艢の大三角帆ラティーンセイル以外、主艢や前艢の帆はそれぞれ後ろの檣の帆が邪魔になって風が入らず、あまり効率がよくないからだ。
 たとえば目的地の方向にまっすぐ風が吹いている場合でも、真後ろから風を受けて進むよりも斜めに風を受けてじぐざぐに進むほうが効率が高く、たいていの場合は速力も出る。
 このために帆船は常に斜め方向から風を入れており、したがってたいていの場合左右どちらかに傾いているのだ。今までは左舷から風を入れていたから左舷側がせり上がっていたが、これから傾きが逆になると左舷側は逆にずり下がることになる。
 この船は十年ほど前にクリストファー・コロンブスが新大陸発見の旅から帰ったときに乗船していたちびっこニーニャ号と同じくキャラヴェル・ラティーナという艤装を施されているが、設計者の実験的な設計が多分に入っている。
 同型のほかの帆船に比べて檣が高く、一本の檣に大型の大三角帆ラティーンセイルのほかにもう一枚、檣の頂部まで届く大型の補助帆を張る様に出来ているので、特にその傾向が強い。今日は風が強くて波が高いので、舷窓を開けっぱなしにしておくと水が入ってくる可能性がある(※)。
「なるほど」 それを説明すると男は納得したのか小さくうなずいて舷窓の蓋を閉め、ロックするための金具をかけた。
「ありがと」
 アマリアがそう言うと、金髪の男は不思議そうにこちらを見遣った。
「なに?」
「別に――帆船に女が乗っているのが不思議だっただけだ。船じゃ女は疫病神扱いされると聞いたがな」
「あはは。あたしは女扱いされてないからね」
 適当に手を振ると、彼は少しだけ笑った様だった。
「なに? あたしに女を感じちゃった? なんだったら一晩つきあってあげようか」
 貧相な体つきであることは自覚しているのだが――それでも女には違い無い。溌剌とした闊達な態度と健康的な日焼けした肌、贅肉の無い引き締まった姿態は、量感があるというより単に美食で肥えているだけの貴族や商人の娘よりは魅力的だと思う。
「夜、寂しくない? 安くしとくよ」 座ったままの男の目線にあわせて上体を傾け、シャツの首まわりに指を引っ掛けて胸元が覗く様に引っ張りながら小声でそうささやくと、男はふうと溜め息をついてこちらから視線をはずした。
「遠慮しておく――別に俺を閨に誘うのが目的だったわけじゃないだろう。早いところ戻らないと、船長に怒られるぞ」
 あ、やっば――小さくうめいて、アマリアは踵を返した。
「そうする! じゃ、またね! 寂しくなったら声かけてよ!」
 背中越しにかけたその言葉に、金髪の男が盛大に溜め息をつくのが聞こえる――名前を聞くのを忘れたなと思いつつ、アマリアはそのままメイン・ハッチまで駆け戻った。

※……
 新大陸発見の英雄にしてインディアンたちにとっての疫病神、コロンブスがスペインに帰還したのは一九四三年のことです。
 なんかもー調べれば調べるほどああこいつめっちゃ傲慢なクソ野郎だなという様な感想しか出てこないのですが、まあ作者個人の感想はこの際置いといて、彼の船団は有名なサンタ・マリア号というキャラックとニーニャ号と呼ばれるキャラヴェル・ラティーン、ほくろピンタ号と呼ばれるキャラヴェル・レドンダの三隻で構成されていました。
 キャラヴェル・ラティーナはその名の通りすべてのマストに大三角帆ラティーンセイルを備えた純縦帆船、キャラヴェル・レドンダは前檣フォアマスト主檣メインマストに日本丸等にも見られる様な四角い横帆スクウェアセイル後檣ミズンマスト三角帆ラティーンセイルを備えた横帆船でした。
 サンタ・マリアは後世にも有名ですが実際にはずんぐりしていて速度が遅く、航海中に軽快なキャラベル船二隻においてけぼりにされることも珍しくなかったためにコロンブスには好かれていなかったそうです。現在のアメリカ大陸沖でサンタ・マリアが座礁した際、彼は嬉々としてニーニャ号に乗り移り、最終的にはニーニャ号でスペインに帰還しました。
 なおサンタ・マリア号自体は座礁後解体されて、要塞構築のための材木にされています。
 ニーニャ号、ピンタ号ともに復元船が存在しますが、ニーニャ号は四本マストでミズン、ジガーマストに三角帆ラティーンセイルを備え、ピンタ号は三本マストでミズンマストに三角帆ラティーンセイルを備えた横帆船であるという、艤装分類からいけば実物とは異なるものである様です。
 キャラヴェル船の船体そのものは比較的小型で船首楼フォクスル船尾楼プープ後甲板クォーターデッキ中央凹甲板メイン・デッキの高低差が比較的小さく、現在の帆船に近い甲板構造です。
 喫水が浅く軽快であったためより陸地に近い水域や河川の探索が可能になり、当時の冒険家たちに愛用されていました。初期のものは二本マストでしたが、徐々に大型化して三本、四本マストのものも建造される様になりました。
 サンタ・マリア号は復元船、というかレプリカが日本にも二隻存在しますが、天保山ハーバービレッジの観光船は船形そのものはキャラヴェルに近く、実物とは乖離したものです。
 神戸メリケンパークにも復元船が存在しますが、こちらのほうがより実物であったキャラックのサンタ・マリア号に近い様です。
 作中に登場する交易帆船はすべてのマストに大型の三角帆ラティーンセイルを備えたキャラヴェル・ラティーン船で、マスト同士をつなげて支える支索ステイ三角帆ラティーンセイルの上部と前のマストの間の隙間を埋める様に変形四角形の補助帆ステイスルを張った独特の艤装を持つ純縦帆船で、ガフトップスルに近いものです(ここらへんが実験船)。またスプリットスルと呼ばれる舳先に張る横帆も排除して、代わりに現在で言うところのジブの役目をするステイスルを三枚張っています。
 帆の面積が増大して速力が上がる一方、より高い位置で風を受けるため船体の傾きが大きくなるデメリットもあります。また傾きが大きくなるぶん風下に流れやすくなるのもデメリットですね。

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