MARKETER’S BLOG【小太郎がゆく】

【小太郎がゆく】はマーケター小太郎がいろんなところで出会うさまざまなヒトやデキゴトについて等身大で描いていく日常見聞ログ

【小太郎がゆく】巻の十五

2002年12月25日 | エッセイ【小太郎がゆく】
「小太郎がゆく巻の十五」まえがき


「今日、何を見たか、絵に描いてよ」
上野動物園とウルトラマンハウスを見に
新潟から遊びに来た甥っこに絵を描いてもらった。
「これは鼻が長いから、、、ゾウ!」「当たり」
「これは首が長いから、、、キリン!」「当たり」
ここまでは順調だったが
トラ、ライオンになったあたりからは一発で当てるのは難しい。

ウルトラマンを描いたところでネタがつきたので、
幼稚園の友達を描いてもらった。
顔の輪郭、耳、髪、目まで進み、真ん丸な鼻を描いたトタン、筆が止まった。
できあがったようなので、事前に入手していた仲良しの名前を言った。
「これは男の子だから、、、ハルキくん、かな?」
すこしの間があったあとに甥っこは答えた。







「ブーッ!ブタッ!」

しばし笑い転げたあと、ふと思った。
描こうとしていたことが、途中、ちょっとしたハズミやイタズラで
変わってしまうことは、大人の世界でもよくある。
臨機応変と呼ぶか優柔不断と呼ぶか、は起こった結果次第かもしれない。

そんな現実社会がまた一年過ぎ去って
新しい年を迎えようとしている。

夢のあるステキな年になりますように。
今年いちねん、ありがとうございました。

それでは、【小太郎がゆく】はじまり、はじまり。
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【小太郎がゆく】巻の十五

師走に見る「白いもの」雑考

◆天からの真っ白な手紙

この多様な(雪の)結晶の意匠を「天から送られた手紙」
と喝破したのは、中谷宇吉郎だった。(日経新聞) ※( )内筆者

通勤電車が大幅に遅れたホームでは、
携帯電話を相手に、遅刻の弁明がせわしなく絶えない。

それと対照的なのは純白に化粧をした街並。
交通量はいつもの半分にも満たない。
滑りやすい足元の不安から人の歩みも緩やかになる。
喧燥がやみ、澄みきった空気が心地よい。
十一年ぶりに師走の積雪となった白き東京。
今回はその「白」がテーマ。

◆寒い日はスープで温まりたい

ポタージュ系=車海老のポタージュ
トマト系 =メキシコ風チリポーク煮
クリーム系 =木の子と白身魚のスパイスクリームスープ
ブイヨン系 =白菜と豚肉の中華風スープ
本日おすすめ=仔羊のレッドカレー

霞ヶ関、オフィスビル地下のはやりのスープ店。
スープで温まりたいお客さんで賑わう。
黒板に白墨で手書きのメニュー。
5種類とも日替わりという新鮮さと、手作り感を意識しての演出。

昨今の健康志向を反映してか、どのスープも味付けは薄い。
お好みで調節ができるようにと、食塩と胡椒の小袋がつく。

味見の後、塩気を増そうと、振りかけた食塩。
スープに浮かぶその白い粉末に、なんだかケミカルな感じがして、
かえって削がれる食欲もある。


◆白い布というメディア

ノリの効いたYシャツに袖を通すと、スイッチが入ったように気持ちが引き締まる。
カラーシャツや柄ものもあるが、Yシャツと言えば白。
上着を羽織っても、襟元と袖口にはシャツが見える。

機能やデザインから収斂(しゅうれん)されての結果かもしれない。
しかし、わずかな部分でも、はた目にさらされているからこそ、
シャツの果たす役割は大きい。

汚れが目立つ白いシャツは、頻繁に取り替えなければならない。
それができたのは恵まれたごく一部の階級に限られていた。
つまり、白は豊かさの象徴であった。

ところ変わって、京橋のこじんまりとしたレストラン。
値ごろな価格も手伝って、ランチには行列ができる。

真っ白なテーブルクロスは
お客さまが入れ替わる度に惜しげもなく替えられる。

ここでも、汚れやすく手間のかかる白い布を用いるのはなぜだろうか。
気持ちのよい食事のためには、クロスは白く清潔でなければならない。

それを確実に行うことで、お店のサービスと商品は上質であるというメッセージにな
る。テーブルウエアの中で白いクロスはもっともシビアな広告塔でもある。

◆白き意味、ふるきをたずねると

白には神聖、清浄、純粋、無垢など、世界共通の清らかなイメージがある。
中国の陰陽五行思想では、白は生命が活動を終え、
再生への準備に入った状態を表すという。
方角は西、季節は秋と重なる。
白の語源は森羅万象をはっきりと見極める「しる」ことらしい。(日経新聞)

その日、雪に覆われた街並も少しずつ変わっていく。
車が走り、人が歩く。
それだけでも、東京の白い薄化粧ははがれ落ちていく。
轍が、そして、足跡がいくつも増えていく。

じっと見ていると、往来の方向や数量を知ることができる。
普段は気づきにくいことなのだが、
雪を消しながら目に見える形となって現れている。

雑事にまぎれて、大事な変化が見えなくなってしまうことがある。
そんなとき、この雪のように、一瞬でもすべてを白一色できたら、と思う。
真っ白にしたあとの変化は、手に取るようにわかる。
その変化こそ、日々の生きた情報なのだから。

新しい年をすぐそこに控えて、気持ちだけでも白くまっさらにしたい。
白くしたその後には、様々な情報や経験が色をつけていく。
年の瀬とは、そんな節目なのだろう。
そして絵描きが白いキャンバスに向かうように、新年を迎える。
果たして二〇〇三年はどのような色彩に彩られるだろうか。

次回『小太郎がゆく』、乞うご期待!

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Marketer's Essay【小太郎がゆく】<バックナンバー>
№000 序 章「おにぎり的な私」
№001 巻の壱「うりばのちからを信じています」
№002 巻の弐「スローバックなスーパースターにまなぶ」
№003 巻の参「いちねんの計は?やっぱりうりばにあります」
№004 巻の四「数字が教えてくれるもの うりばが教えてくれるもの」
№005 巻の五「目は口ほどにものをいう 耳は目以上にものを見る」
№006 巻の六「お酒飲む人 花ならつぼみ 今日も咲け咲け 明日も酒」
№007 巻の七「調査とは旅すること 旅することとは見聞きすること」
№008 巻の八「お食事系外食チェーンに見る『伝えたいその想い』」
№009 巻の九「『ワールドカップ』四年に一度の祭典に学ぶ」
№010 巻の十「ショー・ザ・スピリット!ショー・ザ・ゲーム!」
№011 巻の十一「売場に並んでいるのは『信頼』という名の商品」
№012 巻の十二「敬老の日に思う『わかりやすさ』というサービス」
№013 巻の十三「ノーベル賞、損得『感情』のむずかしさ」
№014 巻の十四「コタロウ的『北風と太陽』」
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