MARKETER’S BLOG【小太郎がゆく】

【小太郎がゆく】はマーケター小太郎がいろんなところで出会うさまざまなヒトやデキゴトについて等身大で描いていく日常見聞ログ

【小太郎がゆく】巻の三十二

2004年06月28日 | エッセイ【小太郎がゆく】
「小太郎がゆく巻の三十二」まえがき

去年、マンションの軒先で初めてそばを育てた。
今月、その時採れたそばの種7つを植えた。

そば一郎からそば七郎まで芽を出した順に名前をつけ
愛でていた矢先、青虫に5人がやられた。

辛うじて難を逃れたそば二郎、そば三郎に愛情を注ぐ。

他の5人の分まで育ってくれと。

(「集合住宅そば物語」はそばを挽くまで続けたいと思っています・・・)

◇知る人ぞ知る名店クイズ(「名もなき」は失礼でした)

西日暮里、道潅山通り沿い、サンドイッチ、開成高校生御用達(のハズ)

前回の答えは、洋食キッチン【トキワ】(中央区湊三丁目)でした。
先日、行ってみると立川談志師匠のサインを発見。
さらに、知らなかったのですが、花王の「バブ」のCM↓に出ていました。ビックリ!
(http://www.kao.co.jp/bath/lab/babu/cm.html)

それでは、【小太郎がゆく】はじまり、はじまり。
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【小太郎がゆく】巻の三十二

タイトル:「『見世』るチカラ」


◆仙川のとんかつ屋、月島の天ぷら屋◆◆◆◆

(トントントン。・・・。トントントン。)

仙川駅近くのとんかつ屋。正午前の誰もいないカウンターに座る。
目の前の若い板前がキャベツを刻む。
厨房からも見えるテレビが気になるようで、目線は手元とテレビと半々。

揚げたてのとんかつ、味は悪くはないのだが…。

惣菜調査の帰りしな、月島にある
小さいながら歴史を感じさせる天ぷら屋に入る。

店主は油鍋の前で黙々と天ぷらを揚げる。
それでいて注文の声は決して聞き逃さない。

果たして出てきた天丼は食感サクサク、味も申し分ない。

そういえばこのお店、テレビは客席からしか見えない。
店内事情も味覚のうちだろうか。

◆◆ストック&ディスプレイ◆◆◆

「いかがですか?今週入った南米産の『マテ茶』、
水出しなのでまろやかで飲みやすいと思いますヨ」

たまたま入った今風の茶舗、【レシピエ】。
すすめられ飲んだ試飲の紅茶は、喉の渇きを気持ちよく潤す。

お礼を言って店内を改めて見回すと、
レジカウンターの後ろは、壁一面に巨大な薬味箪笥
(漢方薬などを入れる引き出しのたくさんついた箪笥)風のしつらえ。

アイテム名がはっきり分かる引出しは、スタッフのためというより、
お客さま向けの陳列といったおもむき。

実際、豊富な品揃えがひと目で分かり、見ていて楽しい。
在庫を演出して見せている好例だ。

◆◆◆信頼は細部に宿る◆◆

「他の工務店ではそこまで仔細に見積もることが出来ないので、
相(あい)見積りをとって比べれば比べるほど、
【鹿児島建築市場(いちば)】の工務店の見積りに分があるんですヨ」

椎野先生(早大教授)は、出席者からの質問にこう答えた。

今年から【木づかい塾】という勉強会に参加している。
「木」を中心とした家づくりを研究している塾である。

建設業界の不況を乗り越えるための組織された【鹿児島建築市場】は
工務店や建築家、大工や各種職人、木材店やメーカーなど160社からなり、
業界に新しい風を吹き込んでいる。

大きな特徴は、悪く言えばどんぶり勘定だった旧来の見積りを見直し、
材料単価はもとより、大工や職人の日当などまで細かく明らかにしていること。

これに徹底的にこだわっている。

何にいくらかかるのかということが、施主(顧客)にとって分かりやすくなるので、
仕上げ材一つ選ぶにしても、あるいは仮に金額折衝を行うにしても論点が明確になる。

細目の正確な見積りは顧客との間に信頼を築く。

◆◆◆◆店は見世、つまりは「世」を見せる◆

みせ【店・見世】(「みせだな」の略)
①商品を並べておいて売る所。商店。たな。
②みせさき。商家の、商品などを積んで陳列してある場所。(広辞苑)

言葉の語源をたどることと、ダジャレはある意味似ている。
なぜなら、どちらも文字や言葉の音を
違った文字や言葉に置き換えていく作業が共通しているからだ。

「店」の語源は「見せ」に違いないと広辞苑にあたってみると、
「店」とともに「見世」が併記されているのは興味深い。

文字に忠実に考えると、店は「世」を「見」せるところ。
では「世」とはいったいなんだろう。

「世」について続けて調べてみるとおおむね三つの意味にいきあたる。

一つは「世相」。つまり「今」という時代。
流行や景気などを反映した商品と言い換えることができる。

一つは「時間」。積み重ねられた歴史や伝統、あるいは未来、
はたまた特定の時代などを表現するモノやソフト。

そして最後は「人生」。
これには、店主や企業経営者の考え方や哲学、
そしてそれらが形となって表れるサービスなども含まれることになる。

とすれば、これらのモノやサービスがあってお店は「見世」として機能する。

長らく言葉遊びにお付き合いいただきありがとうございました。これにて今回は店仕舞い。

次回『小太郎がゆく』、乞うご期待!

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Marketer's Essay【小太郎がゆく】<バックナンバー>
№000 序 章「おにぎり的な私」
№001 巻の壱「うりばのちからを信じています」
№002 巻の弐「スローバックなスーパースターにまなぶ」
№003 巻の参「いちねんの計は?やっぱりうりばにあります」
№004 巻の四「数字が教えてくれるもの うりばが教えてくれるもの」
№005 巻の五「目は口ほどにものをいう 耳は目以上にものを見る」
№006 巻の六「お酒飲む人 花ならつぼみ 今日も咲け咲け 明日も酒」
№007 巻の七「調査とは旅すること 旅することとは見聞きすること」
№008 巻の八「お食事系外食チェーンに見る『伝えたいその想い』」
№009 巻の九「『ワールドカップ』四年に一度の祭典に学ぶ」
№010 巻の十「ショー・ザ・スピリット!ショー・ザ・ゲーム!」
№011 巻の十一「売場に並んでいるのは『信頼』という名の商品」
№012 巻の十二「敬老の日に思う『わかりやすさ』というサービス」
№013 巻の十三「ノーベル賞、損得『感情』のむずかしさ」
№014 巻の十四「コタロウ的『北風と太陽』」
№015 巻の十五「師走に見る『白いもの』雑考」
№016 巻の十六「顧客創造とは不断の手間と顧みる愛情」
№017 巻の十七「声に出して読みたい『お国言葉』」
№018 巻の十八「無記名・不特定というサービスにサヨナラ」
№019 巻の十九「そういう問題じゃない!」
№020 巻の二十「クレームの卵」
№021 巻の二十一「今どき流行のハコヂカラ」
№022 巻の二十二「花火の季節のブランド考」
№023 巻の二十三「ボーダーライン」
№024 巻の二十四「行列~待ちの効用~」
№025 巻の二十五「イライラフリー」
№026 巻の二十六「『が』商品『で』商品」
№027 巻の二十七「小レボで行こう!」
№028 巻の二十八「チャープとトリル」
№029 巻の二十九「スイッチ。その心理」
№030 巻の三十  「一(ピン)客万来」
№031 巻の三十一「ベジタブル ツチタベル」
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