戦場は荒野 その２

　引き続き「戦場は荒野」。ジオン軍の待ち伏せにあう事が濃厚なこの状況で、避難民たちがここで降ろしてほしいと訴え出てきました。今まではその度にブライトを苛立たせてきましたが、今回は何かアイデアが浮かんだみたいです。避難民たちを降ろすという“人道的”休戦をジオンに申し入れる。その隙に包囲網突破のための一手を仕込んでおく…、なかなか面白い筋書きになってきました。今回のシナリオは松崎健一氏です。



　ガルマはこの木馬からの申し出を受けます。時間を稼ぎ、足の遅い陸上兵器をこの間に増強しておけるわけですね。ガルマは自軍の強力な布陣に勝ちを予感します。それを見たシャアが「これで勝てねば貴様は無能だ」とつぶやきます。かなり嫌なヤツです。そんなだから、本番組の視聴率が悪い原因の一つとして“シャアという陰気なキャラクター”が上げられてしまい、ガルマの死後、画面から姿を消すこととなります。



　避難民を乗せたガンペリーにルッグンが接近してきました。ガンペリーは今回初登場、地味ながらもガンダムの活躍を支える重要なお助けメカです。ちなみにガンペリーの姿自体は第４話で、ワッケインとブライトがやり合っている背景として描かれています。なぜ宇宙戦艦にホバーつきの航空機が？って感じでしたが、富野監督は当初よりガンダムの活躍の場は地球上でと考えていたらしいです。宇宙空間は何もなくて、ガンダムの巨大さが表現できず、まずは建物や自然の景色がある地球上で、ガンダムの大きさを感じて欲しかった、とのこと。

　“つけ馬”ルッグンに手を振るフラウ。「おい、よせよ」「あら妬いてんの？」おかしなやり取りのアムロとフラウ。その横でペルシアの子供も手を振っていて、ルッグンのバムロも手を振り返してきます。ジオンも同じ人間なんですよね。



　「作戦開始だ」とリュウ。ガンペリーのコンテナにあらかじめ開けておいた穴から発炎筒で煙を出させます。「とうとうガタが来ちまったらしいぜ、みんなあんたらのせいだ。不時着する」とルッグンに一芝居打ちながら、ガンペリーのローターを一つ止めて不時着するようにみせます。この位置にガンペリーを捨てていくための、これも芝居です。この操縦はジョブ・ジョンがやっています。リュウがやったら本当に墜落させてしまうかもしれないものね（笑）


　避難民を降ろしてから、カイ、フラウ、ジョブが背負い式の小型バーニアで脱出、ホワイトベースに戻っていきます。この背負い式のジェットだかロケットだかは、一時期いろんなイベントとかで見ることが出来ましたが、滞空時間が短いことと安全じゃないことで、米軍もとっくに見限っています。今でも望めば買えるようで、価格は１５万５０００ドル！



　「パイロットが脱出しました。追いかけます」とルッグンのバムロ。でもガンペリーは輸送機で大きなペイロードを持っているのに、気にならないの？ガルマもシャアもみ～んな騙されています。フラウたちが木馬に戻るのを確認して、ペルシア親子の様子を見に帰ろうとするバムロ。バムロは先程、ペルシアが避難民の一団から離れ、何もない方向へと歩いていくのを見ていたのでした。

　バムロは今回、通信中“ホワイトベース”の名を呼んでいます。前回のガルマが“ガンダム”と言ったのと同じエラーかもしれませんが、艦名くらいはすでにつかんでいるのかも知れません。その上で“木馬”という呼び名を好んで使っているのでしょう。

　

　「ははは、アムロ、やったぞ、引っ掛かった」とリュウが喜び、アムロのガンダムを出すため、ガンペリーのハッチを開こうとしたところへ、ルッグンが戻ってきました。急いでハッチを閉めるリュウ。ルッグンはガンペリーを飛び越して、ペルシア親子の向かった方向へ飛び去ります。急いでアムロがガンダムを出撃させます。親子の方へルッグンが飛び去ったことを気にするアムロ。もしかするとジオンが親子を捕らえホワイトベースのことを尋問する、ということは充分考えられます。

　「湖の中に隠れていろ」というリュウを振り切り、親子の様子を見に行くアムロ。しかし、冷静に考えて！今からホワイトベースの命運をかけた戦いが始まろうとしているのですよ。アムロじゃなくても代わりにリュウにジェットパック背負わせて行かせればいいじゃない。どうせリュウは戦闘始まってもひたすらガンペリーのコックピットに座ってるだけなんですから…。

　「湖の中に隠れていろ」とリュウが言いました。水に浸かっても平気なガンダムって凄いな。後に海中で戦ったりしますから、ぜんぜんへっちゃらなんでしょうね。



つづく